世田谷区 > 区民のミカタ > 相続 > 長濱 勇太 > 詳細
認知症の母名義の預金を、施設費用に使えず困っています
掲載日:2026/09/02

80代の母が区内で一人暮らしをしています。
以前は身の回りのことを自分でできていましたが、最近は同じ買い物を何度もしたり、公共料金の支払いを忘れたりすることが増えました。
先日は知らない業者と高額な商品の契約をしそうになり、家族としても一人暮らしを続けるのは難しいと感じています。
介護施設への入居を検討していますが、入居一時金や毎月の利用料を支払うには、母名義の預金を使う必要があります。
ところが、銀行の窓口で事情を説明したところ、「ご本人の意思確認ができなければ、家族でも預金を引き出したり定期預金を解約したりすることはできない」と言われました。
母名義の自宅も、将来的には売却して施設費用に充てる可能性があります。
私は長男として母のために手続きをしたいだけなのですが、成年後見制度を利用すれば、母に代わって預金の管理や施設との契約、自宅の売却などができるのでしょうか。
誰が後見人になるのか、申立てにはどのくらいの期間や費用がかかるのかも教えてください。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
私がお答えします
認知症の方のように本人の意思確認が取れないようような状態では、預貯金口座からお金を引き出したり、定期預金を解約したりできなくなります。
また、このような状態の場合、本人名義での契約もできないため、契約が必要な場面であっても、新たな契約ができない、家族名義で契約をせざるを得ないといったことにもなりかねません。そこで、このような事態を解消するための手段として成年後見制度の活用が考えられます。
成年後見制度とは、認知症や重度の精神障害により意思表示をすることに困難がある方の代わりに、家庭裁判所が選任した代理人が財産管理や契約行為を行う制度です。この代理人には意思表示の困難さに応じて三類系あり、それぞれ「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」といいます。それぞれ、権限が異なり、「成年後見人>保佐人>補助人」の順で代理人の権限の範囲が広範になります。
ご質問のように、ご本人の預貯金から施設利用のための資金を捻出する必要があるが、ご本人の意思表示に困難がある場合は、この成年後見制度を活用して、ご本人のお金を動かせるようにする必要があります。また、成年後見人等は本人のために医療サービス、施設への入所契約をする権限がありますので、こういった契約をご本人が行えない場合も成年後見制度を活用する必要があります。
ただし、自宅の売却に関しては成年後見人の一存で決めることができず、家庭裁判所の許可が必要となります。この許可にあたっては、売却に際して本人のために必要であることが必要であり、相続対策などで本人以外の利益のために必要がだからという理由では認められませんので、注意が必要です。
また、成年後見人等を誰にするかは家庭裁判所の専権事項であり、必ずしも希望する家族が選ばれるとは限りません。家族以外の方が選任される場合、基本的に司法書士や弁護士等の法律専門家が就任するのですが、その場合、月額換算で2〜6万円程度のランニングコストが発生します。
申立ての期間は、書類の収集から申立て後裁判所の手続きが完了するまで2〜3ヶ月程度を見込んでいただく必要があります。また、費用に関してはご自身でされる場合は書類の取得費や郵送費等で2〜3万円程度、手続きを専門家に依頼する場合は、加えて10〜20万円程度を見込んでいただく必要があります。