「明日は雪らしいよ!」
「本当に降るの?こんなに暑いのにね。」
雪予報の前日に気温20度を超えた大田区。
私は長袖を肘の上までまくり上げ、知り合いとこんな連絡を取り合っていた。
なんとなく実感が持てないままその夜 布団にもぐったが、翌朝天気予報は的中。
半袖に着替えようか悩んでいた昨日の自分が信じられないほど部屋の中は寒く、窓の外は雪が舞っていた。
この時期では珍しいこの景色を家の窓から眺めた方も多いのではないだろうか。
都内で不要不急の外出を控えるよう要請が出た初めての日曜日。
荒れた天気も重なって街は閑散としていたが、桜は満開の季節。
桜吹雪ではなく本当の吹雪が桜を包むように舞っていた。
桜の花びらに雪が被る今回のような現象を「雪見桜」「花見雪」と呼ぶそうだ。
傘には雪とともに花びらも積り、風情を感じられる。
昼頃には車や芝生にも積り始めた。
春を迎えてから降る、その時期最後の雪のこと終雪(しゅうせつ)という。
いわゆる『初雪』の反対の意味だが、観測史上最遅の終雪はいつなのか気になって調べたところ、1969年(昭和44年)に降った4月17日の雪が都心での過去最遅の終雪ということだ。
3月末の雪予報にも驚いたが、更に上を行く記録があったことにも驚いた。
春の温かさは恋しくも、まだまだ外へ出ることができないもどかしさが続きそうな今日この頃。
来年の今頃は日差しの下で気持ちよく花見ができるようにと願わずにはいられない。
(区内某所にて撮影)
取材:千葉真理