今回のゲストは、女優のMIYAKOさん。
かつて、かとうみゆきとして主演していた日活ロマンポルノ「ラスト・キャバレー」がこの度DVDになりました。
当作品に出演することになった経緯、作品への想いなどをお聞かせいただきました。
Photo:長谷部ナオキチ
最後の日活ロマンポルノ、『ラスト・キャバレー』に主演
高木優一:本日のお客様は、かとうみゆきさん改めMIYAKOさんです。
MIYAKO:5月23日に、かとうみゆきから改名しました。
高木優一:日活ロマンポルノの最後の作品の主役をつとめられたのですよね。
MIYAKO:はい。日活ロマンポルノ自体は1988年に終わったのですが、正確に言うと最後から3番目の作品に出させていただいたのです。けれども、ほぼ最後の作品と言っていいと思います。
高木優一:それでタイトルが『ラスト・キャバレー』と。バッチリ決まってますね。
MIYAKO:監督は有名な方で、『デスノート』とか『ゴジラ』を演出された金子修介さんです。
高木優一:この『ラスト・キャバレー』が6月2日に発売されたということですが、映画の公開が88年ですね。そしてDVDになったのが今年と。
MIYAKO:はい、そうです。
高木優一:漫画とかCDやDVDとかをコンプリートコレクションする人は巷に多くいますが、日活ロマンポルノもそういった蒐集の対象になっているのでしょうね。これまでの作品は全作DVD化されているんですか。
MIYAKO:全部は出ていないようですけれど、3回に分けたシリーズとして発売されるみたいですね。
高木優一:購買するのは主に50代~60代ぐらいの男性で、学生時代に夢中で映画館で観たロマンポルノの諸作品を、懐かしい想いにかられながらコレクションするという感じですかね。ダウンロードとかスマホで観るのではなく、DVDという“物”で所有したい世代ですよね。
MIYAKO:こういうちょっとエロティックな映像は、DVDが結構売れるみたいです。やはり所有したいという欲求が強いのかもしれませんね。いわゆるAVとは全然別物ですので、いい形で差別化をしたいという声は現場には強くあります。
高木優一:見えそうで見えない、そのもどかしさが堪らないとか・・・(笑)
MIYAKO:全部見えないところがいいんですよね(笑)。あくまで映画なので照明などは非常に芸術性を重視しますし、演出もきちんとした脚本に則って行います。この『ラスト・キャバレー』は高間賢治カメラマンという方が撮られていて、この作品で初めて撮影監督のシステムが日本で採り入れられたのです。高間さんはアメリカでずっと勉強されていて、ハリウッドでスピルバーグなどとも一緒に仕事をされています。高間さんをはじめとして、この作品は外部から名のあるスタッフを集められて、作品全体のグレードが高いという評価を得ています。ご覧になればわかると思いますが、照明などもこれまでのロマンポルノとは違う撮られ方をしていしますし、芸術性という観点から見ても非常に水準が高いと思います。映像がきれいなので女性にも受ける作品ではないでしょうか。
芸能界は16歳の頃から
高木優一:ロマンポルノは昔から芸術性は評価されていましたし、若い監督の登竜門としての確固たる位置づけがありました。
MIYAKO:あるプロデューサーの方がロマンポルノは日本の文化そのものだから、これからも火を絶やさないようにしたいねと仰っていました。今は、日本でしか販売していませんが、私は翻訳してフランスで販売していけたらいいな、と考えています。日本の芸術は結構フランスには受け入れやすいのではないかと思っています。日本独自のアーティスティックな世界が、ヨーロッパでは意外と受け入れられるような気がします。
高木優一:MIYAKOさんが、出演したのはこの『ラスト・キャバレー』1本だけですね。
MIYAKO:そうなんです。日活の新人賞などもいただいたのですが、ロマンポルノ自体が修了してしまって、結局、最初の作品が最後の作品となってしまいました。
高木優一:ロマンポルノの時代に比べ、今は性情報が簡単に手に入るようになってしまいました。
MIYAKO:簡単に観ることができ、内容はそのものズバリですよね。脳がそれに慣れてしまって、想像力をかきたてるということがなくなってきたような気がします。
高木優一:今後はどのような活動をされるのですか。
MIYAKO:このDVDの発売を機に、最近また芸能の世界からオファーがあったり雑誌や新聞記事の取材依頼があったりしています。BSフジの『クイズ!脳ベルSHOW』という番組などにも出演することが決まりました。また、20代から60代ぐらいまでの方が見ている人気のあるインターネットのサイトで、恋愛とか終活などのアドバイザーなども行っています。
高木優一:へえ、終活ですか。
MIYAKO:以前から終活のビジネスはやっていたのです。
高木優一:幅広く活躍されていますね。芸能歴は長いとお聞きしました。
MIYAKO:実は、16歳から芸能活動をしているんですよ。
高木優一:ほう、16歳から。
MIYAKO:中山美穂さんが主演の『毎度おさわがせします』というドラマにも出ていましたよ。20代から30代の頃は芸能の世界の仕事が中心でしたね。
高木優一:女優さんとして芸能界でずっとご活躍されていたんですね。
MIYAKO:演じるだけでなく、書いたり、作ったりもしていますよ。監督もやりました。また、精神医学やスピリチュアルの世界も興味があって、ずっと学んできました。終活のビジネスもそれがベースとなっていますね。
1つのことに固執せず、いろいろな事にチャレンジしたい
高木優一:いろいろなことにチャレンジされていますが、今後も1つに絞らないでさまざまなジャンルに向かうという姿勢は変わらないのでしょうか。
MIYAKO:そうですね。私は19歳の頃から一人で自分のマネジメントを行っていて、どこかに属しているわけではなかったので、自分の好きな道を自由に選ぶことができました。女優やタレント、メンタルのカウンセリング、その時々に興味があるものに次々とチャレンジしていましたね。今回のDVDの販売を機に、いろいろな番組やインターネットでの出演機会が多くなってきていますので、また芸能関連のお仕事が多くなってくるかもしれません。
高木優一:ロマンポルノの話に戻りますが、さきほども話に出ていたように、こういったDVDをコレクションするヘビーユーザーは、金銭的にある程度の余裕がある50代、60代の方が若かりし日の思い出に浸りつつ、ノスタルジックな想いで購入されるパターンが多いと思います。面白いもので、たとえば大御所俳優のシリーズ物なども、単発では売れないのに箱売りすると売れる。根本的な購入動機は同じですよね。
MIYAKO:そう思います。今回は某男性週刊誌の取材も受け、その時に終活の特集を組むような企画が上がったらその時もお願いしますねとおっしゃってくれました。終活とロマンポルノって世代的にダブるんでしょうね。
高木優一:もともと女優さんをしていらしたとのことですが、ロマンポルノのお話がきたときはどんな反応をされましたか。
MIYAKO:ヌードになるとうことにはそれほど抵抗はありませんでした。でも、脱ぐ脱がないということよりも、シナリオとか作品そのものに興味を惹かれました。直接金子監督からオファーがあり、お会いしていろいろお話を伺ったのちにお引き受けすることにしました。
高木優一:オーデションなどはしなかったのですか。
MIYAKO:制服を着ていても普通の高校生に見えて、なおかつヌードも映えるという女優さんを探していたようです。そこで私に白羽の矢が立ったということらしいです。
高木優一:なるほど。本日は大変興味のある話をいろいろ聞かせていただきありがとうございました。