
川崎市宮前区生まれ。鍼灸専門学校を卒業後、整形外科・整骨院を経て、治療の本質を求めるため単身台湾に渡り、老舗漢方店にて修行。帰国後、漢方専門薬局で6年間勤務。得た知見を元に、鍼灸・整体・漢方を融合した、独自の施術を確立し、出張専門『伊織鍼堂』を創業。これまでに、延べ1万人以上の施術実績を持つ。著書に「一瞬で体がラクになるペンつぼ押し」(青春出版社)。
体質から整える独自の治療法

この仕事を始められたきっかけを教えてください。
高校で進路を決めるとき、社会に出た後の自分をイメージしたことがきっかけです。真っ先に「サラリーマンは向いてなさそうだ」と思いましたね。そこから、自分に向いていないと思う道や、やりたくないと思った道を外していったところ、残ったものがサッカーに関われる“トレーナー”でした。小学生のときからサッカーを続けていたことから、トレーナー兼監督という指導者に出会っており「これなら大好きなサッカーに関わり続けられる!」と考えましたね。そこで、鍼灸専門学校へ進学、国家資格も一発合格し、卒業後は給与が良いところに魅力を感じ、整形外科へ就職しました。希望を胸に飛び出した社会で直面したのが“対処療法の限界”。どれだけ治しても戻ってくる人を多く見たことで「日常生活に問題があるのでは?」と考えるようになり、根本的な治療を追求するように、その結果たどり着いたのが漢方。漢方の本質を学びたいという想いが抑えきれなくなり、単身台湾へ渡り、幸運にも漢方の名医から学ぶ機会を得ました。老中医の診察を見学したときの衝撃は今でも忘れられません。患者に一言も質問することなく、脈を取り、顔色を眺めただけで症状を言い当てたのです。“症状ではなく、その人の身体全体や背景を診る”、これが本当の名医だと思いましたね。帰国後、すっかり漢方に魅了された私は、根本治療・体質改善を提供できる力をつけるべく、漢方専門薬局へ勤めながら、延べ3000件を超えるカウンセリングを実施。その中で“鍼灸・整体・漢方”を統合した「三位一体アプローチ」として、独自の治療法を確立。一人ひとりの体質・生活・思考に寄り添い、継続的に体を整えるスタイルに到達しました。その後、出張専門の『伊織鍼堂』を創業。17年以上の臨床、延べ1万人以上の施術の経験を元に、多くのお客さまをサポートしています。

仕事の特徴はどのような点にありますか?
『鍼灸』『整体』『漢方』を掛け合わせた、独自の治療法を扱う、完全紹介制の往診型治療院です。最初におこなう診断は、東洋医学による“四診”と呼ばれるもので、①望診:顔色や姿勢など、視覚を通じた診断。②聞診:声色やにおいなど、聴覚と嗅覚を通じた診断。③問診:自覚症状や生活習慣を確認する対話を通じた診断。④切診:脈に触れるなど、体に直接触れて行う診断の4つです。そこから症状を診立て、外側から治すのであれば『鍼灸』や『整体』を、内側から治すのであれば『漢方』を用いることで、体本来の力である自然治癒力を最大化させています。1回の診察・施術は50分~60分。症状に合わせて週1回~月1回、継続的にメンテナンスを行っていますね。現在は、月100件~150件ほど対応。症状にもよりますが、早ければ2週間ほどで効果を実感していただけますね。体が変わるボーダーラインは66日と言われており、本質的な改善には約2ヶ月ほどかかると考えておくと良いでしょう。

体の不安をすべて取り除く

どんなお客さまが多いですか?
40代~60代の方の利用が多く、7割は女性の方です。現役で働いている方が多いのは、特徴の1つかもしれません。専門学校時代に音楽に打ち込んでいた期間があったことも影響してか、演奏家などの音楽関係者や、ダンサーなどエンタメ業界の方も多いですね。パフォーマンスを維持したいアスリートからの依頼もいただいています。お伺いした先で、患者さんのパートナーから「自分もお願いしたい」と依頼を受け、ご夫婦やご家族で施術をしているパターンも多いですね。そのため、最年長は100歳、最年少は5~6歳の方を施術しています。このお子さまは、小学校受験に向けてストレスが溜まってしまい、体に強い張りの症状がありました。無事に合格されましたが、私の体の安定と心の安定につながる施術が、少しでも役に立っていると嬉しいですね。ありがたいことに、最近はすべて口コミによる紹介でお仕事が広がっており、ニューヨークやパリ、アムステルダム、シンガポールなど海外からも依頼をいただいています。リピート率も90%を超えており、継続的に体質改善に関わっているケースがほとんどですね。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。
患者さんの期待を超えて“その人の不安をすべて取り除きたい”と考えています。お客さまの“見えている世界を明るく照らし、今後これだけ気をつければ、不調に悩まされなくて良いという状況”をつくりたいですね。体の色々な信号を出しています。自分で体の不調に早く気づくことができれば、治療で先手を打つことができるため、少しでも違和感を持ったら、診察をおススメします。また、人間の体は、非常に精巧に作られており、まだまだ可能性を秘めています。これからは不調の改善だけでなく、秘めた力を引き出すような施術も増やしたいですね。例えば、小・中学生など、子どものころから正しい体の動かし方を習得することで、スポーツにおいて好成績を残すことは可能だと考えています。もちろん、大人のアスリートであっても、パフォーマンスの維持や最大化につながる施術はできますので、お気軽にご相談ください。これからも、体質から整える根本的な治療を磨き、一人でも多くの方の自然治癒力を最大化させていきます。

インタビュー後記
「腕を効果的に動かすなら、肩ではなくあばらから」と話す松田さん。体の構造だけでなく、重力や遠心力など物理の法則まで知り尽くした、身体の可能性を開放する魔術師だ。