まちの仕事人インタビュー
シーグラス・シー陶器アクセサリー作家
TOMOE 祖式 萌衣 (そしき もえ) さん インタビュー

1998年生まれ。静岡県出身。

休職中に出会ったシーグラス雑貨がきっかけで、シーグラス・シー陶器の魅力に惹かれていく。

自身でも、海岸へシーグラスを拾う”ビーチコーミング”に出かけ、拾い集めたカケラ達を使ったアクセサリーを制作。またオーダーメイドアクセサリーも精力的に制作している。ご自身の経験から、”今ある姿”を大切に出来る御守りのようなアクセサリーを目指し、作品をSNSで発信。一部はオンラインストアでも販売している。


オンラインストア 巴 tomoe:https://minne.com/@soshimo

海のカケラ達に”そのままで大丈夫だよ”と教えてもらって、今の私があります。

販売会でのアクセサリーの様子(2023年8月26日時点)

シーグラスとの出会いを教えてください。

シーグラスと出会ったのは、1年半務めた会社を休職していたころです。


当時の私は、世間一般に漂っている”こうあるべき姿”が全てだと思っていました。

今、思えばとても視野が狭まっていたし、その結果、自分で自分自身を苦しめていました。


そんな時、突然スマホケースが割れたんです。

このままではしょうがないと思い、新しいものを探すためにインターネットを見ていました。

その時に目についたのが、シーグラスが散りばめられたスマホケースでした。

私はそのスマホケースに一目惚れしました。しばらく見とれていると、だんだんスマホケースにあしらわれていたシーグラスそのものに興味を持ち始めました。


その時、私はシーグラスのことは何も知りませんでした。

ですが、調べ始めいくうちに、どうやら海で拾えるらしい、と分かってきました。

何かに突き動かされるように、初めて逗子の森戸海岸に行ったんです。

普段、あまりシーグラスが拾えない場所なんですが、当時は少し拾えたんです。

その時『すごい!本当に落ちてるんだ!』って感動したのを今でも覚えています。

シーグラスの魅力はどこだと思いますか?

シーグラスの形は一期一会です。

拾うタイミングが違えば、更に削れて違う形で出会っていたかもしれない。

削られ、欠けてしまったガラスをゴミと言う人もいるけれど、私はそれをシーグラスと呼んで、綺麗と思う。

そこに、あるべき姿はなく、今、”そこに在るもの”を捉えられる感覚が私らしい、

と励ましてくれている、シーグラスからそんなメッセージを感じるところに魅力を感じています。


シーグラスは人が使ってた道具や容器などが、海にたどり着いて波や潮、岩などに揉まれ削られて生まれます。

だから、過去に人の営みがない場所では拾えないんです。

何十年もの歳月をかけてシーグラスになる。そして、私と出会う。これって凄いことで、何らかの意味や目的があって、辿り着くべくして私の手元にやって来てくれたと思うのです。

シーグラスは過去の人の営みと、自然の力の両方がないと生まれません。そんなところに魅力、ロマンを感じています。


シーグラスとシー陶器を手にする萌衣さん

誰かの御守になるアクセサリー作りを。

お客様はどのような方が多いですか?

幅広い年代の方にご利用いただいております。

女性の方がほとんどで、ご自身で身に着ける用にご購入いただくことが多いです。

特に、”一点もの”に価値を感じてくださる方が多い印象です。


オーダーメイドアクセサリーをご依頼いただく方には、デザインの部分に世界に一つだけと思っていただける方、アクセサリーに込める想いや意味、メッセージ性に価値を見出してくださる方が多い印象です。

大事にしていることを教えてください。

私のアクセサリーを見たり、手に取ったりしてくださった方が、

シーグラスやシー陶器をかわいいと思って頂けるデザインを意識して作っています。

私は、シーグラスやシー陶器が一点ものだからこそ、その方とシーグラス・シー陶器との出会いが必然だと考えています。そして、シーグラス・シー陶器のアクセサリーを愛することを通じて、それを身に着けるご自身も沢山愛して頂きたいと願っています。そのためにも、私が作るアクセサリーは、シーグラスやシー陶器がかわいいと感じてもらえる、そんなデザインのものを作るように心掛けています。


また、オーダーメイドの作品を制作する時はちょっと違う感覚で制作しています。

基本、お任せとくださることが多くて、制作に入る前に必ず打ち合わせをさせて頂いております。

その時に、デザインの部分はもちろん、どんな想いをアクセサリーに込めたいかをお伺いするするようにしています。

ただ、どんな想いを込めたいか、とお伺いしてもすぐに答えられる人は少数です。だから、お話ししていく中で、大切にされていることや、そのポイントを探っていき、一緒に言語化していきます。その後、反映させたデザインを必ず複数個提示し、イメージと近いものをお選び頂くようにしています。

あくまで、私ができることはふわっとした0のところから、アクセサリーという1の部分をご提供することだと思っています。アクセサリーの1が、お客様で何かを考えられるきっかけや、手助けになったらいいなと思って作っています。


Instagram(@tomoe.handmade_)より

オーダー品のご紹介(2023年6月16日 投稿)

新たに取り組んでいることを教えてください。

最近、Instagramに人魚の物語を投稿してみました。


私がアクセサリーを作り始めたきっかけは、シーグラス達を通して、私自身が癒されるためでした。

この感覚を、過去の私と同じように辛い思いをしている人たちへ伝えたいと思ったのが、投稿のきっかけになりました。

とにかく、シーグラスの綺麗さの先にある癒しを、伝えていきたいな、と思って発信し始めました。


私は十分に癒されたから、今は自分のやりたいようになってみて、どうなるか、試している最中なんです。


まずは世界観重視のアクセサリーを作ってみたいと思い立ち、着想を膨らませて、既存の人魚姫ではなくオリジナルの人魚姫の物語を作ろうと思いました。

オレンジジュースにはまっていたので、メインキャラクターはオレンジ色の髪の毛の人魚。

その子と人間をシーグラスが繋ぐようなストーリーにしました。

多くの方に読んでいただけたら嬉しいです。


Instagram(@tomoe.handmade_)より

marmalade🍊mermaid  エピソード0(2/5)(2023年7月1日 投稿)

今後やりたいことを教えてください。

”今できることを楽しくやる”を大切にしたいです。

あまり先のことを考えすぎないようにしています。


振り返ってみると、過去、私自身が『なりたい・やりたい』よりも、

一般論で懲り固めた他人軸を生きていた時に、私は苦しかったと気づきました。

だから次は、今の私が大事にしていることにチャレンジしていくことをやってみたいと思い立ちました。

これは、私が”今を大事にしたら、どうなるのか”を確かめる、楽しい実験なんです。


嬉しいことも、悲しいことも、身に起こるもの全てを大切にする。

この感覚は、シーグラス達が私に教えてくれたことです。

繰り返しになりますが、シーグラスの初めの最初は人が使うための道具や容器で、それらは海に捨てられることが本望ではなかった。

でも、結果として海に捨てられて、姿形が変わった。そして、その姿をシーグラスと呼び、綺麗と思う人がたくさん現れている。私もその一人です。

そう思った時に、自分の身に起こることを制御しようとするのではなく、

それがどんな形になっていくのか、どこに辿り着くのか、その過程も含めて楽しみたいと考えるようになりました。


そして、人生で様々な波に揉まれるからこそ、益々美しくなっていく感覚をシーグラスを通していろいろな人に繋いでいきたい。共有したい。

私にとって、それが出来る場が”tomoe”なんです。

安心できる実験場であり、遊び場みたいな大切な場所です。


シーグラスは、私に”今、この姿が綺麗・素敵”という感覚を思い出させてくれました。

過去が辛いものであったとしても、それは今を形作っていることには変わらない。

だとしたら、そんな過去の自分ですら、許す感覚を、ふわっと簡単に思えるようになりたいし、

ゆくゆくはその感覚がいろいろな人に伝わって欲しいと思っています。


今、具体的に見えているのは、最近Instagramへ投稿を始めた人魚の物語シリーズを継続していくこと。

アクセサリーだけではなく、シーグラスに触れてもらえる機会を提供したいので、実際に海岸へシーグラスを拾いに行くビーチコーミングの会をいろいろな人と一緒にやりたいです。

自分を表現することが好きです。

アクセサリー作りの他に、好きなことを教えてください。

これまで、様々なことに触れてきました。特に挙げるとするなら、エレクトーンと、ダンスが好きです。

アクセサリー以外にもモノづくり全般好きです。

今でこそシーグラスに触れることが多いですが、羊毛フェルトやレジンアートも好きですね。

ぬいぐるみやキーホルダー作りをよくやってました。


あとは、お菓子作りも好きです。

シーグラスが食べられたらなと思って、見た目が似ている琥珀糖を作ってみたこともあります。


何かに固執することなく、今、私が表現したいものを表現できるものなら、何でも取り入れている気がします。

たまたま、今の私にとってそれがシーグラスなんです。

インタビュー後記

萌衣さんのお話は、とても奥が深く、聞いているこちらが自分に置き換えて考えさせられることばかりでした。萌衣さんはご自身の世界観を非常に大事にされている方で、私はそんな萌衣さんの世界を今後も観続けていきたい、と思っています。インタビューの間は丁寧にご自身の過去、現在、未来と向き合っていただき、伝えてくださる時間で、今思い返しても心が温かくなる時間です。

以前、私自身も萌衣さんにオーダーメイドアクセサリーを作って頂きましたが、完成した後も使用感などを聞いてくださり、アフターフォローもばっちりで感激したのを思い出しました。今回、こうしてインタビューさせて頂き、幸せな時間でした。

お問い合わせ

巴(ともえ)|シーグラス・シー陶器のアクセサリー屋(@tomoe.handmade_)

Instagram:https://www.instagram.com/tomoe.handmade_/?hl=ja#


*お問い合わせはDMからお願いいたします。

その際、『区民ニュース』の記事を読みました。と添えて頂けると助かります。


オンラインストア 巴 tomoe:https://minne.com/@soshimo