
株式会社スガルトを経営している菅好男さん。東京都港区南青山にオフィスを構え、宝石やジュエリーの企画・製造・販売を行っている。若くしてアメリカに渡り、宝石学を専門的に学んだのち、銀座のダイヤモンド会社に勤め、ベルギーやニューヨークなど海外の買い付け拠点でも経験を重ねた。製造から販売まで、宝飾業界のあらゆる工程を知り尽くしたプロフェッショナルだ。「スガルト」という社名は、自身の名「Suga」と「Art(アート)」を掛け合わせたもの。「美しいものを自らの手で生み出したい」という想いがその名に込められている。
今の仕事を始めたきっかけを教えてください。
宝石の世界に興味を持ったのは、十代の頃に見たテレビ番組がきっかけでした。ニューヨークで日本人がダイヤモンドのディーラーとして働く姿を見て、「自分もこういう仕事がしたい」と強く感じたんです。高校を卒業してすぐ渡米し、カリフォルニア大学を経てGIA(米国宝石学会)で宝石学を学びました。もともと家庭環境が厳しく、「自分で稼いで生きていくしかない」と早い時期から思っていました。独立への憧れもありましたし、自分の力で世界を見てみたいという気持ちがとても強かったです。

会社設立までの経緯を教えてください。
最初は宝石メーカーの職人としてスタートし、その後、銀座のダイヤモンド商社に転職しました。ベルギーに駐在し、原石の買い付けや品質鑑定、交渉など、ダイヤモンドの現場を徹底的に学びました。やがて、自分でデザインや製造にも関わりたいという想いが強くなり、ジュエリー企画部に異動。お客様に提案しながら商品をつくる喜びを知りました。十年後、父の事業を手伝うことを機に独立。福岡で会社を立ち上げ、それが現在のスガルトの原点です。のちに東京に拠点を移し、本格的にジュエリービジネスを展開しました。
会社の特徴を教えてください。
スガルトの最大の特徴は、「生成AIを活用したジュエリーデザイン」です。お客様がAIで作成した画像データをもとに、当社がそのデザインを具現化します。「自分だけのジュエリーを作りたい」という想いを、AIと職人の技術で形にできる時代になりました。最近ではモニター企画も実施し、多くの方にご参加いただいています。また、日本国内で研磨されたダイヤモンド「日本研磨ダイヤモンド」も扱っており、熟練マイスターの技による美しいカットが高く評価されています。
「立ち止まらず挑戦し続けること」「人との縁を大切にすること」

お仕事で大切にしていることを教えてください。
最も大切にしているのは、「信頼関係」です。ダイヤモンドビジネスは、契約書よりも人と人とのつながりを重んじる文化があり、取引は言葉と信頼で成り立っています。だからこそ、どんな仕事も誠実に、相手を裏切らない姿勢で臨むことを心がけています。製造では長年信頼を築いた提携工場と連携し、品質管理にも細心の注意を払っています。小さな会社だからこそできる細やかさとスピード感を大切に、お客様の期待を超えるものづくりを目指しています。
この仕事のどんなところが好きですか?
やはり「お客様が喜ぶ瞬間」を見られることです。ダイヤモンドの輝きはもちろんですが、それを身につける方の表情が一番のご褒美です。また、長年この業界にいると、天然石の美しさや希少性を再認識する場面が多くあります。AI技術が発達しても、やはり人の手で磨かれた本物には特別な力があります。その輝きに関われること自体が、この仕事の魅力です。

今後やりたいこと、展望を教えてください。
今後は「AI×ジュエリー」の可能性をさらに広げたいと考えています。 一般の方でも自由にデザインを生み出せる時代です。そのアイデアをプロの技術で形にする、そんな新しいジュエリーづくりの文化を広めていきたいと思っています。また、日本の職人技を次世代につなげるため、国内研磨ダイヤモンドの普及にも力を入れたいです。
成功哲学を教えてください。
私の中で大切にしているのは、「どんな状況でも立ち止まらず挑戦し続けること」です。若い頃から、自分の力で道を切り開くしかないという環境の中で生きてきました。海外での経験も、独立も、常に「やってみなければ分からない」という気持ちから始まっています。挑戦の中で失敗することもありますが、それも次への糧になる。大切なのは、恐れずに動き続けることです。
そしてもう一つ、「人との縁を大切にすること」です。 一つの出会いが次の機会を生み、新しい世界を広げてくれます。誠実に向き合ってきたその積み重ねこそが、今の自分を支えているのだと感じています。
インタビュー後記
穏やかな口調の中に、確かな信念を感じました。長年にわたってダイヤモンド業界の最前線で磨き続けてこられた経験と、AI時代にも変わらない「人と人の信頼」を大切にする姿勢がとても印象的でした。華やかな業界の裏側にあるのは、誠実さと責任感に支えられた職人としての真摯な思いです。どんな時代でも、「心を込めた手仕事が人の心を照らす」、菅さんのお話を通じて、改めてその大切さを感じました。
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