どう在りたいかを大切に考える　〜ハートフル訪問看護ステーション中目黒　吉岡明日香さん〜

作業療法士になられたきっかけを教えてください

高校時代、その先の進路を考える際に『こんな仕事をしたい』『こんな人になりたい』というようなイメージがあまり見いだせず、このまま何も考えずに進学していいものなのかと立ち止まることがありました。高校卒業後は進学せずに、本当にやりたいことは何なのか模索していたところ、縁があり特別養護老人ホームにてボランティアをさせていただくことになりました。高齢者の施設であるので、身体リハビリ等に関する理学療法士さんも多くいらっしゃいましたが、精神認知機能面のアプローチをされていた作業療法士さんにも触れ合えたことが、作業療法士を目指したきっかけです。作業療法士の『精神と身体の機能を結びつける』ということに対して魅力を感じたことを覚えています。

在宅の領域での活動を選択されたのはなぜですか？

作業療法士となってからしばらくは精神科の病院で活動していました。当初は目の前の入院患者さんと向き合うことに集中していたのですが、キャリアを積むなかで在宅地域と医療機関との繋がりを意識するようになりました。長期入院の方が多かったのですが、退院後に患者さんがどんな人生を歩んでいきたいと思っているか、入院中にどんな準備ができるのかを考えるようになりました。実際に看護師さんのサポートとして在宅の現場に伺う機会も増え、経験を重ねる中で『自分が本当にやりたい仕事は在宅』であると確信し、自らハートフル訪問看護ステーションの扉を叩きました。

ハートフル訪問看護ステーションではどのような活動をされていますか？

『その方が大切にしている生活活動の全て』が作業であるという捉え方をしています。例えば、顔を洗う、歯磨きをする、朝食を食べるといった全てがその方にとって必要な作業です。その作業が、精神障害の何らかの症状でし辛くなっていた場合、『どうしたらし易くなるか』『大切な作業がどの様になれば生きやすくなるか』。そんな考え方で常に関わっています。

自宅にいても中々活動が出来なかった利用者さんと対話を重ねる中で、その方が料理に対して興味を持たれていたことに気付き、手を取り合って一緒に料理本を作ったこともあります。もともと料理の習慣がなかったのに、それをきっかけに生活の幅が広がり、ご家族がとても喜ばれたことは非常に印象に残っています。作業療法士の仕事は、生活の中でとても幅広いからこそ、説明が難しい部分もあるのですが、その分やりがいを感じています。

仕事の中で大切にされてることはありますか？

その方がどうありたいかということを常に大事にしたいと思っています。だからこそ、私からの提案ばかりではなく常に『対話』することを意識し、相手の言葉をぐっと待つことも心がけています。

ハートフル訪問看護ステーションの特徴はありますか？

最近では、精神科領域のの訪問看護ステーションが増えつつありますが、当ステーションでは作業療法士の仕事をとても大切に考えてくれています。先ほどお話した通り、精神疾患で悩まれる方にとって、作業療法士がアプローチすることで多くのことでお役に立てます。当ステーションのように常に10名以上の作業療法士が在籍している所は殆ど無いはずです。

看護師さんとは違った専門性を発揮できる人間がこれだけ多くいますので、自身が悩んだときに話し合える仲間がいることも心強く感じています。多くの作業療法士が在籍していますが、それでもまだまだ人手は足りないこともありますので、在宅領域で作業療法士として活躍したいという方がいらっしゃれば、当ステーションの門を叩いていただきたいと思っています。

インタビュー後記

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