まちの仕事人インタビュー
地域密着70年!地元に愛される工務店に
株式会社天山工務店 代表取締役 田中 啓太 (たなか けいた) さん インタビュー

奥沢生まれ奥沢育ち。

22歳で天山工務店入社。

平成28年に代表取締役就任。

天山工務店について教えてください。

私の祖父の代からこの奥沢に1945年創業で工務店業を営んでおります。私の父の代までは大工の棟梁という形で運営をしておりました。私がこの会社に入った20年ほど前には、大手ハウスメーカーが台頭してきていたこともあり工務店は仕事が少なくなっているという環境でしたね。その少し前までは、家を建てるといえば工務店に依頼をし、安価に抑えたければハウスメーカーというのが基本的なイメージだったように思いますが、現在ではすっかりその逆になってしまいました。そんな状況を変えていきたいというのが私の思いです。

どのようなこだわりをお持ちですか?

まずは、地域密着という点には重きを置いています。この奥沢地域、世田谷地域で私たちの付加価値をお届けし、会社として成長していきたいと強く願い続けてきました。今では、従業員も増えてきたので、ご要望があればもう少し広範囲にお仕事をさせていただいていますが、我々が目の行き届く範囲でしっかりとした仕事をしていきたいという想いは今でも変わりありません。


家を建てれば関係が切れるというものでもありません。その後も、不具合が生じればお伺いをしますし、リフォームもお手伝いをします。地域と密接にかかわっているとお客様と我々は常に顔を合わせている状態になります。どこに行っても誰かに会いますからね。その分責任感も生まれます。いい加減な仕事なんてできません。良い仕事を追求していくという覚悟も決まります。そういう部分も含めて地元というものを大事にしていきたい想いは年々強くなっていきますね。


サービスの提供という点に関しては、私は自身の仕事に対して元来、商品・モノの販売というような考えを持っていません。新築の場合だと、注文住宅ということになりますが、お客様毎のオーダーメイドになりますので建売のように決まった形はありません。


営業、設計、施工、現場管理含めてすべてワンストップで行うことで、より少ないストレスでお客様のご希望に沿った家づくりをご提供しています。内装に言及をすると、もちろん協力会社への委託という部分もありますが、ここに関しては関係づくりを意識して仲間として取り組ませていただいております。この部分は他社との大きな差別化ポイントであると思います。設計から現場管理までワンストップでやっているという会社は数が少ないですからね。


加えてトレンドを取り入れるということも意識して行っています。工務店と聞くと何だか古いイメージがありませんか?だからこそデザインに関しても今のトレンドを取り入れながらやっていますね。技術的な安心とデザイン的な多様性のバランスを重視しています。


工務店でのお仕事は大変な想いをされたことも多かったのでしょうか?

そうですね。大変でしたよ。私は22~23歳頃からここでお仕事をさせていただいていました。祖父も父も職人気質で言葉通りの大工の棟梁という感じです。私自身は営業や経営という部分に注力して仕事をしていたこともあり、その頃から経営者としての目線をもって業務に努めていました。


先ほどお伝えしましたがハウスメーカーの台頭もあり環境的には大変厳しかったですね。チラシや広告を配り歩いたり、ホームページを開設したり当時できることは何でもしてきましたけど3,4年ほどは成果もなかなか上がりませんでした。これはあくまで新規開拓という意味ですから、これまでのお客様との関係からお仕事がないわけではありません。


しかしそうした地道な営業をしていますと、少しずつ認知され始めてくるものです。天山工務店の名前入りの車を走らせていると、段々と「よく仕事をしているね」と声をかけていただくようになりました。お客様からの口コミで新規の方のご相談を承ることも増えてきます。そうした形で従業員も増え、お客様も増えてきたという流れです。地域を大切にしたいという想いは、我々がこの地域の方に育てていただいた、支えていただいた恩返しでもあります。


今では新築のお問い合わせが月間で30件ほど、リフォームに至っては年間900件ほどのご相談がありますので、苦労しながらも地域に密着したおかげかなと思います。



社員の方とのかかわり方を教えてください。

これは私の今後の展望にもつながるのですが、人材育成というのも今後の重要な取り組みの一つとしてとらえています。建築業界に育ててもらった私ですが、やはり業界のイメージは3K(きつい、きたない、きけん)という部分があって否定できるものではありません。しかし変えられるものもあるというのが私の考えです。


社員が自分たちで考えて推進したいことをSNSツールをうまく使って、Youtubeのようなコンテンツで情報発信したりもしています。この部分は若い子たちのほうが圧倒的に得意じゃないですか。勿論オブザーブには付きますけど、やりたいことをやらせてあげるというのも責任感を持ってもらう上では必要なことだと思います。


若い世代がもっとこの建築という分野に興味を持ってもらう方法を考えるのも我々世代の役割だと思っています。そうやって一人でも興味関心を持った若手を育成することが業界への恩返しにもつながるのかなというのが私の考えです。

今後の展望をお聞かせください。

出来ることを増やしていくというのは引き続き追求していきたいですね。最近では不動産も取り扱っていますので、土地の選定から売買までお手伝いをすることができます。先日はあるお客様が遠方に保有していた土地を売却し、現在お住いの土地の隣が売りに出たので買いたいというご相談を頂いたのでお手伝いをしました。お隣の土地には家が建っているのですが、これを壊すのも新たに家を建てるのもすべて私どもで承ります。こうなってきますと家にまつわるほぼすべてのことができるようになるので、お客様からは大変喜んでいただけると思います。


今後も50年、100年とこの地域に愛される工務店でありたいですね。そのためには歩みを止めることなく、自分たちに出来ることを続けていくつもりです。個人的には引退までにあと数店舗増やして、もう少しだけ広範囲にお手伝いしていければなと思っています。

インタビュー後記

田中さんはコミュニケーションとしての心の距離感が抜群にうまく、あっという間に打ち解けてお話を伺うことができました。とにかく頼れる兄貴という感覚を勝手にこちらが持ってしまう人間性に惚れてしまいます。現在、支店で働かている方の中にも若かりし頃に飲食店で働いていた際の同僚の方もいらっしゃるようで、俺のところで面倒見てやるから来い(ニュアンスですよ)ということで引っ張ってこられたとのこと。地域の方にもとにかく愛される豪快な一面を持ちつつ、細かい配慮・思慮が行き届いた経営者としての考えを拝聴し二度男惚れ。若い世代をしっかり育ててチャンスをあげたいと語る姿に熱くなりました。奥沢地域の方は小さなリフォームから相談に乗ってくれるこんな素敵な工務店があってうらやましいです。

お問い合わせ

株式会社 天山工務店

〒158-0083

東京都世田谷区奥沢1-52-1

TEL:0337291615

HP:https://www.tenzan.net/

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。