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他人に貸している土地が、競売にかけられました。
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/07
他人に貸している土地が、競売にかけられた事を裁判所からの競売開始の通達で知りました。貸している土地はアパートを建てるから道路を作らないとアパートの申請がおりないととりあえず20年の契約で交わしたものです。
契約途中に借り主が代わっていなくなってしまったと聞き、そのアパート自体に25年土地を貸したままになっています。借り主が行方知れずになってしまったので、5年間分の借地料は頂いていません。驚いた事に競売開始の書類で、土地の借り主が我が家が土地を貸した人物のままである事を知りました。ずっと騙され続け、借地料も支払われず、競売にかけられるなんて酷い話です。
法務局で登記簿の確認をしたあと、裁判所で相談いたしました。来週、競売にかけた側の代理人と連絡を取ろうと思っています。貸している土地は差し押さえされているのですが、取り下げていただけるのでしょうか?知恵もなく不安な事だらけです。何卒ご助力をお願い致します。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
他人に貸している土地について、その土地に建てられた建物が借地権ごと差押えられて競売に付されるとの連絡が裁判所からあった、というケースと伺った上で回答させていただきます。
建物は借主のものですから、借主が負債をかかえ弁済できなかったときには、債権者から差押えられることは十分ありえます。その際、借地権も建物に従たる権利として差押えの対象になります。
ここまではやむをえない部分ですので、他人に土地を貸して建物を建てることを認めるということは、残念ながら最初からこのようなリスクを負った行動であるといわざるをえません。
ところで、建物の差押え競売が、果たして地主にとってリスクといえるのかを検討するには、この後の流れをみてみる必要があります。競売に付されて建物及び借地権は、落札者のものとなり、その落札者が新たな賃貸借契約の相手となります。借地人はもちろん地代支払いの義務を負います。落札者に所有権が移転するのは、落札代金を納めたときとされていますから、地代の支払いもそれ以降ということにはなりますが,今の借地人は現に5年も地代の支払いをしておらず,今後も支払われる見込みは乏しいので,まだマシといえるかもしれません。
どこの誰に落札されるか分からないという不安もおありかと思いますが,その心配は今に始まったことではなく,借地人は原則として誰にでも借地権ごと建物を売却できてしまいます。もちろんその際には,地主の承諾が必要にはなりますので,問題ある相手の場合には承諾を拒否できます。しかし,その「問題」が裁判所が考えるような問題ではなければ,申立てにより地主の承諾に変わる許可というものを出す制度もありますので,やはり絶対的なものではありません。
以上のように考えますと,固定資産税の負担があるばかりで,地代は入ってこないような状況が,競売によって打開できたという評価もできます。
さて,債権者代理人に連絡をとられるとのことですが,交渉に応じてくれる可能性はゼロではないものの厳しい状況です。債権者としてもそれなりの手間と費用をかけて正当に差し押さえや競売申立てをしていますので,それを覆すような何かを提供できるかどうがが問題になります。そうした利害状況も含め,いまどのような状態に置かれているのか,一度弁護士に依頼して状況を整理してもらうことをお勧めします。