多摩区 > 区民のミカタ > トラブル > 本間 正俊 > 詳細
遺言に自分への相続がない場合、相続権利は全くないのでしょうか?
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/06
父が亡くなり『全ての不動産、預金は長男に相続させる』との遺言状が見つかりました。
母は既に8年前他界、兄弟は私と兄の2人です。
私の相続権利は全くないのでしょうか?
自分としては幾らかもらえるものと思っていただけに納得できません。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
お父様の遺言がある以上,残念ながら相続自体はそのとおりに行うことになります。
しかし,法定相続人には遺留分というものがあり,それが侵害されている場合は侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
遺留分は法定相続分の2分の1ですから,兄弟お二人で法定相続分は2分の1,さらにその2分の1で4分の1が遺留分となります。
今回は全額がお兄様に相続されていることになりますので,その4分の1の金額をお兄様に対して請求することができます。
以前は遺留分減殺請求という制度があり,これを行使すると不動産については共有持分を有することになりましたが,令和2年の民法改正でこの制度は廃止され代わりに上記の遺留分侵害額請求という制度が設けられました。
これにより,不動産の共有持分を当然に取得することはできなくなり,不動産も含めた全財産の評価額を基準として遺留分割合に応じた金銭を請求できるのみとなっています。
従いまして,お父様の全財産の評価額の4分の1に相当する金額をお兄様に請求することで,4分の1分を相続したのに近い結論にたどり着くことはできるということになります。
とはいえ,相続財産額をどのように算定するか,遺留分侵害額請求を実際にどのように行うか,といった問題も残ります。
兄弟間でうまく話し合いができるとよいのですが,難しい場合もあるでしょうし,やり方を誤って兄弟仲が無駄に悪くなってしまったというケースもありますので,まずは弁護士に相談されるのをお勧めいたします。