多方面から介護を見る

〝バランス力〟で

本質的なケアを目指す

PROFILE

たぐち りょう:33歳/幸区の特別養護老人ホーム勤務。生活相談員。

専門学校卒業後、「介護福祉士」「介護支援専門員」を取得。

現在は「社会福祉士」取得を目指し勉強中。妻と子ども2人の4人暮らし。


INTERVIEW

田口さんはいつ福祉の仕事に興味を持ったのですか?

私が高校生まで住んでいたのは、ご高齢の方が家を行き来するような町でした。ご高齢の方と接する機会がたくさんあったので、幼い頃から自然と福祉の仕事には興味を持っていたんです。「福祉職はおじいちゃんおばあちゃんと楽しくお話をする仕事」という程度の軽い認識だったのですが(笑)。

その考えが変わったのが、高校の福祉実習で介護老人保健施設に行ったとき。実際の現場を見て衝撃を受けたのです。身体介助が必要な方や、認知症でコミュニケーションを取るのが困難な方など、さまざまな高齢者がいることを初めて知りました。そこで排泄介助を任されたときに、想定外の出来事が起こり硬直してしまって、うまく対応ができなかったんです。でもそれを見たスタッフの方がテキパキと対応されて、利用者さんが「ありがとう」と嬉しそうな表情に変わった。ケアによって利用者さんの感情が引き出された場面を目の当たりにし衝撃を受けたと同時に、「これが本当の介護なんだ」と感動しました。このとき、自分の目指すところは「福祉」だと感じたんです。


生活相談員、ケアマネジャーとはどういったお仕事なのでしょうか?

施設の窓口として入居の案内をしたり、入居者さんやご家族の方の意向を反映して最適なケアプランを提案する仕事です。学校卒業後は介護士として働いていましたが、より広い視野でその人をケアできる立場でいたいと感じ、この仕事を選びました。

介護は、現場でのワンマンプレイではなく、介護士、ケアマネジャー、医師、看護師、機能訓練士、管理栄養士、厨房の職員等の専門職が連携を図って進めていく多職種協働のチームケアです。その人らしい生活を多方面からケアしていくこと。それが「本質的な介護」だと日々感じています。

本人やご家族の多様なニーズを、まずは受け入れる姿勢でいること。自分と意見が違っても、それが利用者さんにとって害のないことであれば、他職種と連携をとる、家族の確認をとる、一度試してみるなど、さまざまな方法を提案していける「バランス力」を意識していきたいですね。現在は、「社会福祉士」の資格取得に向けて勉強中です。


福祉の仕事に興味のある方は、何から始めれば良いでしょうか?

福祉の仕事に興味があっても、いきなり現場に入って直接介護をすることに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし最近は、フロアアシスタントや介護補助員という名前で、洗濯、食器洗い、シーツ交換、オムツやタオルの準備などの間接業務を行ないながら現場に触れられる仕事も増えています。高校生のアルバイトを受け入れている施設もあるんですよ。このように、福祉の仕事はだんだん身近なものになりつつあるので、比較的目指しやすい職業へと変化してきていると感じます。ぜひ、福祉の世界に一歩足を踏み入れてみてください。



田口さんが面談した利用者さんとご家族の方と記念撮影。最適なケアを提供するためには親密なコミュニケーションが欠かせません。




社会福祉法人川崎市社会福祉協議会

川崎市福祉人材バンク

TEL:

044-739-8726


※好評連載中!介護冊子「介護のシゴト」から抜粋