まちの仕事人インタビュー
日本と世界の架け橋となる
株式会社SeiRogai 代表取締役COO Rachel Leng (リン・レイチェル) さん インタビュー

シンガポール出身。ハーバード大学院を卒業。日本の投資会社や韓国のシンクタンクなど、多国籍企業での勤務経験を持つ。金融・国際関係・異文化管理・公共政策・市場調査・投資運用及び事業開発の専門家として幅広い分野で活躍。2019年より『株式会社SeiRogai』を共同創業。元ミス・シンガポールタイトル保持者。

東南アジアの魅力を日本に届ける

シンガポール中小企業庁主催のイベントでご挨拶するユエン・サムミヨル氏(左)とリン・レイチェル氏(右)

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

“日本の文化や工芸品・特産品”をもっと世界に知ってもらいたいと考えたことがきっかけです。これまでに多くの国に住み、訪問してきましたが、日本ほど多様な文化を持つ国には出逢ったことがありません。その一方で、海外から日本に来る多くの外国人は『KYOTO』『TOKYO』『OSAKA』といった有名な観光地しか訪ねていません。これは、外国人が有名な観光地に行きたいということではなく、地方の観光地の発信が、海外に届いていないという現状があるためです。私は東南アジアの文化や価値観に詳しく、それらの国に住む人のニーズは把握できています。みなさん、日本の文化に、とても興味を持っていますよ。しかし地方の情報は少なく、海外を結びつけるものは、現在もほとんどありません。そこには、大きなギャップがあると感じました。そこで、私が東南アジアと日本の架け橋になりたいと考えたのです。職歴としては、韓国トップランクのシンクタンクへ入社。その後、日本の投資会社へ転職し、日本の会社の文化と意思決定の仕組みや商習慣を学びました。積極的に日本語を使えるようになりたいと考え、仕事をしながら一生懸命勉強しましたね。調査・分析の能力を高めるとともに、地域の企業の声に耳を傾け、海外へ届けることがワンストップでできるよう、知識と経験を磨きました。そして2019年、翌年にオリンピックを控え、海外の企業や人が日本に大きな興味を持ち、注目していたタイミングで、インバウンド需要を見越して『株式会社SeiRogai』を創業しました。

どのようなサービスを提供されていますか?

新たなVODインターネット配信システム『SeiRogaiTV』を開発


企業や自治体の国内外への発信・展開をワンストップでサポートしています。その中でも、私の投資会社や海外のシンクタンクでの経験を生かした『東南アジア研究』『異文化コミュニケーション』もう一人の創業者であるハリウッドで経験を積んだプロデューサーの技術を生かした『動画制作・映像制作』に強いことは弊社の特長です。その他にも、市場調査、海外展開戦略・海外販路開拓の支援、創業支援などを含む『ビジネスコンサルティング』に加えて、『情報発信サービス』をスタートしました。その一つが最先端技術を活用した『DXプラットフォームの開発・運営』で、中心となるものはSeiRogai TV』という動画ストリーミングサービス世界中の人々が日本や東南アジアのさまざまな地域の文化や歴史を体験し、没頭できるようなプラットフォームを作ることを使命と考えてスタートしたサービスで、NetflixやAmazonプライムでは取り扱いのない、東南アジア圏の映画やドラマを気軽に見てもらうことができます。1日だけ視聴できるプランもありますので、是非チェックしてみてください。弊社が提供する映像は、すべて私たちが目を通し、日本や海外で人気の出そうなものに絞り込み、英語と日本語の字幕をつけて発信。


例えば、タイ周辺の旅行やあまり知られていない場所を紹介する『Jawdropper』シリーズは、東南アジアで1,400万回も再生されている人気コンテンツですが、日本で日本語字幕つきで見ることができるのはSeiRogai TVだけです。また、“ガールズ・ラブ”の人気作『ジェリーフィッシュの恋(英題:Yes or No)』シリーズ3作品を同じプラットフォームで日本語字幕付きでご覧いただけるのは、現在全世界でSeiRogai TVだけです。


いずれはここに日本の映画やドラマを加えて、どんどん発信していきたいですね。日本はアニメに代表されるように、映像にはとても力があります。現在、日本国内でもアニメやマンガを軸にした地域振興は行われていますが、私はそのコンテンツをさらに海外へ届けたいと考えています。また、将来的には弊社がオリジナルの番組を作ることも視野に入れています。地域の歴史や文化、お祭りなども映像に収めて発信したいですね。弊社には、外国人の視点で日本の魅力を切り取り、外国人の視点でメッセージを伝えることができます。一言で伝えるといっても、届ける国によって文化が違うため、それぞれの国の言語字幕を付けて終わりということはありません。各国の文化や社会の背景に気を配りながら、最適な形に整えたうえで、丁寧に発信していく必要があるのです。今後は、地域の文化だけでなく、地域の工芸品・特産品を作る企業を取り上げた、トーク・情報・ドキュメンタリー番組も作りたいですね。企業の歴史やストーリーなどを紹介する番組をイメージしています。

日本の魅力を世界へ発信する

最近の活動について教えてください。

内閣府、日本経済新聞社と共同で、海外向け番組ChannelJAPANにて『デジタル田園都市構想』を紹介するテレビ番組の制作支援に携わり、私はナビゲーターとしても登場しました。番組内では日本が解決に取り組む社会課題と、地方創生活動についてクローズアップ。デジタルプラットフォーム/サービスを利用した地方の取り組み事例や、規制緩和に伴うアジアを筆頭とする海外市場参入への有益性を解説。DX技術が地域幸福度の向上や観光地に勢いを取り戻す重要なカギとなることを伝えました。  


日本を紹介するアジア向けテレビ番組Channel JAPANにて、リン・レイチェルがナビゲーターとして登場


また、東南アジアとの強い架け橋となるべく、シンガポール政府とも契約を結びました。直近では、シンガポール中小企業庁の依頼で動画を制作し、都内のイベントでお披露目されました。内容は、シンガポール中小企業庁のサービス概要と、日本市場へ進出したシンガポールの中小企業の体験談をまとめたものです。このイベントへは日本国内外の多くの企業が参加しており、制作した動画が大きな注目を集めました。シンガポールとのビジネスに興味があっても、何から始めたら良いか分からないとう日本企業の方は、お気軽にご連絡ください。このように、シンガポール政府と密接なつながりがあるだけでなく、現地のシンガポール企業とも良好な関係を築いていますので、日本企業のシンガポールを含めた海外進出を積極的にサポートします。また、SeiRogai はJAPANブランド支援パートナー企業として認定されており、企業様の海外進出を全力でお手伝い致します!

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

創業時から “日本と世界の架け橋になる”という想いを持ち続けています。『SeiRogai TV』では、特に知名度や情報発信に課題を抱える日本の地域を取り上げることで、認知度の向上と、地域活性化の力になりたいですね。私たちのメソッドは「エンターテイメント」「エデュケイション」「エンゲージメント」の3つ。これからも、地域や企業の持つ魅力をひとつのストーリーにまとめ上げ(エンターテイメント)、見た人に気づきや学びを与える、教育性のある内容に整え(エデュケイション)、地域のコミュニティなどとの社会的な交流ややりとりを促す(エンゲージメント)効果のある映像の制作を行っています。これからも、日本の魅力をどんどん世界へ発信していきますので、みなさんお気軽にご相談ください。


インタビュー後記

「色々な国に住んだが、外国人から見て、日本に住むことは最もハードルが高い」と話すリンさん。外国人に向けた、日本の文化や習慣を伝えるメディアが少ないことが大きな理由だ。一方で、海外への発信の方法が分からないことで、世界と繋がれていない自治体や企業は多く、常にもったいないと感じているとのこと。日本人の“当たり前”が、海外では“魅力”に変わる。リンさんの目には、日本の文化が輝いて映っている。

お問い合わせ

名前:株式会社SeiRogai

HP:https://www.seirogai.jp/  

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。