社名:合同会社リボーン
代表:高島 成央
設立:2016年
場所:台東区蔵前
今回取材に伺ったのは、東京都台東区にあるエキゾチックレザー専門店『リボーン』。
一般的な牛革とはひと味違う、クロコダイル(ワニ)、リザード(トカゲ)、オーストリッチ(ダチョウ)、パイソン(ヘビ)などの革製品を取り扱っています。店主・高島さんの革に対する想いを伺いました。
起業に至る経緯
父がもともとエキゾチックレザーの卸業をしていたので、革は幼少期から身近な存在でした。夏休みになると兄弟3人で車に乗せられて、会社に行って、塩漬けのワニ革の枚数を数えさせられていました。何千枚もあって、1日では数えきれなくて、2、3日通った記憶があります。
生きたワニを抱えるお父様
2007年に父が亡くなった時、当時は役者として舞台やドラマに出演していましたが、遺された革の在庫を見て“もったいない”と思い、事業を引き継いで専念することに決めました。命の連鎖というのは、人間も動物も同じで繋がっていくものだと思っています。父の革も誰かの手に渡って新しい形で生き続けてほしい。自分もその繋ぎ目の役割を担いたいと思いました。
革製品を作るようになったのは、自分の“生きた痕跡”をどこかに残したいという想いが強くなったからです。皮の卸をずっとやってきたけど、皮を売るだけじゃ、自分の存在は何も残らない。でも製品だったら、少なくとも形としてこの世に残ります。
エキゾチックレザーの魅力
エキゾチックレザーって、地球上のいろんな場所で生き抜いてきた動物たちのDNAが可視化されてるものだと思うんです。それぞれの生活環境で進化してきた証が、ウロコ模様という形で残ってる。染色して仕上げるのは人間の技術だけど、自然の英知と人間の英知が重なって完成してる。それがエキゾチックレザーの魅力です。同じ種類の革でも個体差によって鱗の大きさや形が違って、全く同じものは二つとない。持つ人間自身も、世界に一人しかいない特別な存在だっていうことを、革を通じて再認識できる。そんなアイテムだと思ってます。
メキシコクロコダイルの皮
ダイヤモンドパイソン(錦蛇)の皮
商品について
リボーンの製品は“Made in Tokyo”にこだわっています。フランスに行った時に“Made in Paris”という表記を見て、いいなと思いました。東京という名前は世界的にも有名ですし、東京の職人が作る製品を“メイド・イン・トーキョー”として届けていきたいと思っています。
商品のラインナップとしては、エキゾチックレザーを加工した製品で、お財布がメインですが、比較的安価なカードケースやキーホルダーなども人気です。
お財布の中で特に思い入れがあるのが、特許も取得している弊社オリジナルの『リボーンウォレット』という商品です。
折り目部分にファスナーを使い、2つのパーツに分解できる構造になっています。恋人同士や夫婦でパーツをシェアしたり、新しいパーツを買い足してオリジナルの組み合わせを楽しんだりと、自由度の高い財布です。

「リボーンウォレット」を思いついたきっかけは、2007年に父が亡くなって、2009年に離婚して、2013年には祖母も亡くなったこと。あの頃、人生って別ればっかりだなと思いました。でも考えようによっては別れがあるから出会いがある。縁で繋がっていくんだなと。そんな流れを財布の形で表現しようと思いました。
財布は必ず持ち歩くものです。お金は命を削って得た対価。そのお金を入れる財布は、単なる道具じゃなくて、その人の人生を包む器だと思ってます。常に身につけているものだし、持つ人にとっては分身みたいな存在になる。リボーンウォレットはそういう意味でも、自分の考えを形にしたものです。
※リボーンウォレットの特許出願の経緯についてはこちらよりご覧ください。
最後に
エキゾチックレザーの世界では、絶滅危惧種の問題があって、使える種類や量も年々減っています。例えば扱えるトカゲの種類が減っていたり、痩せたサメしか捕獲できなくなっていたりします。供給が減れば、当然値段も上がっていく。これからもっと手に入りにくくなるでしょうし、そういう意味では時代と逆行している業界かもしれませんが、人と同じものを持ちたくない人にはエキゾチックレザーの良さを知ってもらいたいです。牛革の財布なら世の中にたくさんあります。でも、ワニ革やトカゲ革は選ぶ人自体が少ない。だからこそ特別感がある。店内には製品だけでなく、製品になる前の皮も展示しているので、ぜひ足を運んで頂き、想像力を広げて楽しんでみて下さい。

インタビュー後記
出てくる皮の種類が全て初耳で、そんな動物の皮から製品を作れるんだという驚きがありました。今回話を伺って、エキゾチックレザーがどんなものなのか実際見て、触れてみたいとまず思いました。またお財布についても考えさせられる機会になりました。キャッシュレスが進み、現金を持ち歩く機会は減っていますが、「財布は命を削って得た対価であるお金を入れるもの」という言葉にはっとしました。こだわった一品を選んで、大切に使いたい。そう思える取材でした。
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