【企画展イチオシ資料 ~東京市から東京都への事務引継】

 昭和18年(1943)7月1日、東京府と東京市を廃止し、東京府区域に東京都が設置されました。設置根拠は、「東京都制」という法律の施行によるものです。東京都制は、首都東京における大都市行政を円滑に遂行するため、国の地方行政官庁としての「東京府」と、基礎的地方公共団体「東京市」という二重監督体制による弊害を改め、国の直接監理下に置くという目的で制定されました。
 東京都制発足にあたっては、東京府・東京市の業務が東京都に引き継がれましたが、当館に残る事務引継文書は、東京市から提出されたものだけです。
 7月1日午前11時43分より長官室で、大達茂雄都長官、松村光麿次長(前東京府知事)、岸本綾夫前東京市長三者が鼎座(ていざ:三人の者が向かいあってすわること。)の上で事務引継を行い、岸本前市長より引継事項につき詳細な説明があり、歴史的事務引継は滞りなく正午に終了しました(都政週報第1号)。

 当館が所蔵する「事務引継書 冊の1」(請求番号:325.E3.04)をみると、引継文書は、市長室秘書課の主管事項からはじまり19もの調書が用意されています。同じく冊の1には、東京都制施行令に基づき、都長官が内務大臣宛に引き継ぎが完了した旨を報告した際の文書が綴られており、施行日が8月18日となっています。東京都が設置されてから約1か月要していました。
 この「事務引継書」は、簿冊にして10冊。東京都が設置される以前の東京市は、昭和15年時点で人口約677万人を抱えていました。現在の横浜市が約377万人ですから倍近い規模です。東京市という巨大な都市の行政を引き継ぐためには、これだけの文書量が必要だったことがわかります。

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(紹介資料)
事務引継書 冊の1~10(昭和18年)請求番号:325.E04~13
事務引継報告ニ関スル件(昭和18年8月18日施行)請求番号:325.E04

(参考資料)
東京都「都政週報第1号」昭和18年 請求番号:市刊L393
総務省ホームページhttps://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/shitei_toshi-ichiran.html

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