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タンスの奥から認知症で療養中の母の遺言書が見つかりました
(1年前の記事です) 掲載日:2024/03/23
認知症で療養中の母の遺言書がタンスの奥から見つかりました。
インターネットで調べると、住民票などを添えて家庭裁判所に持っていくとありますが、本当にそれが正しいのかわからず、困っています。自筆遺言書なので、正式な公正証書?で書かれたものでないのですがこれは無効になることのでしょうか?本人はまだ至って元気なので当分生きると思いますが、とりあえず自宅で保管して、母が亡くなった後で家庭裁判所もしくは公証役場に届けてもいいでしょうか?
今の時点でどういう手続きを取ればいいのか教えて下さい。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

遺言は必ずしも公正証書で作成される必要はなく、自筆で書かれた遺言書ももちろん有効です。
ただし、自筆証書遺言は、遺言の作成段階で満たさないといけない要件があるので注意が必要です。
・本人が全文自筆で書くこと(添付の財産目録は自筆以外でも可)
・作成した日付を特定できるように書くこと
・氏名をフルネームで書くこと
・印鑑を押すこと
・訂正や加筆する場合は決まったルールに従って訂正すること
また、上記要件の他にも、いざ、不動産の名義変更をしようとした時に、誰に相続させたいかが不明瞭、不動産の特定が不明瞭で自筆証書遺言を使ってのお手続きができず、せっかく遺言書を書いたのに、相続人間での遺産分割協議が必要になり、遺言者の望む財産承継ができない、なんてこともありますので、誰に、何を、という記載も注意が必要です。
また、K様のおっしゃる通り、自筆で書かれた遺言書を相続手続きに使う時は、家庭裁判所での検認手続きが必要です。このお手続きは、お母様がお亡くなりになった後に行うお手続きになります。
ただし、遺言の検認手続きでは、裁判所は、その遺言書が有効か無効かの判断はしません。
自筆証書遺言の要件を満たしていない、遺言者の遺言能力に疑義がある場合等、遺言が無効となったり、相続人間の争いに発展してしまうこともあります。
お母様は認知症で療養中とのことですので、遺言能力や要件を公証人が確認して作成する公正証書遺言を今から作成することは難しいかと思います。
遺言内容について相続人間で争いにならないよう、また、お母様の書かれた遺言書が要件を満たしていなかったとしてもお母様の思いを実現できるよう、一度お母様の思いを相続人の皆様でお伺いしてみたらいかがでしょうか。
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