まちの仕事人インタビュー
CGパースは仮想と現実の架け橋
株式会社CGworks 代表取締役 金澤 勇輝 (かなざわ ゆうき) さん インタビュー

1986年生まれ。茨城県出身。大学在学時に専門学校へ通いインテリアデザインを学ぶ。卒業後はフランス・パリの設計事務所へ就職。帰国後、都内のCGパース制作会社にスカウトされ、半年後に取締役に就任。その後、代表取締役となるものの、会長との方向性の違いから同社を離れる。2019年『CGworks』を創業。趣味のバドミントンでは、大学時代に関東学生新人戦Bシングルス優勝や千葉県学生選手権大会で団体戦と個人戦ダブルスで優勝する腕前。

プロのクリエイターによるCGパース

国際コンペにも利用されている

CGパース制作を仕事にされたきっかけを教えてください。

インテリアは子どものころから好きで、大学時代には部屋の家具などにもかなりこだわっていました。仲間から「10万円渡すから、ウチのインテリアもオシャレにして」と相談されて買い出しに行ったこともありますよ。フランスから帰国後、知り合いが創業メンバーであるCGパース制作会社から声をかけていただき、大好きなインテリアに携わる仕事ができると考え、この世界へ飛び込みました。設立して2ヶ月目ということもあり、入社後は連日職場に泊まり込み、技術のさらなる習得と、クライアントからの依頼に応える日々を送りました。大変でしたが部活の合宿みたいで楽しかったですね。CGパースの制作だけでなく、営業や人材採用や会社のルール作りなど、組織全体に関わるようになりました。その後、自分の考える“理想の仕事環境”を追求したいと考え、現在の『CGworks』を創業しました。

会社の特徴はどのような点にありますか?

CGパース制作作業をオペレーターではなく、プロの“クリエイター”が行っているという点にあります。店舗イメージを描く仕事は、依頼された時点では内装のレイアウトが固まっていないことも多く、弊社のクリエイター側でアイデアを出してご提案することも少なくありません。その提案をそのまま採用いただくことが増えてきており、クライアントと二人三脚で仕事をしているという感覚は強く持っています。提案を採用いただける最大の理由は、弊社のクリエイターに設計経験者など建築や内装の深い知識をもつメンバーが揃っていることで、寸法の間違いがなく、CGパースがそのまま実際の内装として再現できる部分にあると考えています。これは弊社のクリエイターの付加価値の一つです。

どんな依頼を受けることが多いですか?

今は、設計者のイメージを形にする『CGパース制作』と、3DCG技術とWEB技術を組み合わせた『バーチャルコンテンツ制作』が、ちょうど半分ずつです。特にバーチャルコンテンツの制作は、ここ数年で急激にご相談が増えており、『バーチャルショップ制作』と『オープンオフィスVR』の2つのサービスを展開しています。『バーチャルショップ制作』は、実店舗とECサイトの間という位置づけとして、オンライン上に3DCGによる仮想店舗を立ち上げ、視覚的にブランドイメージが訴求できるサービスです。仮想店舗はECサイトへ直結しており、そこからお買い物も可能です。ECサイトよりも実店舗に近い購入体験ができると好評です。もう一つの『オープンオフィスVR』は、オフィスの内部を仮想空間上で見学できるようにしたサービスです。非対面・非接触が叫ばれる中、新入社員の採用活動に悩みを抱える法人さまからのご依頼が増えています。会社案内を目的とした仮想空間内では、会議室のテレビから会社案内のYouTubeが流れたり、テーブルに置かれているパンフレットをクリックすることで、ランディングページが開くなど、すでにお持ちのコンテンツの力も借りて、クライアントの魅力を最大限に引き出しています。コンテンツの繋ぎこみなどのWEB連動も弊社のエンジニアが対応し、全てのサービスをワン・ストップで作成しています。また、法人の移転を目的とした賃貸オフィスの仮想空間内では、実寸の機器が置かれた内装を見せることができます。現地でVRゴーグルを通して仮想空間内を見てもらったことで、レイアウトのイメージも湧き、早期契約に繋がったと聞いています。移転契約の締結後に「内装はCGの通りのレイアウトでお願いしたいと言われちゃいました」と聞いたときには、思わず心の中でガッツポーズをしましたね。3DCG技術が、仮想と現実の架け橋になっていく未来が、もうすぐそこまで迫っていることを実感しました。


クリエイターを輝かせる

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

CGパースの価値を高めるという意識の元、「常にクリエイティブの一番を目指す」とメンバーには言い続けています。頼りになるメンバーが増え、現場が任せられるようになってからは、私の役割が『クリエイターを成長させる』環境づくりに向き合う時間が増えています。業界的に下請け気質で受け身になりがちなため、長時間労働を強いられることが多く、体調を崩して夢を諦めてしまうクリエイターを同業他社で何人も知っています。「そんな環境を変えたい」「もっとクリエイターを輝かせたい」と考え、弊社ではクリエイターを守る環境づくりの一つとして、一部のご依頼をお断りするようになりました。ご依頼いただけることには心から感謝していますが、レベルの高いクリエイティブを維持するため、丁寧にご説明しご理解をいただいている状況です。「少し待ってでも高いレベルの仕上がりが欲しい」と言ってくださるクライアントの皆さまには頭が上がりません。

今後の抱負を教えてください。

創業時から「クリエイティブファースト・クリエイターファースト」を掲げ、業界最高水準の制作環境と最高のメンバーに支えられていると確信を持っていますが、これからも追求し続けていきます。また、私は“CGパース業界”に育ててもらったという想いがあり、業界全体に対して感謝の気持ちを強く持っています。しかし、業界的にはまだまだ認知度が低く、特に建設業界や不動産業界では、設計段階のイメージを描く下請けというポジションから抜け出すことができていません。CGパースの持つ力を心から信じているためCGパースの可能性を広げ、業界を底上げし、恩返しをしたいという考えは生涯なくなりません。本当に大好きな仕事ので、これからも会社と業界の発展に全力を尽くします!


インタビュー後記

前のめりで熱く語ってくれた金澤さんから、“自社のクリエイティブ”と、“クリエイターの活躍できる環境”についての強いこだわりと自信を感じた。「私たちの仕事は、“未来の建築物”を誰よりも先に形にできることが醍醐味」と話されていたが、業界とメンバーを想い、会社の舵を取る金澤さんは、きっと『CGクリエイターの理想郷を、誰よりも先に形にできる』経営者だ。仕事の依頼はもちろん、一緒に働くメンバーも募集しているとのこと。業界に関わりがあるなら、是非、金澤さんの考えに触れてみて欲しい。

お問い合わせ

名称:株式会社CGworks

所在地:東京都渋谷区代々木2-1-1新宿マインズタワー19F

連絡先:03-6625-4796

HP:https://cgworks.jp

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。