かつてアフリカのジブチで外国人部隊の上級曹長を務めていたガルー(ドニ・ラヴァン)は、フランスの自宅で回想録を書いている。彼自身の声によってそれが静かに読み上げられると、画面には、当時彼が指導していた部隊の兵士たちが日々の訓練をする様子が映し出されていくのだが、そこで彼らがまとっている白いユニフォームは、緑がかった青い空や海の背景とコントラストをなすと同時に、こうしたアフリカの大地の色の反射で輝いているようにも見える。まさにこの最初の場面から、演出の面で、人物と風景を別々に撮るのではなく、風景のなかに人物の痕跡があるようにしたかったというドゥニの眼差しによって切り取られるショットに誘われていく。
 そうして彼女が見つめる兵士たちの日常的な身振りの一つ一つは、訓練を始め、洗濯やアイロンがけをしているときの身振りに至るまで、まるでダンスをしているかのように美しい。おそらくそれが最も端的に表われているのは、彼らがトレーニングをしているところに、ハーマン・メルヴィルの未完の小説をもとにベンジャミン・ブリテンが作曲した『ビリー・バッド』というオペラが流れる場面で、ここでは、人物たちの動きと音楽、さらにはこの土地に吹く風の音がぴったりと重なり合っている。(池田百花「連なり、広がる身体」)

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『美しき仕事 4Kレストア版』
9/7(土)~9/13(金) 20:30~

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21 いいね! ('24/09/07 14:01 時点)