まちの仕事人インタビュー
特別な時間を愛犬と共に
ペティシエ協会 理事長 川島 美樹 (かわしま みき) さん インタビュー

世田谷区生まれ。主婦歴20年、資金ゼロ、人脈ゼロ、ビジネス経験ゼロの状態から、趣味だったお菓子作りをきっかけに、ペットのためのパティシエである“ペティシエ”としてケーキ作りをスタート。2021年、エンドール株式会社を立ち上げ、「ペティシエ協会」を設立。

家族とペットの絆を深めるお手伝い

ペティシエを始められたきっかけを教えてください。

元々、お菓子作りは大好きで、これまでに何度も自宅でペット同伴可能なお菓子作り教室を開いては、友人などに作り方を教えていました。転機は4年前で、パートナーとお別れすることを決意したものの、これまで主婦の経験しかなかったことで、どこにも雇ってもらえず、娘と住む家を借りることすらできない状況でした。自分なりに頑張ってきた主婦としての20年間が否定されたような感覚に陥り、本当に落ち込みましたね。その後、大切な娘のためにも、自分がどうにかするしかないと奮起。しかし、ようやく見つけた仕事も、自分には合わず、なかなか気持ちが上がらない中、何かを変えたくて、夜な夜な異業種交流会やビジネスパーティーに参加しました。1年半で数百回は参加したと思います。そこで、多くの事業主と出会ったことで、自分が夢中になれることを仕事にする素晴らしさに気づきました。改めて自分が今後の人生で何をやりたいか考え抜いた末、大好きだった「お菓子作り」と、大切な家族の一員となっていた「ワンちゃん」に関わる仕事をしたいと決意し、ワンちゃん用のケーキを作るビジネスをスタートしました。ペットのためのパティシエという概念が世の中になかったため、“ペティシエ”という名称を作り、商標登録を済ませています。

「ペティシエ協会」設立までの経緯を教えてください。

ワンちゃん用のケーキの材料であるジャガイモが、冷凍に向かない食材ということもあり、現在も冷凍配送はせず、手渡しできる方にのみ販売しています。遠方にお住まいの方からの依頼を受けることができない状況を解消したいと考え、 “ペティシエ”の数を増やす活動を始めることにしました。また、主婦として社会人経験が全くなかった私が、“お菓子を作るスキル”を持っていたことで、自分に自信を持って社会に飛び出すことができたという経験を、社会に出ていくことに不安を抱えている主婦のみなさんに伝えたいという想いもあります。

「ペティシエ協会」ではどんな活動をされていますか?

ペティシエを育成するための2つの講座を開催しています。1つ目が、自分の家のワンちゃんや、友人にケーキをプレゼントできるようになる初級~中級講座。2つ目が、ペット用のケーキを販売したり、お教室を開催できるレベルを目指す上級講座です。初級~中級講座に相当する『ペティシエ・ブトン』では、全8回(各回2時間程度)のレッスンの中で、ワンちゃんのための基礎栄養学と、シンプルな6種類のケーキの作り方を学んでいただき、最終日のテストに合格された方を「ペティシエ」に認定しています。上級講座に相当する『ペティシエ・フルリール』では、全6回(各回3時間程度)のレッスンの中で、2段ケーキなど4種類のケーキの作り方を学んでいただきます。どちらも、他では学ぶことのできない内容となっており、ペティシエに認定される頃には、お菓子作りのスキルに自信を持っていただけます。


主婦をしてきた女性に、自信を持ってもらいたい

どんな方がペティシエを目指されていますか?

主婦と、働いている方がちょうど半分ずついらっしゃいます。ちょっと想定外だったのは、ワンちゃんを飼ったことがない人も受講されているということです。「何か新しいことを始めてみたい」「ワンちゃんのためにやってみたい」という考えの人が多いのですが、中には「今ケーキ屋さんをやっているので、一緒にワンちゃんのケーキも売れたら良いかも!?」と考え、受講を検討されている人もいました。個人だけでなく、企業などの組織の中でペティシエが活躍する日も近いと感じています。

仕事をするうえで心がけていることはありますか?

大切なワンちゃんのために「安心・安全で、美しく・美味しいケーキをつくる」ことを伝えられるよう心がけています。また、私が頑張ることで主婦の希望になりたいとも考えています。私の周りには、パートナーやご家族の意向で主婦になっている人が数多くいます。子どもが大きくなり、改めて仕事を始めようとしたとき、主婦の期間に社会的な価値を持たれない現実を突きつけられ、自信を失ってしまった主婦を何人も見てきました。ペティシエは、そんな主婦が自分に自信を持ち、人生の選択肢を増やすことのできる資格です。どうか可能性を信じて、一歩踏み出す勇気を持ってください。行動の先に未来は必ずあります。今後、ペティシエ協会では、獣医師で栄養学の専門家の監修を受け、ワンちゃんの疾患別に最適なおやつを作る講座『ペティシエ・フリュイ』もスタートします。ペティシエの技術を身につけたい人だけでなく、一緒にペティシエの活動を広げてくれるメンバーも募集していますので、お気軽にご連絡ください。


インタビュー後記

相当なビジネスキャリアを積んでこられた人と、私が勘違いしてしまうほど、幅広い視野を持ち協会設立と今後の見通しについて、力強くお話をされた主婦歴20年の川島さん。Instagramに投稿されているワンちゃんと美しいケーキが一緒に写る画像は、とても微笑ましく、どれだけ見ていても飽きない。家族とペットとの絆を深めることのできる“ペティシエ”の仕事は、少子高齢化と、ペットを大切にする文化の広がりに後押しされ、ますます必要とされることだろう。

お問い合わせ

名称:ペティシエ協会

連絡先:090-1790-2719

HP:https://petissier-association.com

Instagram:https://instagram.com/dearest_miki

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。