まちの仕事人インタビュー
国内数人。全てを包む敏腕心理カウンセラー
一般社団法人啓慧心理カウンセリング協会 代表理事 馬 真真 (まー しんしん) さん インタビュー



一般社団法人啓慧心理カウンセリング協会代表理事。国際心理カウンセラー。中国生まれ。2008年に日本に留学。大学・大学院と教育心理学を修める。日本での出産子育てを経験も、慣れない環境での子育てに苦戦。自分自身と子育てに悩む在日華人の拠り所として読書会などのコミュニティーを主催。在日華人の間で「母国語でカウンセリングをしてもらえる」という口コミが広がり、累計相談件数1,000組以上に。在日華人、日本人問わずより多くの人の悩みを解決するため、一般社団法人啓慧心理カウンセリング協会を設立。現在は後進の育成をしつつ、第一線で個人・法人のカウンセリングに取り組んでいる。

真真さんは中国のご出身ですが、留学先に日本を選んだ理由を教えてください。

単純に日本が好きだからです。アニメやドラマ、J-POPなど日本の文化が大好きで、いつか日本に行きたいと思っていました。

なぜ日本を拠点に在日華人のカウンセリングをすることになったのでしょうか。

出産がきっかけです。子供を産んだ後、だんだんと気分が落ち込むようになって鬱のようになってしまいました。そのような生活と決別したくてアメリカで流行っていたpositive disciplineというコーチング講座を受け始めたんです。受講しはじめてからは、自分の子育てを見直すことができるようになりました。同時に私以外にも同じ悩みを抱えている在日華人がたくさんいることを知ったんです。自分と同じ悩みを持つママを救いたい。それが在日華人のカウンセリングをはじめた原点です。最初はママ同士で読書会をしたり、悩みを共有するワークショップが中心でした。そこからどんどん人が集まってきて、2019年のコロナ前には累計1,000組の家族とお会いさせていただくまでになったんです。ここまできてはじめて、「自分のやりたいこと、役に立てることはこれだ」と自信を持てるようになりましたね。さらにカウンセリングの知見を深めようと、アメリカの心理学を勉強し、国際心理カウンセラーの資格も取得しました。


累計1,000組の相談を受けてきた実績は圧巻の一言です。ここまで相談者が増えた理由はどこにあったのでしょうか。

2つあると思っています。一つは潜在的なニーズがあったから。私自身もそうですが、海外で子育てをするというのは思った以上に大変なんです。それは言葉の壁だったり、文化の違いだったり。子供が日本の学校に入っていじめられてしまうとか、浮いてしまうという悩みはよく聞きますね。このように海外で子育てをする大変さに共感し、解決してほしいというニーズがもともとあったのだと思います。もう一つは、日本には中国語でカウンセリングができる人が少ないから。おそらく数人しかいないと思います。東京に住む在日華人の数は70万人以上といわれている中でのこの人数なので、中国語でカウンセリングができる専門家の数が圧倒的に足りていないのです。コロナを経てさらに在日華人の心の問題は顕在化してきていると感じています。そのような背景もあって、多くのご相談をいただけているのだと思います。

在日華人向けカウンセリングは需要に対して供給が全く追いついていない状況なのですね。カウンセリングの相談内容は親子関係や教育に関することを中心に受けているのでしょうか。

相談を受け始めた当初はそうでしたが、現在はもっと幅広く相談をいただいています。親子関係、夫婦関係をはじめ、パワハラなど職場の悩み、うつ病、不安症、適応障害のカウンセリングなど、心の問題すべてについてカウンセリングが可能です。カウンセリング対象者も個人に限らず、日本に進出している中国企業の経営者、従業員もクライアントになっていただいています。日本人の相談者も全体の2割程度はいらっしゃいますね。そもそも心理カウンセリングの資格を持っている在日華人は少ないですが、資格をもっていればいいわけではありません。カウンセリングの仕事はやはり経験がないと難しいです。しかしカウンセラーの善し悪しを外から見極めることが難しいのも事実です。そのため、カウンセリングを検討されている方は、お試しで一度カウンセラーとお話をされることをおすすめしています。カウンセラーにもそれぞれのカウンセリングスタイルがあります。寄り添いながら話を聞くタイプのカウンセラーもいれば、こうするべきとズバッとアドバイスをしてくれるタイプもいます。カウンセリングの前にご自身との相性を確かめる意味でもいろいろなカウンセラーとお会いいただくことが、いいカウンセラーを見つける近道になるはずです。


和テイストのカウンセリングルーム

カウンセラーにもいろいろなタイプの方がいらっしゃるのですね。真真さんがカウンセリングをする上で大事にしていることはなんでしょうか。

お悩みをとにかく全部聞くということを大事にしています。教師のように「こうするべき」という話はしません。カウンセリングを受ける方は自分の考えを誰かに理解してほしいと思っています。人には多様な価値観があります。私はその価値観を否定するようなことは絶対にしません。全身全霊でその人のすべてを包み込むように傾聴し受け止める。そうすることで心のモヤモヤを吐き出してリラックスできるのです。そして話を聞きながら、自分探索を促す質問をしていきます。カウンセラーの質問に答えていく中で、自分の考え方、物事の見方が整理されていく。こうなってはじめて、改善方法を一緒に考えていくのです。一人で悩みを抱えている間は、物事を一面からしか捉えられていない可能性があります。まずは傾聴を通じて、相談者の方が見ている景色を共有してもらい、その物事を他の角度からも見えるような気付きと解決の選択肢を一緒に考える。これが私のカウンセリングスタイルです。

真真さんはとことん傾聴して寄り添うカウンセラーなのですね。法人に対するカウンセリングはどのようなものを提供しているのでしょうか。

経営者や従業員に対して、個人と同じように1on1での悩み相談もしていますが、研修の提供もしています。研修といっても、座学講義のように講師が一方的に話すものではありません。体験学習のように受講生ひとりひとりが積極的にワークに取り組んでいけるような講座を提供しています。たとえばチームワーク研修では、最終的にはチームワークを身に着けてもらうことが目的ですが、研修の内容は一見チームワークとは関係のないこともおこないます。心理学的な性格テストを使いながら、自分以外の人を理解するための方法を体験したり、コミュニケーションをテーマにどうすれば自分の話を理解してもらえるのかを実例交えて体験したりといった形です。チームワーク以外にも実生活で使える能力を体験を通じて身に着けてもらいたいと思っています。他にはサブスクのような形で月3回の無料カウンセリングサービスを提供したり、マネジメント層と社員の架け橋になることで相互理解の促進・社内雰囲気の改善のお手伝いなどをしています。法人向けは現状、中国企業中心に提供していますが、今後は日本企業に対しても提供の幅を広げていきたいと思っています。私が得意とするのはアメリカ式のカウンセリングなので、日本のカウンセリングとは違うアプローチでお悩みの解決ができるはずです。

中国語、日本語、英語が堪能な真真さんならではのカウンセリングが期待できそうです。最後に読者の方に一言お願いします。

カウンセリングはアジア圏の方はあまり利用しないイメージがあります。しかしアメリカではカウンセリングは人々の日常にとけこんでおり、何かあったらすぐにカウンセリングに通っています。日本人の方は特に一人で悩みを抱えてしまうことが多いと感じています。「カウンセラーには私のことなんてわからないだろう」「相談しても悩みは解決しないだろう」と懐疑的な方も多いのでしょう。しかし私たちカウンセラーはあなたの心の中にもともとある価値観を引き出すお手伝いをしているだけなのです。あなたらしい価値観を発見し、多面的に物事を見ることができると世界が変わります。ご自身の生活をより豊かにするため、悩みは一人で抱えず、気軽にカウンセラーを利用されてみてはいかがでしょうか。



インタビュー後記

真真さんにインタビューさせていただいた印象は、とにかく話がしやすいということ。私は職業柄、疑問点や自分の考えをすぐに相手に伝えることが多いのですが、そうするとたいてい、自分と相手が同じタイミングで口を開くことになり気まずい思いを数多くしてきました。真真さんとの会話ではそのようなことが一切なく、流れるようにインタビューをすることができました。真真さんが大事にする、「すべてを受け止める」姿勢の一片を感じることができたように思います。日本ではまだまだカウンセリングは一般的ではないかもしれません。しかし、一人で悩みを抱えているとどんどん深く重くなってしまいがちです。そして日々、生きづらさを感じている方も増えているのではないかと思います。こんな時代だからこそ、気兼ねなく悩みを吐き出せる場所というのが、現代人にはもっと必要なのかもしれません。自分は大丈夫と思わず、抱えきれない悩みがある人は一度カウンセリングの扉をノックしてみたらいかがでしょう。

お問い合わせ

一般社団法人啓慧心理カウンセリング協会

東京都豊島区南大塚1-57-3宝森ビル401号室

TEL:03-6555-3629

HP:https://www.keiemental.com/

一言アピール:初回相談半額です

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。