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毎年夏が苦手で体調を崩します。夏バテに良い対策はありますか?
掲載日:2024/06/14
近年酷暑になることが多く、元々体力が無い為、冬に比べ夏が苦手で体調を崩します。
それに加え最近気温差が激しくやる気が起きずバテ気味でやる気も起きません。
何か夏バテに良い対策はありますか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
夏バテ対策に漢方を取り入れてみましょう
《夏バテの原因と症状》
夏バテは、実は胃腸の不調から始まることがほとんどです。主な症状としては、身体の重だるさ、食欲低下、気力低下、頭痛などが挙げられます。これらの症状は、梅雨の時期から始まり、夏本番に向けて徐々に悪化していきます。高温多湿な気候や冷房の使用、そして冷たい飲食物が原因となり、体温調整が崩れやすくなるのです。
《夏バテのメカニズム》
漢方的な観点から見ると、夏バテは湿邪(しつじゃ)、熱邪(ねつじゃ)、寒邪(かんじゃ)が同時に身体を襲うことで発生します。一見矛盾しているように感じますが、実際には上半身、特に顔や頭には熱がこもり、お腹から下は冷えてしまう「冷えのぼせ」状態が体をさらに悪化させます。これらの邪気は胃腸にもダメージを与え、特に湿邪は胃腸に水滞を発生させ、消化機能を低下させ、食欲がなくなり、食べる量と質が落ちていきます。結果的に体力が低下していきます。
《胃腸のケアと湿邪対策》
胃腸の機能を低下させる邪気は、消化吸収能力をも低下させるため、軽い食事を摂ったとしても胃腸が十分に機能しないので、気やエネルギーを作ることができなくなり、体力が低下していきます。体力が低下すれば、免疫力や回復力も低下します。夏風邪も引きやすくなってしまうでしょう。これを防ぐためには、梅雨入りの前から対策を講じることが重要です。特に湿邪対策として、こまめな水分補給と発汗を促すことが必要です。水は流れていれば質を保ちますが、停滞してしまうとカビが発生します。体内でも同じことが言え、水分代謝が重要になるのです。
《効果的な漢方:五苓散(ごれいさん)》
漢方では、湿邪対策として五苓散がお勧めです。五苓散は利水剤の代表的な処方であり、「水滞」という体内の液体成分が停滞している状態に向いています。五苓散には、消化管や組織の余分な水を排出し、下痢やむくみを改善する効果があります。配合されている沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)は利尿作用があり、消化管内の水分を血中に吸収する効果を持ちます。
《五苓散の効能と使い方》
五苓散は、急性の水様便やむくみに有効で、特に胃内停水(お腹がちゃぷちゃぷ音がする)といった症状がある場合に用います。また、飲酒後に多量の水分が胃内にあるにもかかわらず、口の渇きが強く、水を飲んでも解消しない場合にも適応します。夏のビール対策にも良いですね。
《早めの対策で夏を乗り切ろう》
これらの対策を梅雨入り前から実施することで、身体が変化に対応できるようになります。今年の夏も暑くなると予想されますので、今から体作りを始めましょう。
※体質や症状により異なるため、具体的な処方については専門の漢方医に相談することが望ましいです。