山形大学医学部卒業。

東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などについて研究。

胃腸疾患のほか、膵炎など、消化器全般の診療に携わる。

2008年7月よりヒラハタクリニック院長。

医療向けIT企業(株)メイドインクリニックを設立。

ヒラハタクリニックについて教えてください。

父の代に開院し40年近く経過しています。当時は町医者として様々な症状に対応していました。あえて特徴を申し上げると、膵臓が悪い方が患者さんとして多かったという点です。


私の代になってからは父の特徴を受け継ぎつつ、内視鏡を取り入れ検査のグレードを上げて参りました。超音波技師も入り、消化器系の診察に強くなったことで、膵臓を悪くされた患者さんは四国や秋田からも来られるようになりました。


2020年3月に今でいうコロナ後遺症の症状の患者さんを初めて診察しました。2020年10月にクローズアップ現代の取材を受けてからは、覚悟を決めて「後遺症外来」の看板を掲げるようになりました。私自身が「コロナ後遺症」という言葉を作ったこともあり、現在では後遺症に悩まれている患者さんが後を絶ちません。

様々なメディアにも取り上げられ、コロナ後遺症についてお話をされてこられましたが、どのような影響があったのでしょうか?

他の医師からはありもしない病気をでっちあげるんじゃないと厳しいお声を頂戴したこともあります。しかし目の前には明らかにその症状で苦しんでいる患者さんがいるわけです。今では全国に300万人前後の後遺症患者さんがいると言われています。メディアで発言したことからそうした患者さんからの反響は大きかったです。


当クリニックでも現在は診察が3か月以上お待ちいただくという状況になりました。通常の患者さんが減少し、後遺症専門クリニックのような状態です。実はコロナの後遺症患者さんには膵臓の悪い方が比較的多くいらっしゃいます。私どもが長年取り組んできたことが有効活用できているという点はよかったと思いますが、以前からの患者さんにはご迷惑をおかけしているのが心残りです。

大変厳しい状況の中でコロナ後遺症の診察を続けてこられたとのことですが、どのようなお気持ちなのか教えてください。

どうにかしてあげたいという一心です。そもそも「コロナ後遺症」の専門医になるつもりはありませんでした。流れで自然にそうなったというのが本心です。後遺症は今では一般的にその存在が認知されるようになりましたが、一方で診察してくださる医師は今現在でも多くありません。これだけ多く患者さんがいる以上、途中で投げ出すことはできません。


当時は金儲けしているんじゃないのかという批判の的でした。悲しい気持ちになりましたね。本当のこと言うと儲からないんですよ。利益につながるのであればそこかしこに後遺症専門クリニックができているはずですから。


私はこれまで6000人の後遺症患者さんを診察してきました。これでも全体の0.2%です。たくさんの患者さんが診察も受けられず待機している状況があると思うと、まずは頑張るしかないなと思います。当クリニックよりも経験のある医療機関は世界的に見てもそう多くないと思いますので。正直言うとこんな病気、治す方法を早く確立したいですね。お金にならなくて批判され続けるというのも大変なので(笑)

現在後遺症で苦しまれている方に向けてメッセージをお願いします。

コロナの後遺症は、「症候群」であり、人によって症状が違います。すぐ治る人もいれば3年経っても治らない方もいます。その方にあった治療法を模索していかないといけません。ただ共通して取り組んだ方がいいことも経験上わかってきました。


一つ目は鼻うがいです。二つ目は漢方や鍼灸などの東洋医学。三つ目は体に負荷をかけない理学療法です。この3つは、多くの方で有用と考えています。理学療法の中でも、呼吸リハビリは寝たきりの人に是非取り入れていただきたいです。私が特に大事にしているのは安価に治療が出来るという点です。突然後遺症になり仕事がままならないという方も多くいらっしゃいますので、金銭的な着手のしやすさというのも重要な要素です。


真面目な人ほど手を抜くのはよくないと思って疲れ切ってから休むのですが、これが良くありません。骨折しているときにジョギングするようなものです。疲れないように生活をすることが症状改善の第一歩です。

平畑先生は西洋医学を学んでこられたと思いますが、コロナの後遺症には東洋医学も有効なのでしょうか?

漢方の勉強をすると、数千年前の『傷寒論』という伝統中国医学の古典にコロナの後遺症に似た症状について記載されています。現代人とは栄養状態等、諸条件は違えど実際に治療してきた実績があります。漢方や鍼灸を利用して治療してきた過去があるならばしっかりと勉強しないといけないというのが私の考えです。後遺症に関してのみ言及をすれば、現時点では西洋医学よりも東洋医学の方が優れている点が多いと思います。どの漢方が効用があるのかは深く研究する必要がありましたが、その成果もあって様々な症状に対応することが可能になりました。

コロナ後遺症ではなくてワクチンの後遺症だという意見もありますがどうお考えですか?

確かにそうおっしゃられる方はいらっしゃいます。ただ、私自身は2020年の3月からそうした症状の患者さんを診ています。まだワクチンが開発される前です。陰謀論的にすべてがワクチンのせいだと論じるのは極論かと思います。一方で、ワクチンの長期副反応の方も大勢いらっしゃるというのは間違いありません。似たような症状であれば当クリニックでも治療は可能です。臨床的には、治ればどちらでもいいのです。患者さんにとってもそうだろうと思います。

平畑先生の将来の展望をお伺いできますか?

まずは私自身の健康の維持ですね(笑)しばらくの間、21時まで通常の外来をして明け方4時頃までオンライン診断をするという日々が続いています。多くの患者さんにご期待いただいていますので、今体調崩すわけにはいきませんから、医者の不養生にならないようにしたいと思います。

クリニックの目標はありますか?

個人の展望と似ていますが、存続し続けることです。後遺症治療にはお金が発生しないような治療法も多数ありますから、患者数と掛ける時間に対してクリニックとしての利益が発生しないというのが悩みどころです。


また、8月からは厚労省からの通達でオンライン診療の在り方を改善しなければなりません。当クリックはオンライン診療をやめる判断をせずになんとか継続していきたいと考えています。と言いますのも、患者さんの相談と向き合うことも大切で、後遺症を苦に自死される方もいらっしゃいます。当院の患者さんかどうかに関わらず、そうした方を少しでも減らさなければなりません。


自由診療にすることなく、オンライン診療も継続し、情報公開も継続して、自身や患者さんの健康を守っていく。大変ですけどやるしかないですね。

読者の方に向けたメッセージをお願いします。

今治らなくても、改善する方法はどんどん出てきていますので、過度に心配する必要はありません。頑張って乗り越えていきましょう。


インタビュー後記

平畑先生から直接お話を伺うと、ご自身こそ命がけで治療に当たられていることがわかりました。これだけ献身的に患者さんに寄り添って医療行為に当たられている平畑先生が批判されていたと考えると胸が苦しくなります。当時、確かにコロナはわからないことばかりで不安を掻き立てる報道で溢れていました。今でもすべてがわかっているわけではないにせよ、わかってきたことも確かにあります。世界的に見てもひとりの医師がこれだけのコロナ後遺症の患者さんを診てきた例はほとんどないと言われるほど、ご自身の私生活も顧みず患者さんと対峙してきた平畑先生。これからも同じ悩みで困っている方の力になっていただきたいと思う反面、くれぐれも体調を崩されないようご自愛いただきたいと思います。

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*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。