まちの仕事人インタビュー
音楽で大田区を明るく照らしたい
CITY RECORDS 代表 北見 暁 (きたみ あきら) さん インタビュー

1988年生まれ。東京都大田区蒲田出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、株式会社リクルートに入社。UXデザインや企画、WEBマーケティング業務に従事した後、2019年、実家の家業である株式会社サンコーフレックスに入社。本業に勤しむ傍ら、2022年8月、自身がこよなく愛する「音楽」を通じた地域振興を目的に、蒲田の夏の音楽の祭典『Sunset Kamata Music Festival』を主催。2023年3月には、音楽事務所『CITY RECORDS』を立ち上げ、地元大田区で活動するアーティストの支援事業をスタートさせる。

本格的な音楽フェスの立ち上げ

今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

大学を卒業後、ずっと都心の企業に勤めていたこともあり、大田区とはあまり接点がありませんでしたが、30歳を機に、将来的に父の家業を継ぐことを視野に入れたことで、再び地元蒲田に軸足を移すことになりました。実家は代々続く小さな電気店ですし、当初はこの街で音楽事務所を作ろうなんて思いは微塵もなく、ただただ大好きな音楽を、仕事以外の余暇の時間、趣味程度に楽しめたらいいなぁくらいにしか考えていませんでしたが、今となっては幸か不幸か(笑)、蒲田にはミュージックバーやカラオケバーが至る所に存在していて、頻繁にお店に顔を出しては、音楽仲間と一緒に歌ったり、ジャムセッションしたりと、仕事終わりには毎晩のように音楽三昧な日々を過ごしていました。今CITY RECORDSとして活動を共にしているアーティストたちも、その時からの付き合いです。音楽好きが集まると話題に出ることと言えば大体同じで、やっぱり「LIVEやろうぜ」、なんですね(笑) 「いつか蒲田でカッコいいLIVEやりたいねえ」なんて話から始まって、気づいたら仲間がどんどん増え、トントン拍子に企画が決まっていきました。大田区でいわゆる「音楽フェス」ってあまり聞かないし、せっかく企画するのであれば本格的な内容にしたい、音楽を通じて地元を盛り上げたい。そんな経緯で生まれたのが、『Sunset Kamata Music Festival』です。このイベントは、東急プラザ蒲田屋上「かまたえん」を会場に、『音楽×お酒×グルメ』をコンセプトとした夏の音楽フェスティバルです。出演アーティストの多くが地元大田区にゆかりがあり、僕たちが考える「かっこいい蒲田」を世の中に発信するために開催しました。ありがたいことに、同じ蒲田出身でJAPANESE HIPHOP界のレジェンド的存在であるDJ MASTERKEY(以下、マスターさん)にも出演していただくことができ、おかげさまで、前売り券は追加分も含めて250枚が即完売。当日は入場制限を実施したにも関わらず、来場者数延べ350人にも上る大盛況でした。あの日、あんなに沢山の人たちの笑顔に包まれて本当に嬉しかったですし、まさか、ずっと憧れだったBuddha Brandのマスターさんと一緒にフェスを開催できるなんて、改めて音楽を好きでいてよかったなあと思った瞬間でした。そして、このイベントの成功をきっかけに、たくさんの音楽仲間が増えたこともあり、一度きりのフェスだけでは勿体無い、きちんと音楽に腰を据えて向き合える活動をしたいと思うようになり、翌年に音楽事務所『CITY RECORDS』を立ち上げました。


仕事の特徴は、どのような点にありますか?

現在のCITY RECORDSは、“大田区に根差したアーティストの活動支援”に力を入れています。いわゆる一般的な音楽事務所の仕事がどんなものなのか僕自身もよく分かってはいないのですが(笑)、今はとにかく、大田区で活動するアーティストを様々な面で応援したい、そんな気持ちで日々活動しています。所属アーティストの一人に00(leo)というラッパーがいまして、彼は矢口出身で、うちの事務所が絶賛売り出し中のイケてるナイスガイなのですが、今でこそたくさんの人に知られるようになりましたが、元々自ら外に発信することが苦手だったり、方法が分からなかったり、売り出すことに消極的だったりで、すごく才能と魅力に溢れるアーティストなのに、その輝きがまだちゃんと世の中に届いていませんでした。僕自身、彼の奏でるラップの大ファンでもあるので、もっとたくさんの人に00の音楽を届けたい、そのために自分は何が出来るだろう、みたいな気持ちでいたので、前職で培ったWEBマーケティングの知見や、企画力といった自分の強みを発揮して、少しでも背中を押せたらなって強く思いますし、まだまだ道半ばではありますが、着実に前に進んでいると信じています。現在、CITY RECORDSには、7人のアーティストが所属していますが、みんな個性豊かな仲間たちです。『Sabe』は自らもシンガーである傍ら、楽曲制作のプロフェッショナルとして、数多くの有名アーティストに楽曲を提供していたり、『大塚隆盛』の渾身の1stシングルもまもなくリリース予定です。個々人の力も勿論大きいのですが、同じ事務所のメンバーとして一緒に活動することで、そこに大きな相乗効果が生まれると思っています。決してでっかい豪華客船ではないけれど、小さな海賊船に乗ったクルーみたいな感じで、時代の荒波を一緒に乗り越えていきたいですね。


大田区を世界随一の音楽都市に

今後はどんな活動を予定されていますか?

直近では、大きなプロジェクトが2つあります。1つ目は、前年に引き続き開催する『Sunset Kamata Music Festival 2023 in Haneda Park』です。今回は会場を京急・モノレール「天空橋駅」からほど近い「羽田空港公園予定地」(大田区羽田空港1‐1‐2)へと移し、出演アーティスト、音響設備、出店飲食店、すべてをスケールアップしてお届けします。元々は前年同様「かまたえん」での開催を計画していましたが、会場側の都合により、今年は開催が困難になってしまいました。その後必死に会場を探しましたが、大田区で大きな野外音楽フェスができる会場となると、本当に数が限られます。例えば、大森ふるさとの浜辺公園や城南島海浜公園なども候補に挙がりましたが、近隣からの騒音クレームやアクセスの問題など、いずれも開催までのハードルが高いことがわかりました。しかし、そんな中、助け舟を出してくれたのが、なんと大田区でした。今回の会場である羽田空港公園予定地は、いずれ区民のための憩いの場として、公園が造られるそうですが、その公園を造る際の事前実証実験の一環として、我々のフェスを選んでくれたのです。したがって今回は、大田区産業経済部、そして大田区商店街連合会の後援をいただき、まさに大田区を背負ってフェスを開催することになります。今このインタビューを受けている最中も絶賛フェスの準備中なのですが、当日事故やトラブルが絶対にないよう、今まで以上に気を引き締めて進めてまいります。



2つ目は、なんと現在、マスターさんと一緒に新曲MV(ミュージックビデオ)を制作中です。つい先日、マスターさんが作ったトラックをベースに、うちの00のラップ、そしてReiji(00の盟友)のフックが加わり、最高にかっこいい楽曲が完成しました。そして、そのMVを、ここ蒲田で撮影しています。撮影にあたっては、蒲田の飲食店様や企業様の協賛を募り、実際にロケ地としてMVの中に登場していただいています。みなさんもよく知っているお店もあるかと思いますので、ぜひ楽曲と共に楽しんでくれれば嬉しいです。


仕事をするうえで、心掛けていることを教えてください。

“大好きな音楽で、生まれ育った大田区を明るく元気に照らしたい”、その気持ちをずっと持ち続けることです。僕たちの多くが、この大田区に生まれ育ち、これまでたくさんの素晴らしい時間をこの街で過ごしてきました。だから今度は、僕達が大田区に恩返しをする番だと思っています。昔から蒲田といえば、汚いだとか、暗いだとか、危ないだとか、何かとネガティブなイメージで語られることが多いのも事実です。でも、そんな側面だけが大げさにフィーチャーされすぎていて、それにはすごく憤りを感じます。僕達はこの街の素晴らしさをよく知っているし、音楽を通してそれを世界中に発信していきます。そして、誰もが住んでいて誇りに思えるような、そんなかっこいい大田区を、様々な人たちと協力しながら、一緒に作っていきたいと思っています。大田区をいつか世界に誇れるような音楽都市にしたい、それが今の僕の夢です。


インタビュー後記

「音楽」×「大田区」という自分が大好きなものを掛け合わせて仕事にしている北見さんは、終始楽しそうに話す。しかし、全てがスムーズに上手く行っている訳ではない。むしろ野外フェスの企画・開催は困難の連続だったようだ。数々の障害を音楽と地元への想いで乗り越え、北見さんはこれからも大田区をリミックスしていく。

お問い合わせ

名前:CITY RECORDS 北見暁

電話:090-3002-0555

HP:https://cityrecords.jp

Twitter:https://twitter.com/CITYRECORDS_jp

Instagram:https://www.instagram.com/city_records_jp

Mail:city@cityrecords.jp

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。