まちの仕事人インタビュー
ノロウイルスの脅威から人々を守るために
株式会社アルタン 代表取締役 鈴木 賢一 (すずき けんいち) さん インタビュー

出  身 :神奈川県  

何年生まれ:  S20年生まれ

学  歴 :慶応大学

趣  味 :農業(趣味で複合施設の一部で農作物を育てています)

株式会社アルタンは、どんなお会社ですか?教えてください

アルタンは40年に渡り食品産業向け業務用環境衛生管理のための製剤・医薬部外品・化粧品の製造販売をし、食品業界と共に歩んできました。2007年9月には感染症・食中毒ウイルスの対策製剤として広島大学との共同研究における成果、柿渋含有の”抗ウイルス対策製剤”アルタンノロエースを誕生させました。『柿渋パワー製剤』として様々なメディアでも取り上げられ、現在も衛生管理に係わるあらゆる業界で活躍しています。



 どんな方々の役に立ちますか?

柿渋の効果はノロウイルスだけでなく、エンテロウイルス属の非エンベロープウイルスであるコクサッキーウイルス(手足口病)、アデノウイルス(プール熱)、ロタウイルス(乳児下痢症)等にも驚きの効果を出しており、こちらも広島大学とアルタンは「エンテロウイルス属の非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤、および抗ウイルス組成物」における共同特許も取得しています。

イチオシ商品であるアルタンノロエース・NA・ハンドソープを作ったきっかけはなんですか?

食中毒といえば、やはり夏場の暑い時期に多く発生するものと思われていました。ところが、2006年暮れから2007年初頭にかけて、それまでほとんど認知されてこなかったノロウイルスによる感染症と食中毒が猛威をふるったんです。食中毒では比較的安全とされた11月から3月に多発することや、保育園、学校、高齢者施設、病院などでしばしば集団発生することから、ノロウイルスは社会問題として大きく取り上げられています。しかし、残念ながら、ノロウイルス感染に対する有効な治療法(治療剤)はまだ存在せず、対処法は、十分な水分の補給と安静のみです。また、従来からの予防法として、食材等の加熱処理(85℃以上で1分間)や塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム等)、ヨード剤(ポピドンヨード等)、アルデヒド剤(グルタラール等)などによる消毒が挙げられていました。ですが、これらすべてが確実に効果ありかと問われれば、確証は無いのが現状です。

そのうえ、これらの消毒剤は人体に有害なため、食品に混入することは許されないのです。調理器具などの消毒に用いる際には厳格な注意が必要であります。だからこそ、ノロウイルスに確実に効いて、なおかつ安全な消毒剤の開発が急務だったんですそこで立ち上がったのが、我々アルタン株式会社。ノロウイルスは二枚貝に集積することが知られていたので、牡蠣(かき)の生産地・広島県にある大学なら抗ノロウイルスに関する研究が進んでいるものと考え、広島大学大学院・生物圏科学研究科の島本整教授に共同研究を依頼しました。そして、わずか1年余りの猛スピードで完成させたのが「アルタンノロエースなんです。

基幹商品を開発するにあたり、大事なポイントはどんな事でしょうか?


研究を続ける中で、幸運もありましたね。アルタンの顧問を務める先生が樹木医をやっており、面白いアイディアを提供してくれたんです。なんでも木の治療等で枝を切った後の切り口に、柿渋を塗るんですよ。ウイルスが入って腐らすのを防ぐための、昔からの知恵なのだと言うことでした。柿渋は、古くより中国では漢方薬、日本でも民間治療薬として用いられてきた歴史がありますまた、清酒の製造工程では清澄剤としても使われており、食品あるいは食品添加物としての安全性に問題がないことも分かっていました。これならノロウイルスにも効くかもしれないと早速試しました。すると、予想を超える驚くべき効果を示しました。なんとウイルスゲノムが99%消滅。柿渋タンニンの強力な抗ノロウイルス作用が明らかになったんです。

開発そして発売へ

その後、商品化に向けての諸問題を解決し、2007年11月、「アルタンノロエース」の名称で発売された。それまでになかった製品であると同時に、天然由来の食品添加物・柿渋を使用していることから大いに注目を集めました。同年10月の日本経済新聞には、「アルタンと広島大学がノロウイルスを99%以上消滅させるエタノール製剤を開発し発売した」との記事が掲載され、また2010年9月および2012年10月、2014年1月には、NHK総合テレビで抗ノロウイルス「柿渋パワー」製品として放映され、今年に入ってもテレビ朝日でも放送、その都度製造が間に合わないほど注文が殺到しました。発売開始後も製品の改良は続けられました。食品添加物のフェルラ酸が柿渋との相性が良いことを発見し、1ミクロンのフィルターでろ過することにより、製造1年後でもごくわずかな褐色変化をする程度の、安定した品質の製品に仕上げていったのです。 評判が評判を呼んで、販売先も帝国ホテル、ワタミフードサービス、社会福祉法人くにみ園、山崎製パン等、セブンイレブングループ、その業種も多岐にわたる広がりを見せています。

この先、どのように展開してゆきますか?

様々なウイルスに効果がある消毒剤の開発が現実味を帯びてきました。今後は新たな製品開発とともに、この製品をより必要とするであろう病院や福祉施設へのアプローチが急務だと考えています。現状は「アルタンノロエース」が医薬品としては取り扱ってもらえないため、保険の点数制度の壁に阻まれ、病院への導入が難しくなっています。製品の圧倒的な効能で、制度の壁を突き崩し、広く一般に普及させる戦いは、これからが本番だと考えています。

インタビュー後記

インタビューで伺わせていただくと、名刺交換の際には温和で優しい表情だった鈴木社長の顔が一気に変わりました。柿渋エキスを使ったアルタンの製品についての開発秘話と、コロナ渦中でより明確になってきたノロウイルスの特性、そしてノロウイルスに対抗することができるアルタンの商品について、熱く、強く語っていただきました。コロナ渦で浸透したマスクや手洗い励行により、インフルエンザが激減してきましたね。しかしながらノロウイルスはほとんど減っていないんですね。知りませんでした。手洗いやアルコールでの消毒ではノロウイルスは不活化しないそうです。不活化できないので、小学校に貼ってある石鹸での手洗いと水流による「除去」がスタンダードなんです。そのノロウイルスを不活化できる唯一のハンドソープが、アルタンのNAハンドソープです。これは、飲食を扱う場所、学校、介護施設には案内しなければならない!!と強く思えるインタビューでした。

お問い合わせ

アルタン株式会社/鈴木賢一氏(代表取締役社長)

〒144-0033 東京都大田区東糀谷3-11-10

TEL 03-3743-5705

http://www.altan.co.jp

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。