まちの仕事人インタビュー
大田の宝を守る
大田区議会議員 公明党 田村 英樹 (たむら ひでき) さん インタビュー

1969年生まれ。大田区南六郷出身。地元の冷凍冷蔵設備の機器販売・設計・監理・施工・メンテナンス会社を経て、2011年に大田区議会議員選挙にて初当選。以降、2015年・2019年・2023年と連続で当選を果たし、4期目を迎える

平時から災害に備える町へ

今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

阪神・淡路大震災や新潟中越沖地震などの経験と、その被災地を見て回った経験が、議員を目指したきっかけです。阪神淡路大震災は、会社員として山梨県で設備工事の現場監督をしていたときに発生しました。当時は、東京から山梨まで車で通っていて、早朝から大きな衝撃を受けたものです。その後も様々な地震のたびに、仕事やプライベートで被災地に足を運び、現場で起こっていることや、困りごとを目にしてきました。そして、何度目かの被災地の訪問で「インフラは復旧できても、失った命は取り戻すことができない」ということに改めて気づき、強い衝撃を受けたのです。その後、様々なご縁がつながり大田区議会議員選挙への出馬を打診されました。もちろん、最初からやってみようと自信満々だったわけではありません。むしろ、その逆で「自分に務まるだろうか」と本当に悩んだものです。しかし、そこで思い出したことは被災地で感じた“命の重み”。議員という仕事を通して、自分の想いを形にすることができるのでは?と考えるようになり、出馬を決意しました。こうして迎えた初めての選挙は2011年。公園で地域のお母さんたちと、防災や子どもの教育に関するディスカッションをしていたときに、東日本大震災に被災。公園地下の防火水槽の大きな揺れは、今でも忘れることができません。余震もあり、選挙カーを使った活動が出来なかったため、1軒1軒歩いて回りながらの選挙活動でしたね。政策の柱の1つに『防災』を掲げていたこともあり、多くのご支援を得て当選することができました。以降、3度の選挙でも多くのご支援をいただき、区議会議員として4期13年目を迎えています。

どのような政策をかかげていますか?

『防災』『命』『健康』『子ども』『産業』を政策の軸としています。中でも『防災』は、私の想いが詰まった政策ですね。阪神・淡路大震災では、停電が復旧して送電が再開された際に、逃げる際に消し忘れた家電製品が自動的に作動したことによる復電火災が発生しました。地震における火災の6割以上を占めると言われるこれらの二次災害を防ぐことは、命を守るための“平時の備え”として重要です。その他、東日本大震災の際に目の前で起きていた、帰宅困難者対策の推進も行っています。『命』は、災害を通じて何よりも大切だと感じているものです。残念ながら、区内においても未成年の自殺はゼロになっていません。いじめ相談窓口など、公的に用意している窓口はありますが、まだまだ認知度も低く、命を絶つほど悩んでいる子どもたちはたくさんいるのです。実は私は18歳~19歳のときに多発性円形脱毛症になりました。病院をいくつか回りましたが原因は分からず、結局は大学を中退。いじめられた訳ではありませんが、大きな悩みを抱えていました。そんな私を再び社会と結びつけてくれたのは、オートバイ好きの仲間の一人。「自分が勤めている会社で一緒に働かないか?」と紹介してくれました。このように、周りのサポートを受けることで一歩踏み出すことができるのです。自殺者ゼロを目指して、サポート体制の構築を進めています。また、大田区の特徴でもある“ものづくり産業”を基幹とした『産業』についても、新産業・新技術の創業支援をすすめるとともに、受発注拡大に取り組みます


区民の相談にしっかり応える

主な実績を教えてください。

『防災』政策としては、災害時の復電火災を防ぐため、感震ブレーカーの導入を実現し、申請のあった高齢者世帯と、障がい者世帯に無償で設置しています。年間100~300世帯の申請があり、これまでに合計約500世帯以上に設置しています。もっともっと設置世帯を増やすことで、“火の出ない町づくり”を進めたいですね。その他にも、防災情報のデジタル化の推進や、防災行政無線の難聴対策として、電話応答サービスの導入を実現しました。『命』の政策としては、いじめ相談窓口のQRコードと電話番号を記載したキーホルダーを教育委員会と協力して作成し、新学期を迎える区立の子どもたちに配りました。未成年の自殺はゼロにはなっていませんが、大田区の教育センターへの相談が増えているとのことなので、一定の効果が出ていると感じています。キーホルダーに加えて、学校で使用しているデジタル端末の中に、相談窓口へつながる導線をつくることも進めています。『産業』については、支援のための融資相談やマッチング事業の拡充。AIや自動運転技術などの新産業分野の誘致を促し、区内産業の底上げを支援しています。

仕事をするうえで、心掛けていることを教えてください。

“区民の相談にしっかり応える”ことですね。これは、私にバトンをつないでくれた先輩議員からのアドバイスでもあります。世界の窓口となる羽田空港を区内に持ち、東京都と隣の川崎市との連携を図れる大田区には、まだまだ多くのポテンシャルがあり、これからも伸び代しかないと考えています。2020年にはショッピングやグルメ、日本文化、ライブイベントといった体験ができるうえ、研究開発施設、先端医療研究センター、コンベンション施設などが整備された「HANEDA INNOVATION CITY」がOPENしています。是非足を運んでみてください。伝統文化と現代アートが融合したように、町工場の生んだ技術と最新のテクノロジーが融合し、異なる価値観が行き交い、交錯することで、日本の次なるイノベーションが生み出される現場に立ち会うことができますよ。その他にも積極的に他の地方自治体へ出向き、良い取り組みがあれば積極的に取り入れようと取り組んでいます。人口の分布や、予算、その他の外的要因などもあり、すべてを取り入れることはできませんが、そのエッセンスの一部を取り入れることで、すこしでも大田区を前に進めていきたいですね。そして、『命』と『産業』は大田区の宝。これからも大田区のために全力を尽くし、大田区の宝を守り抜きます。どのような声でも構いません。ご意見をいただける方は、いつでもお気軽にご連絡ください。



インタビュー後記

インタビューの後「ちなみに、これからの少子化対策や高齢者対策について、何が必要だと感じていますか?」と意見を求められた。私の視野の狭い考えについて丁寧に頷き、ときどきメモを取っていただいた様子が印象に残った田村議員は、どんな小さな声にも耳を傾け、少しでも大田区を良くしたいという熱意を誰よりも持っている人だ。

お問い合わせ

名前:田村英樹

住所:大田区蒲田5‐13‐14(大田区役所10階)

電話:03‐5744‐1488

HP:https://www.komei.or.jp/km/ota-tamura-hideki/

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください