独特なタッチの壁画と衝撃的な店名で大きな話題となった高級食パン専門店「題名のないパン屋」が6月11日、2号店を蒲田にオープンさせた。
大森店(大森東)に続き展開された新店舗は東邦医大通りに面し、周囲には大人気の回転寿司チェーン「はま寿司」や、“大田の手土産100選”にも選定されている「パティスリー ナオヒラ」、知る人ぞ知る鳥弁当の老舗「鳥久」と、名店に囲まれた立地だ。
「当店だけでなく周りの店舗もともに相乗効果で盛り上げていきたい。」
そう張り切るのは「題名のないパン屋」の代表取締役を務める杉原健司さん。
杉原さんは同時に和惣菜の会社、佃浅(つくあさ)商店を営む。
聞けば創業は明治17年(1884年)!
135年以上も続いている老舗というので驚きだ!
そんな和惣菜への愛はこの高級食パンにも存分に注がれている。
この「題名のないパン屋」の特徴はなんといっても「おかずに合う」ということだ。
白米の代用としてパンを楽しめるよう、材料や食感に様々な工夫がされている。
とろりとした独特の甘みが特徴の江戸甘味噌を使用したパンは風味豊かで耳も薄く、味噌の保水性でしっとりしているのだとか。
そして店内にも「一緒に食べてね」といわんばかりに、おいしそうな和惣菜が並んでいるのだ。
この「おかずに合うパン」という発想の原点となっているのが杉原さんのお母様がよく作っていたという「卯の花パン」だ。
トーストの上に卯の花を乗せたこのメニューを、お母様が気に入って食べている様子を見て最初は違和感を覚えた杉原さん。
「おからもパンもパサパサした印象ですが、うちで作っている卯の花はみずみずしくパンと合わせても違和感がなかったみたいです。ただこの組み合わせを人に伝えることはあっても自分では食べませんでしたね…」と振り返る。
社内のイベントでも振る舞われ評判を呼ぶも、自分だけはどこか曲がった見方をしてしまい納得できなかったという杉原さん。
しかし、ベーカリープロデューサーの岸本拓也氏との出会う機会があり、この「和惣菜とパンのマッチング」について話題に投げかけてみるとこんな答えが返ってきたという。
「アンパンってそうですよね。おもちと組み合わせて大福等の和菓子として愛されていたあんこが洋と和の組み合わせに形を変えて愛されたのがアンパン。だから和と洋が合わないわけがないんです。それはもう実証されているものですよ。」
杉原さんの違和感が納得に変わる瞬間だったという。
そしてここから「題名のないパン屋」が誕生していくことになる。
パンと和惣菜の組み合わせが果たして皆に受け入れてもらえるものなのか…
挑戦はまだまだ続くが「美味しさに言葉はいらない」というコンセプトの通り、まずは五感で楽しみながら味わっていただきたい。
この「題名のないパン屋」の食パンの種類は
・無題の熟成(プレーン) 2斤 / 800円(税別)
・無の極み“味噌”(味噌) 2斤 / 840円(税別)
・無の極み“ぶどう”(レーズン・味噌) 2斤 /980円(税別)
以前より愛されていたこの3種類に加え、佃浅商店で販売している丹波黒豆を混ぜ込んだ食パンが週末のみ販売されているという。
ホームページやネットにも出されていないシークレットメニューなので、この黒豆食パンに出会えたらかなりラッキーだ!
買い求めについては整理券配布制なので、早い時間帯の来店がおすすめ。
扉を開放し、消毒スプレーやビニールシートをつけコロナ対策も万全な状態で出迎えてくれる。
取材:千葉 真理