
1978年東京生まれ、高校卒業後会社員を経て飲食業に従事、育児をしていた最中、義父の会社(有)大鵬を事業承継することに。2016年大田区蒲田に羽田バルを皮切りに羽田天空橋、四谷に出店。2022年10月に大田区の町工場の英知を集結したクラフトビール醸造場を大田区池上にオープンする。
飲食店を開業された理由・動機を教えて下さい。
正直私飲食業をやりたかったわけじゃないんです(爆)。ひょんなきっかけで義父から会社を受け継ぐことになりまして。はじめは右も左も全く分からなかった。だけどやり始めたらとことんやらなきゃ嫌なタイプ。だからこの数年走り続けました。こだわりだしたら止まらないから東北まで野菜はじめ食材を仕入れに行くわ、遂にビールの醸造所まで作ってしまった(笑)。
お店をやる上で大切にしている事を教えて下さい。
兎に角食材には拘っています。個人店だから大量生産するものは出せないし、出してもいない。大手チェーン店にはないこだわりがあるから自分の目で見て山形県長井市の農家さんから直接購入させて頂いている食材を提供しています。ウチの野菜を食べて頂いたら味の違いは分かって頂けると思いますよ。濃さが違いますから。
何故山形県長井市なんですか?
これもご縁がありまして、大田区で色々活動していたところ桜井政人さんという方と知り合ったのがきっかけです。実はお店のある大田区は山形県長井市と提携を結んでいていて、桜井さんが長井事務所の責任者だったご縁で山形県長井市に何度も伺う度に私がその土地と食材に長井市民の人柄に惚れこみまして。それからずっと長井市産の食材を使わせて頂いています。
そんなこだわり食材を提供する大屋さんがビジネスで大変だったことは?
そりゃコロナで大変でしたよ。というより今でも大変。だけど私には多くの支援して下さる仲間やお客さんがいました。2020年に満を持して出店した羽田イノヴェーションシティの「HANEDA SKY BREWING」。ビール醸造所の本物のクラフトビールをと意気揚々とオープンしたのですが、いきなりコロナで自粛自粛の嵐。お先真っ暗でしたが、皆さんの力をお借りして何とか乗り切ってます。
どこからそのパワーが湧き出てくるんですか?
正直私もヤバいと思いましたよ。だってオープンしていきなりですからね。だけど私自身飲食ビジネスが好きだし、この仕事のおかげでいろんな人と知り合って多くの方に支えてもらっている事が毎日実感できるんです。だから負けちゃいけない。明けない日は無いと思ってやってますよ。仕入れさせて頂いている山形県長井市の農家の皆さんから素晴らしい食材をうちのお店で調理し、お客様に「美味しい!」と言って喜んで頂ける。こんな嬉しいことないじゃないですか?このサイクルを目の当たりにすると自分が生まれてきた価値があると思えるんです。
人は考え方ひとつで悩んでいる人もよくなれる
そりゃコロナで売り上げも上がらないし、うまくいかない日々でしたが元来くよくよ悩む性格ではないので何とかなるという気持ちでコロナの先行きが見えない時期は日々過ごしていました。蒲田の街もこんなところの店舗に空きが出るんだと思う事もありましたが、私のクラフトビールに対しての愛は冷めることもありませんでしたし、意欲が湧いてきた分色んな食材を使って面白いビールを開発出来ました。
どんなクラフトビールを開発されたんですか?
過去には地元大森の海苔を裁断する時に出る粉海苔を使ったビールも作りましたね。ここ最近で言えば和歌山の梅、伊豆の国のプチトマト、愛媛の陽光桜、福島いわきの復興支援のお米を使ったクラフトビールを開発醸造しました。
城南信金さんとの出会い、サポートが私を変えた
各地の名産を使ったクラフトビールの開発には城南信金さんが大きくサポートして下さったんです。「よい仕事おこしネットワーク×つながろうプロジェクト」という全国の信金さんがタッグを組んで地域の強みや地元の名産をコラボさせて下さる企画なんですが、私のクラフトビールを全国の食材とコラボさせ、商品開発させて頂きました。今では毎回醸造する度に新しいクラフトビールを楽しみにして下さるファンの方がいる位です。
ここ最近新たに取り組んでいる事はありますか?
実はウチのクラフトビールの瓶のラベル貼りは障碍者の皆様にお願いしています。クラフトビールを醸造する際出る廃棄物はたい肥として利用して頂いています。全てが手作り。私共ビールの作り手だけでなく、私の周りの皆様に支えられてご提供できるこだわりのクラフトビールを楽しんでもらいたいですね。
お客様から言われて嬉しかった一言を教えて下さい。
「また来るね。」「野菜美味いね。」「このビール珍しい味ですね。」なんて言われると嬉しいです。
地域での活動はされていますか
大田区蒲田というこの下町をスタートに色々ご縁を頂戴し、飲食業という私のビジネスでいろんな方と知り合う事が出来たのは私のかけがえのない財産です。それを活かして色んなビジネスで活躍されている皆様を紹介したりと異業種交流会には積極的に参加しています。所謂マッチングですね。そういう場で知り合った皆様に団体でうちの店を利用してもらう事はこれ以上ない喜びです。
インタビュー後記
大屋さんは兎に角パワフルな下町のおばちゃん。そして人が好き。それに尽きます。コロナで下を向きがちだった飲食店経営ですが、全くそんなそぶりを見せず、常に笑顔を絶やさなかった肝っ玉母さん。大屋さんを紹介するに綺麗なキャッチコピーよりストレートなこういう言葉が一番マッチすると思います。
初めて訪問した数年前、山形県長井市という第二の故郷。農家さんとの出会い、食材のクオリティの高さに一目惚れしたとか。今では定期的に自らの足で出向き仕入れをするまでの間柄になったそうです。そういう意味で大田区で山形県長井市の宣伝部長になっているとも言えますね。
飲食店経営でありながら障碍者雇用や食材廃棄物をたい肥として再利用するなどリサイクルにも一足先に取り組み、SDGsをしっかりと実践させていらっしゃる。その上人が好きだから地元のビジネスマンをマッチングもしているし、それを求めている地元のビジネスマンもいる。そしてそこにはうまいクラフトビールがある。全て良い循環を生み出している歩くパワースポット大屋さん。アフターコロナの大屋さんのクラフトビール醸造の展開が楽しみで仕方ない。このインタビューが終わったら一杯頂きまーす。
お問い合わせ
羽田バル
住所:大田区西蒲田7-41-8 2階
電話:03-6424-7716
HP:https://hanedabar0520.owst.jp/
HANEDA SKY BREWING
住所:大田区羽田空港1-1-4 羽田イノベーションシティ2階
電話:03-5579-7350
HP:https://hanedaskybrewing0703.owst.jp/
*お店に伺う際、『区民ニュース』の大屋さんのインタビュー記事を読みましたとお伝え下さい。