大昔に「消防署の方から来ました」と消火器を持ったそれらしい人が玄関先に立っていて、消防署の職員であるかのように振舞い、消火器を通常よりも高い金額で売りつけられたという事件があったそうです。

 

この事件は、消火器を売った側は「私は何一つウソをついていない」と悪びれもしなかったそうです。私は「ちゃんと消防署の方(角)から来ましたって言いました」と言うのです。つまり、「私は消防署から来たとか消防署の職員であるなんて一言も言っていない」と言って、決して騙していないと言い続けたようです。

 

今回、消火器を売った人が騙していたのか騙していないのかは、一旦置いておきまして、消火器を買った人たちは「あの人は消防署から来た!!と言っていた」と言っているのです。しかし、売った人は「消防署から来たなんて言っていない」と言っているのです。いわゆる、「言った、言わない」という水掛け論のお話なのです。

 

「言った、言わない」の水掛け論になってしまうことは、ビジネスのシーンでもよく耳に

すると思います。また、このようになってしまう理由はいくつかあると考えられます。

まずは、記録に残していない事、確認不足などが理由としてあげられると思います。

 

その中でも一番多く考えられるのは、お互いの認識のズレが原因ではないでしょうか。ビジネスのシーンでも上司が指示を出したつもりでも、指示を受けた部下側には正しく伝わっていない事もあるでしょうし、違った解釈をしてしまう事もあるでしょう。

 

相手とは育ってきた環境やいろいろな背景が違う他人同士がコミュニケーションを取るわけですから、多少なりとも認識のズレは起きるのは当然だと思います。そういう説明はしていない、そういう意図ではない、ということから「言った、言わない」のトラブルにつながっていく可能性は高いでしょう。

 

実は、この「言った、言わない」のトラブルは葬儀のシーンでよく見られたシーンの一つでもあります。お葬式の担当者がご家族に「この話しは聞いていない」と言われて説明をしているシーンを何度も見ました。その時担当者は電話を切った後「あの時説明したのに・・・」と首をかしげていることがよくありました。

 

消火器の話も、お葬式も、お客様側は「非日常」のことなので、正直、認識のズレがあって当然なのです。お葬式の担当者からすれば説明をしたつもりでも、お客様からしたら、葬儀屋さんのように毎日お葬式を見ている訳ではないから「みなさんお馴染みの」的な説明をしても理解が難しいし、見たことも聞いたこともないものを頭の中で想像することはとても困難なことなのに、「言葉」だけの説明では間違いなく認識のズレは生じると思います。

 

また、葬儀というのは非日常なことでもあり、大切な人を亡くされているのでいつも以上に気持ちが落ち着いていない状態です。1回や2回説明を聞いただけですべて理解できないこともあると思います。だからこそ、葬儀だけではなく終活全般に言えることとして、事前に相談することをお勧めいたします。

 

事前相談をすることで、色々な疑問を解消出来たり、今のうちにやっておくことが見えてきたり、さらには、事前相談をされたお客様は、病院で葬儀社を決めたお客様に比べても格段に「言った、言わない」のトラブルが少なり、大切な方との最後のお別れがご納得のいくお別れができるのです。

 

こちらのブログをご覧のお葬式のご相談をご希望されている方は、メールにてお葬式の事前相談を実施しております。あなたがもしもの時に慌てない為にも是非ご活用ください。

d.kobayashi.sousaidr1@gmail.com  (1級葬祭ディレクター  小林大悟  相談メール)

 

 


著:一級葬祭ディレクター 小林大悟