海苔の産地として有名な大森。

古くから続く海苔問屋も数多く残るこの町で3月31日、駅前にある広場のリニューアルに際し、記念碑の除幕式が行われた。

本来なら盛大に行われる予定だったが、コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて縮小された内容でのセレモニーとなった。

後日4月4日に開催されるはずだった「大森イーストテラスフェスタ」も残念ながら中止の判断が下り、少しさみしい幕開けとなったが、それも過去の思い出となるくらい長く愛される空間になってもらいたい。

さて、この記念碑のモチーフが大森の海苔ということで、そのユニークさが注目されている。

江戸期から昭和まで収穫した海苔を天日乾燥するために使われていた「海苔の枠干し」をそのまま再現した碑なのだ。


この「海苔の枠干し」、昔の大森海岸付近ではどこでも見ることのできる冬の風物詩だったそう。

枠の中一枚一枚には「海苔養殖業発祥の地」と題して大森海苔の歴史や文化について記されており、ついつい足を止めてゆっくりと眺めたくなってしまうような記念碑である。

また、広場一面には縄文土器の文様をイメージした白い輪が描かれており、輪にはこの地域の歴史に関するエピソードが所々に記されている。

こちらは英語文も添えられており、様々な人が訪れる大きな駅前だからこそ、たくさんの人の目にこの町の歴史を知ってもらう素敵なアイディアだなと感じた。

なぜ縄文土器がモチーフとなったのか…これは、大森が歴史の教科書にも出てくるくらい有名である「大森貝塚」が発掘された地域だからだ。

1877年、アメリカ人のESモースにより縄文時代後期の貝塚が発見され、日本における最初の学術調査が始まったのがこの町ということで、JR大森駅のホームには「日本考古学発祥の地」の碑も存在する。

海苔に縄文土器…様々な歴史を刻みながら歩んできたこの地に、また新たな景色が誕生した。

この町の貴重な歴史や文化が、この空間を通じて広がっていくと思うと…とても楽しみだ。


取材:千葉真理