まちの仕事人インタビュー
初心者のためのキッチンカー作成のすすめ
株式会社カレマ 代表取締役 國信 隆之介 (くにのぶ りゅうのすけ) さん インタビュー

東京都生まれ。

東京理科大学卒業後、大学院に進学。

新卒で就職するもすぐに退職。

その後自転車で日本中を旅する。

ITプログラマーを10年以上経験。

現在はキッチンカーの運営を行っている。

ご経歴を教えてください。

東京生まれ東京育ちで、東京理科大学の出身です。面白い大学で、一年間北海道の長万部というところに全寮制で入っていました。卒業後は大学院に行き、新卒で会社に入社するのですが一年半ですぐ退社することになります。退社後は自転車で日本中を旅をしました。そんな自由なことをしていた私ですが、ITの知識があったので会社を辞めてから独学でプログラマーになりました。結局このITプログラマーという仕事はその後10年以上携わることになります。

キッチンカーを始めたきっかけは何ですか?

コロナが始まる前に、関東バスケット連盟さんでITのお仕事を頂きました。大学のバスケットボールの試合を管理されている連盟なんですが、試合の管理自体は当時紙媒体でしたのでスマホでも確認できるようなシステムを作るという内容でした。そんな折、埼玉の体育館に行ったときにふと、学生が食事をするようなところがないなと思ったんです。実際その時はキッチンカーが近くにあれば便利なのにとぼんやり浮かんできた程度です。タイミングとしては偶然なのですが、モバイルハウスという考えが一部流行していたこともあってそのような本を読んだんですよね。するとそこにはキャンピングカーやキッチンカーを自作する方法が紹介されていました。その時、学生が食べる場所がないと思ったことと、キッチンカーの潜在的ニーズが自分の中でリンクするようになりました。自分としてはピンと来た感じですね。これは仕事になるんじゃないかって。

実際に自作してみて大変でしたか?

これはめちゃくちゃ大変でしたね(笑)まずは場所を探すところからスタートでした。東京都内で工作ができる物件を探して工房にしようとしたんですが、家賃が高すぎてなかなか決まりませんでした。そんな時に千葉県の鋸南町でコワーキングスペースをやっている友人に相談したところ、場所を貸してくれるということになったので、すぐに向かうことにしました。この日から南千住と鋸南町の2拠点生活が始まることになります。


DIY自体が素人だったものですから、様々な工具に触れることが初めてでした。そもそも特殊な工具を使えないという致命的な状態からスタートしたのでとにかく作業工程が先に進まないんです。Youtubeを見てやり方を確認したり、本を読んだり、まずはそこからのスタートでした。作業工程としては、木を組み合わせてやぐらを組むんですが、これがあまりにも大変すぎて何度も心が折れかけました。本業もしながらの作業でしたから、3か月掛かりました。それだけの時間をかけて外枠の作業工程が終了した感じなんですよね。続いて内装に取り掛かるわけですが、資料にもYoutubeにもキッチンを作成するものがほとんど無く、とにかくとりあえずやってみたという感じです(笑)



キッチンカーとして必要な装備を保健所の審査基準に則って充足させていくわけですが、蛇口をひねれば水が出る仕組みをどうやって整えていいのかもわからなかったので、とにかく時間がかかりました。参考にする設計図がないというのは実は恐ろしいことで、購入してきた部品同士が合わないなんてこともざらにあるんです。たまりませんよね。時間もお金も無駄に浪費することになるんですから。こんな試行錯誤を重ねここまでの工程を含めて、全工程で9か月が経過します。


そのあと保健所の審査を受けに行くわけなんですが、これも何度も何度もやり直しがあり、結局認可が下りたのが、作成を始めてから10か月以上が過ぎたころになってしまいました。

実際にキッチンカーを運営してみていかがでしょうか。

今のところは儲けにはなっていないですね(笑)イベントによって集客レベルはまちまちです。六本木ヒルズでイベントがあるときなどは非常に利益が出ました。代々木体育館でのバスケの試合のイベントの時は5000~10000人ほど集まっていたこともあり600食分くらい用意するなど入念に準備をしましたが、30食しか売れない時もありました。その逆に少なめに用意していたらあっという間に売れてしまって時間を持て余すようなこともありました。


やはりキッチンカーに人が集まるときは食のイベントが中心の時になりますね。スポーツだったり、食以外のことにスポットライトが当たるようなイベントだと集客が難しいというのが体感です。


しかしそんな試行錯誤も含めて、非常にやりがいを感じていますし今後試したいアイデアもいくつか浮かんでいるので楽しみでもあります。


今後の展望を教えてください。

本業とキッチンカーの融合ですね。私は現在カレマという会社で、オンラインのカレンダー上でイベントの開催等を告知し参加したい方とのマッチングサービスを展開しています。こちらを本業としてやっている関係で、ある程度はキッチンカーを自由に展開しているという状況なのですが、将来的にはこのカレマで自社開発しているシステムを利用してキッチンカーの運営戦略を構築していければなと思っています。キッチンカーがどこで稼働しているのか把握するシステムを展開している会社はないと思います。近い将来、グーグルマップにこういうキッチンカーがイベントに合わせて配置されていますという告知ができるようになればユーザー側も利用しやすいのではないかなと考えています。また、せっかく鋸南町にいるので地域に貢献できる事業を展開していきたいです。地元の農家さんと仲良くなったので、食品加工場を作りたいなというのがアイデアの一つです。キッチンカーも含めて、飲食業は食材が余ってしまうことが問題だなと感じています。フードロスを解消するためにレトルト食品に加工して利用するというのも重要な試みだと思っています。現在では食材を滅菌処理してパッキングする技術が確立されているので、その場である程度の下処理加工はできるんですよ。こうしたことができれば下処理の手間もかからなくなるのでキッチンカーの運営には大きなプラスになります。


当初はなんとなく面白そうだなと思ったアイデアを形にしてきましたが、本業とのシナジーや、千葉県の鋸南町での地域貢献事業など思いもよらなかった形に展開していきそうです。今後もキッチンカーがどこまでいけるか楽しみにしながら取り組んでいこうと思います。

インタビュー後記

シンプルに体験談が非常に面白かったです。今回記事のボリュームが多くなってしまいましたが、完全に書く側の思いです(笑)漠然と聞いたり読んだりしていると「そうなんだろうねぇ」という感想になるところでしょうが、自分毎に置き換えて想像しながら聞いたり読んだりしますと、とても成し遂げられそうにない壮大な苦労話が心に染みました。さすがに本業がある中で、10か月間知見のないことに取り組み続けるというのは並大抵のことではありません。恐るべき執念。やり遂げた國信さんには今後の展望がいくつも湧いてこられているようでもありますし、自社で開発するシステムとの連携等も今後どのような形で展開されていくのか楽しみなところです。今後のご活躍に期待しております。

お問い合わせ

株式会社カレマ

代表取締役 國信 隆之介

メール: ryu@calema.jp

HP : https://calema.jp/

問い合わせ用URL:https://calema.jp/%e3%81%8a%e5%95%8f%e3%81%84%e5%90%88%e3%82%8f%e3%81%9b/

*お電話相談の際、『荒川区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。