遺言状の効力について
(2年前の記事です) 掲載日:2022/11/12
遺言状の効力はどのくらいのものなのでしょうか?
主に遺産相続に関する遺言状を作成した場合、法的にはどの程度まで有効なのでしょうか?
遺言状よりも法定相続(たとえば遺産は子供たちに等分する等)の方が優先されると聞いたことがありますが真意はどうなのでしょうか?
あと費用は幾ら位掛るものなのでしょうか?教えて下さい。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

亡くなった方が遺言を作成していた場合、法定相続の規定は適用されず、遺言の内容に従って相続が行われることになります。
遺言の内容と違う相続をするためには、相続人全員が合意して遺産分割協議書を作る必要があります。ただ、特定の範囲の相続人には、法定相続分のうち一定割合を相続する権利が認められており、これは遺言によっても侵すことができません。この権利を遺留分といいます。
しかし、遺留分に反する遺言は無効となるわけではなく、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を取り戻すためには、自分から遺留分減殺請求という手続きを行うことが必要となります。(この手続きは亡くなったことを知ったときから1年以内にしなければなりませんので注意してください)
ご質問にある、「遺言状よりも法定相続の方が優先される」とは、遺留分を侵害する遺言の場合、遺言の内容全てが実現されるわけではないという意味で言われていることではないでしょうか。
費用についてですが、自筆証書遺言ならば、自分ひとりで作成することができるので、費用はかかりません。しかし、手軽な反面、形式ミスを犯しやすい(形式に不備があると遺言は無効になります)、紛失のおそれがあるなどといったデメリットもあります。
これらのデメリットに対処できるのが「公正証書遺言」です。公証役場で公正証書にして保管してもらう遺言です。公正証書遺言の作成には、相続財産と相続人の数に応じた手数料と印紙代が必要となるので、最低でも数万円がかかります。
ただ、公証役場も形式面のチェックについてはしてくれますが、遺言の内容についてアドバイスしてくれるわけではありませんので、お悩みの際は弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
※この記事は2022年11月1日の法律をもとに執筆しています。