今回のゲストは若手川崎市議会議員の橋本勝さん。

「元気な川崎」を目指しつつ、地域に密着した政治活動を実践されています。

家庭では2児の良きお父さんである橋本氏に、川崎市の現状や課題を伺いました。


Photo:長谷部ナオキチ

全国の政令指定都市で元気なのは、東は川崎、西は福岡

高木優一:いきなり唐突な質問で恐縮ですが、議員のポジションって当選の順位で決まるというようなことがあるのですか?


橋本勝:いいえ、そんなことはありません。


高木優一:一位で当選すればよいポジションに就けるわけでもないのですね。



橋本勝:全然。特に川崎市の場合は熾烈なポジション争いなどないし、いまだに年功序列の体質が残っているような気がしています。


高木優一:川崎市会議員は今何人いらっしゃいますか。


橋本勝:全部で60人です。市民25,000人に対し議員一人ぐらいの割合です。



高木優一:川崎市の人口は増えていますよね。


橋本勝:現在149万人ぐらいでして、アッパーで151万人と言われています。増えているといっても伸びは鈍化しています。


高木優一:川崎市は細長い形をしていて広範囲に広がっているイメージがありますが、全国の政令指定都市では一番面積が少ないんですね。川崎市の中でも多摩区などは人口が減っているのではないですか。



橋本勝:いえ、多摩区は若干ですが増えてはいます。幸区と麻生区は他の区に比べて少ないのですが、だいたい20万人かける7区というような割合になっています。全国の政令指定都市を見てみますと、東で元気が良いのは川崎市ですが、西では断然福岡市ですね。一人勝ちといった感じです。


高木優一:先生が今、議員として一番力を入れていらっしゃることをお聞きしたいと思います。


橋本勝:福祉と言いたいところですが、インフラの整備が遅れているので、そこに注力したいと思っています。



高木優一:鉄道ですか。


橋本勝:いえ、道路ですね。鉄道はある程度は整備されていると思います。


高木優一:以前は地下鉄の計画もあったように記憶しますが、中止になったのですよね。




橋本勝:平成12年の国の鉄道運輸審議会で地下鉄の整備は認められたのですが、市長が変わったタイミングで経営面、財政面での検証が図られました。市民にも1万人アンケートを実施したのですが、そこからも財政が厳しいのに地下鉄などいらないという声が多く、結局は頓挫した形ですね。市長は延期という表現を使っていますが、実質的には中止ということだと思います。交通が不便な地域では実現させてくれという強い声もあったのですが、叶いませんでしたね。


高木優一:地下鉄ではなく、あざみ野と新百合ヶ丘間に横浜市営地下鉄を伸ばすという計画は継続しているのですよね。


橋本勝:それは継続的に申し入れていますね。



これからは、ラジオも「聴く」から「観る」の流れに

高木優一:橋本先生の地盤は南武線の宿河原ですか。


橋本勝:そうです。


高木優一:私、学生時代に宿河原に住んでいたんですよ。



橋本勝:そうなんですか。


高木優一:大学が専修で、向ヶ丘遊園にキャンパスがあったのですが、小田急線沿線は家賃が高かったもので、南武線にしたのです。


橋本勝:宿河原からならば自転車でも通えますね。



高木優一:いえいえ、電車と徒歩で通いましたよ。あの坂を自転車で登れるわけがないじゃないですか。ところで、向ヶ丘遊園と言えば、藤子・F・不二雄ミュージアムが2011年に開館しましたが来館状況はいかがですか。


橋本勝:来館人数はある程度確保できていると思いますが、経済効果という面ではあまり・・・7割以上のお客さんが、ミュージアムを観たらそのまま帰ってしまいます。


高木優一:なるほど。ところで、市長と議会の関係性って実際どのような感じですか。結構距離感があるように思います。



橋本勝:議会と市長では権限の違いは明確ですね。我々60人の市議会議員が議会で市長の意見なり意思決定なりにバツを付けられるかというと、それはやはり難しいと思います。小池都知事が民意を背景にいろいろな意思決定をされていますが、それを議会が潰すということはできないでしょうね。


高木優一:橋本先生もFM川崎の私の番組に出ていただきましたが、たとえばラジオがユーストリーム(インターネットを使って、ライブロードキャストができるサービス)などと提携して放送すると、ラジオ番組がテレビ番組になるんです。実際に動画配信のある番組を持っているラジオ局は増えていますね。リスナーは「どんなスタジオで、どんな人たちが、どんな雰囲気で」放送しているのかに興味がありますから、耳で聴くだけの場合と比べて番組への興味の持ち方に大きな違いが現れるように思います。FM川崎でも採りあげられるといいですね。。


橋本勝:大きな局だけでなくても動画配信は行われているのですか。



高木優一:ええ。地方の小さなFM放送局で積極的に採りあげられています。東京では目黒FMなどは上手に動画を活用していますね。


橋本勝:大きな自然災害が立て続けに起こっていますから、どこの行政も「安全・安心なまちづくり」を標榜しています。そういう視点からも、ラジオ局が積極的に動画の配信を進めていくのは良いことなのではないでしょうか。

近い将来の超高齢者社会に向けた準備を怠らずに行うことが重要

高木優一:ラジオ番組も、「聴く」から「観る」の時代になってきたということですね。


橋本勝:そういえば、昔、市議会の本会議をFM川崎で中継するという話もあったみたいですよ。でも、結構な金額だったものでお断りしたようです。


高木優一:それはもったいない。それでは、最後に核心的と言いますか、医療、福祉の問題に関してご意見を伺いましょう。



橋本勝:医療、福祉に関しては、財政的な面から見ると国民保険事業会計も介護保険事業会計も基準にもらっているお金が底をついている状況ですから、基準外にお金を入れてもらわないと回っていかないという状況です。生活保護費はこのところ600億円ぐらいで横ばい状態なのですが、その費用の中で何に一番お金がかかるかと言えば医療補助費なんです。600億のうちの200億以上が医療補助費となっています。


高木優一:生活保護を受けているのは高齢者ばかりではありませんよね。それでも医療費が大きく占めるのですね。まあ、どこの地区でも高齢者が増えてくれば当然、医療費、介護費が高騰します。でも、川崎市が他の市町村に比べ高齢者が多いというわけではないですよね。


橋本勝:全国的に見れば、今のところ若い層が多い地区ではあります。しかし、統計を取ると、いつから若い人への負担が上昇するということがわかっていますから、今から対応策を十分に検証しなければならないですね。


高木優一:そうですね。高齢者の増加、出産率の低下による人口の減少は我々の業界にも大きな影響が出ています。不動産余りの状況が加速すると思います。駅から遠いエリアの地主さんなどは本当に困っていますね。家賃を滞納している入所者にも強く出られないと嘆いています。出て行ってもらっては困りますから。ところで、陳情ってどういう系統のものが多いのですか。


橋本勝:細かいことが多いです。街の道路を整備して欲しいとか、街路樹を植えてくれとか。


高木優一:やはり、そうなのですね。これからも地域に根ざした活動を期待しております。今日はありがとうございました。