酷暑と言われた今年の8月。9月も暑いのかなって勝手ながら想像しておりましたが、少し落ち着いてきて、窓をあけて作業をしていると少し涼しい風が部屋に入ってくることもあり、だんだんと秋そして冬に近づいていくのかな?そんな風に最近感じております。

 

冬の時期は葬儀業界では繁忙期と言われております。何故かと言うと、冬の時期はお亡くなりになられる方が増えるというのが大きな理由です。12月の後半、クリスマスの辺りには年内の火葬予約が埋まってしまう火葬場が出てしまうことも珍しくないくらいに、葬儀業界の冬場は繁忙期なのです。

 

葬儀業界の方々は、冬場に予定が立てられない事もよくあるお話しです。昔あったマーフィーの法則的な事ではありませんが、「アポを取ってその日に限って、ご葬儀のご相談が入る」なんてことは業界関係者なら1度くらい経験した事があるのではないでしょうか?

 

そんな前置きはさておき、先日、浄土宗のお坊さんAさんとお話しする機会がありました。お若い感じの方だったのですが、お話しもおもしろくて、聞き入ってしまいました。だんだんとお話しは最近の葬儀業界についてのお話しになって行きました。

 

その流れの中で、そのお坊さんAさんが、最近、腹が立ったお話しを聞かせてくださいました。それは、あるテレビCMなどで話題の某葬儀ポータルサイトの運営している会社から依頼された時に、その某ポータルサイトから派遣された葬儀社の社員がそのお坊さんに放った一言がきっかけだったようです。

 

その一言とは「本日の読経は20分で終わらせてもらえません?」その場で説教しようかと思ったのですが、ぐっと堪えて、呼吸を調えたお坊さんAさんはゆっくりと「あなたは、その言葉をそっくりそのままご葬家さまにお伝えできますか?」と伝えたのだそうです。

 

通常、お通夜でも葬儀でも、僧侶の読経時間は40分から50分かかるのが、私の経験上でのお話しです。お葬式に参列した事がある方からしたら「御経はそのくらい拝んでいたよね」となると思うのです。お坊さんによっては、読経時間を1時間くらい読む方もいらっしゃいましたので20分がとっても短いのがお分かりいただけると思います。

 

そして、お坊さんAさんに「あなたは、その言葉をそっくりそのままご葬家さまにお伝えできますか?」と聞かされた葬儀社の社員は「繁忙期で人が居なくて、次のお客様の対応も控えているのですよ」とだから20分で拝んで欲しいと言わんばかりの態度だったようです。

 

呆れたお坊さんAさんは「20分では故人さまに申し訳が立ちませんので、40分しっかりお勤めいたしますね」と伝えたそうです。そして、困った顔をした葬儀社の社員はスマホを片手にどこかに電話しながら平謝りしていたそうです。

 

おそらく彼の上司から「お前!!次の仕事が入っているから、20分でお願いしろよ!!」と言われている姿が容易に目に浮かびます。そして、それがお坊さんにも、お客様にも失礼なことを言っているという事が理解できないスタッフがお葬式の担当者として対応しているのが現実です。

 

しかしながら、名前の響きが良すぎてなのか?テレビCMで使われているからなのか?お安いお葬式が良いお葬式だというイメージが強いのか?おそらく、お客様側もどんな失礼なことをされたのか理解が出来ていないから、「お葬式ってこんなものか」と理解して終わりになってしまい、お客様もそのような葬儀社を選んでしまうのでしょうね。

 

お坊さんAさんから「このままでは供養業界終わっちゃいますよ」と声をかけられましたが、どんな風に正していけば良いのか、「安かろう、悪かろうになりたくない」けれどもお客様がお葬式に対して何を求めているのか?まだまだ、勉強が足りないなと自分に喝を入れていくのでした。

 

 

 

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著:一級葬祭ディレクター 小林大悟