まちの仕事人インタビュー
介護事業所が 「eスポーツ」に取り組む理由
株式会社ケア・プランニング 社長 中原修二郎 (なかはら しゅうじろう) さん インタビュー

介護事業を展開する有限会社ケア・プランニング。来年で創業から20周年を迎えます。

これまでの軌跡とこれからの挑戦について、中原修二郎社長に語って頂きました。

「常に人と違うことをしたい」と考え模索していた青年時代

創業のきっかけを振り返ると、大学を選ぶ高校生(1998年)の時に、ちょうどこれから介護保険制度がスタートするということで、福祉系の学部がある大学に進んだことが関係しています。

 

当時、就職氷河期の時代でもありましたら、時代の流れから考えても、福祉について学んでおく事に損はないだろうという気持ちで進路を決めました。

 

ただ、自分の性格として「常に人と違うことをしたい」という思いがありまして、そのまま皆と同じように施設で福祉職に就こうと思うことはなく「福祉と何かを掛け合わせた仕事」ができたら良いなという感じでした。それは今の事業展開にも繋がっている価値観ですね。

 

そんな時に、大学の実習でデイサービスに足を運ぶ機会がありました。そこで働く若い職員がレクなどの時間に利用者さんを大笑いさせている光景を目にして衝撃を受けたんです。

その時に「これだ!お笑い(エンタメ)を提供できる福祉人になろう」と思い、大学卒業、松竹芸能に所属してお笑い芸人を目指し始めました。

 

ただ、現実は甘くなく、思うようにいかない日々が続き、芸人としての技術を磨くモチベーションは下がっていきましたが(笑)

 

1年ほど経過した時、親が介護福祉系の事業をしていたこともあり、起業のチャンスが巡ってきました。「23歳で社長ができるなら、悪くない」と思い、2003年に介護事業(訪問介護)で起業を決断しました。

月給8万円。正月以外休みなく働いた。それでも資金繰りに悩む日々が5年続く

23歳で独立を果たしましたが、最初の5年くらいは本当に資金繰りが大変でした。立ち上がったばかりの会社で、しかも社長は23歳。信用ゼロからのスタートで手探り状態。スタッフや新規のお客さんを見つけるのも苦戦しました。

 

正月以外、毎日休みなく働いても資金がギリギリの日々。サラ金にもお金を借りながら自転車操業の日々が5~6年以上も続いたんです。その頃の自分の給料はたったの8万。起業から20代が終わるまでのほとんどの期間、友人と遊んだり、息抜きをする時間と余裕は一切ありませんでした。とてもつらい時期でした。

 

それでも、なんとか這い上がろう、この状況を打破しようと思い、仕事の合間に経営仲間を作り、経営に関する勉強の時間も作りました。会計や資金調達に関して知見を深めていき中で、少しずつ財務状況が良い方向に変わっていきました。この頃から、お客さんも増えてきました。

そして、新たにデイサービスを開設することができ、まとまった資金調達も実現しました。これに機に、ようやくギリギリの状態を脱することができたと記憶しています。

29歳、青年会議所との出会いで大きく会社が変わる

少し余裕ができたことで、より「学び」や「人脈構築」に時間を作れるようになりました。29歳の時、とあるご縁で青年会議所に入ることになり、これが自分の経営にとって大きな変化をもたらすきっかけとなりました。

 

青年会議所にはたくさんの先輩経営者がいます。その人たちから「経営とは何か」「仕事とは何か」「リーダーとは何か」という、今まで自分があまり向き合ってこなかった仕事観・経営哲学を学べたのが非常に大きかったんです。

 

そして「誰かの役に立つ」ための手段として「仕事」が存在しており、仕事の全ての起点は「この人の役に立ちたい」という部分に本質がある。その当たり前の基本に立ち返って物事を考えられるようになりました。


そこから仕事への向き合い方、スタッフとの向き合い方も変わっていったんです。

また、青年会議所には褒め合う文化、信頼して任せていく文化があり、そうしたポジティブな組織の作り方も学ばせていただきました。

 

そうしたことを自社の運営にも取り入れていくことで、結果として、売り上げも伸び、スタッフの定着率も改善されていきましたね。

変化の時代に強い会社へ  介護事業所がeスポーツに取り組む理由

現代はこれまで以上に、変化が常に求められる時代です。介護の会社だから介護保険の仕事だけしていれば良いということではなく、何かを掛け合わせて色んなことにチャレンジしたいと思っていますし、弊社にはその文化があります。

 

最近でいえば、今年立ち上げた「eスポーツ×デイサービス」(事業所名:「デイサービスeほっと」)の事業もそのひとつです。



昨今、「共生社会」というキーワードが出てきていますよね。高齢者も若者も障害者も健常者も、垣根のない繋がりやコミュニティ、居場所を作ることが求められています。ただ、まだまだ理想論であり、課題もある。

 

その中で、eスポーツというのは、そのいろんな壁を乗り越えて同じ空間(ネット上・リアルを含め)で同じ時間・コンテンツを楽しめる(繋がれる)数少ないツールであり、可能性を感じています。

 

そういう意味で「eほっと」は機能訓練的な意味合いより、コミュニティ醸成の要素が強く、社会参加を促進する共生型の事業体を目指していています。

 

現在「eほっと」では利用者である高齢者がeスポーツを活用していますが、これを土日も解放して、学生を含めた様々な人がeスポーツを楽しめる場所に変えていきます。

 

そうすると福祉と関係性がなかった人たちも、ゲームという切り口からデイサービスに足を運ぶきっかけができ、福祉というのがより身近なものになる。

 

自社の広報力や採用力強化につながるだけでなく、結果として、業界のイメージを変えたり、業界に関わる人を増やしたりする形で社会全体に貢献できればと思っています。





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