『お布施っていくら?』や『お気持ちでって言われたんだけどいくら包めばいい?』とよく聞かれますが、菩提寺がある場合、仮に葬儀社が直接確認をしたとしてもお怒りを買うだけで、金額を教えてもらえることはありません。

本当によく聞かれるのですが、申し訳ないです。そこはお答えすることが非常に難しいのです。

葬儀社から各宗派の寺院を紹介するケースでは金額をお伝えすることはできるのですが。

戒名代とか戒名料とか聞いたことありませんか?

僕達葬儀社がお寺様と話すときに「戒名代はいくらになりますか?」

なんてお話しするとしたら考えるだけで恐ろしい(汗)

かなりの大目玉を食らってしまうと思います。

葬儀に携わって約20年、その間一度もお寺様に対して「戒名料」と書いた封筒をお渡ししたことも見たこともありません。

一般的に「御布施」と書かれた封筒に必要金額を入れてお渡ししますが、他は「御車代」「御膳料」位で、「御戒名料」と書かれた封筒は弊社では使っていません。

もし戒名料というものがあるとしたら、お布施の中の内訳でしかなく「2日間の読経料」といただく戒名の対価としてお支払いする「戒名料」なのではないかと思います。



お寺様によって「御車代」はお布施と一緒でいいからと言われるケースもあるので、よくご確認ください。

一般的にお位牌に書かれている文字を全部含めて戒名と呼ばれていますが、実は戒名部分は2文字しかなく、「院号」+「道号」+「戒名」+「位号」で構成されているのです。


位の高い順に

「院殿居士」

→「院居士(大姉)」

→「居士(大姉)」

→「信士(信女)」になります。


男性→居士(こじ)・信士(しんじ)、

女性→大姉(だいし)・信女(しんにょ)となり男性と女性では異なります。


院殿居士は元総理大臣や戦国武将とかのイメージしかありませんので説明を省きますが、よく使われるのが「院居士(大姉)」・「居士(大姉)」・「信士(信女)」です。

ご自宅のお仏壇にご先祖の黒塗位牌があったら見てみてください。

もしご先祖が「居士(大姉)」だとしたら子孫も「居士(大姉)」になるケースが多いです。「院居士」の場合もしかりです。


亡くなったお父さんお母さんが「信士」「信女」だった場合にその子供が「居士」「大姉」となり、ご先祖より位が高くなることは強く希望しない限りそうそうありません。

親が「居士(大姉)」だった場合、その子も「居士(大姉)」が一般的ですので、例えば親の葬儀のお布施が70万円であった場合、子の葬儀もお布施が70万円になる可能性が高いと思われます。

親が「院居士」だった!!もしかすると高額なお布施になる可能性もあるので、お寺様とよくご相談ください。


「お布施が高い」とよく言われますが、こんなケースを見たことがあります。

“普段からお寺様の運営や行事、お掃除のお手伝いを熱心にしていた”方がいらっしゃいました。

その方が亡くなった際はご住職から「お布施は一般的な金額で構いませんので、院号を授けさせてください。今までの貢献に対する感謝の気持ち」とおっしゃっていました。

また別のお寺様の話ですが、「普段から檀家としての付き合いをしていないで葬儀の時だけお願いされると、お布施でほかの檀家さんとつり合いをとる」

とおっしゃっていたのも聞いたことがあります。

お金だけの問題ではなく、人とのコミュニケーションって大事だなと学ばせていただきました。

余談ですが、浄土真宗では戒名ではなく「法名」日蓮宗では「法号」と言います。

また本来浄土真宗では『過去帳』というノートに位牌と同じ内容を書き込み、黒塗位牌を使いませんが、黒塗位牌を希望される方も増え、どちらもいらっしゃるのが現状です。


著:一級葬祭ディレクター 小林大悟


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