まちの仕事人インタビュー
お寺はほっと一息できる地域の拠り所。なめらかな社会を|お寺専門支援会社
株式会社TERA Tech Inc.(読み:カブシキカイシャ テラテクインク) 代表 森 篤史 (もり あつし) さん インタビュー

【プロフィール】

1988年生まれ|香川出身|心理学部卒|1児の父 一般家庭で育ち、幼少期はお寺が遊び場で年越しは友人のお寺で過ごすのが恒例行事。大学時代は年々メンタル不調者が増える日本に危機感を覚え、学生時代には心理学を専攻。 これまで会社員時代には、食品メーカー時代には営業/販売戦略企画部で『いかに商品・サービスを世の中に知ってもらうか』を、その後の環境系ベンチャー時代には事業の立ち上げをリードし、『新たな価値としてどう伝えるか』を実践。 人の心と体とサステナブルに関わる業界を歩む中で身内の死をきっかけに『人々の心の拠り所としてのお寺』の重要さに気づき、学生時代の友人住職とともに創業。 『お寺から社会をよくする』をテーマにお寺のデジタル化とともにコンテンツの企画・提供を行う。お寺と社会がつながり、次世代につながることで『ひとりひとりがより心豊かな日常を過ごせる社会』の実現を目指す。

 

 

【なぜこの仕事始めたのか】

まず僕はお寺の息子ではなく、お寺に関わる仕事をしていたわけでもありません。

ではなぜ?とご質問を頂くことが多いのですが

色々な体験と縁が今の仕事をするきっかけとなりました。

弘法大師空海の生まれ故郷である香川県出身で、幼少期からお寺が遊び場でした。

年末に除夜の鐘を突きに行くことが毎年の恒例行事でお寺という場所がコミュニティ

の一つであり居場所でした。

大学在籍時は心理学を専攻していたのですが、その時の一番の親友が現在の創業メンバーでもあり、お寺の息子です。なのでお寺というものは一般的な方と比べると身近にあったかもしれません。

そんな中社会人になってからは一般企業に勤めて東京にいたのですが、身内に不幸があり、急遽地元に戻る際に、お寺に連絡しても全く繋がらないということがあったのです。

後から知ったのですが、そのお寺のご住職が塾講師と兼業であり、全国的にも多くのお寺のご住職は二足の草鞋であるという事実を知ったのです。

お寺が経営の危機にあり将来的に存在が減ってしまうと人が亡くなってしまった後の居場所がなくなることではないかととても衝撃を受けました。

会社員時代にはマーケティングなどを学び、社会問題の解決に非常に強い関心と、やりがいを感じていていたので、自分の中では身近な存在で安らぎであり、心のよりどころであるお寺の経営課題解決は、社会問題の解決にも繋がるのでは?という想いからこの事業を始めました。

 

さらに詳しい想いはnoteでも公開しています。

https://note.com/atsushi_mori180/

幼少期によく遊んだ柞原寺(くわらじ)@香川県三豊市

【サービスの内容について教えてください。】

サービスについては大きく3つの要素があります。

「知れる・行ける・集まれるお寺を地域の居場所に」

ということがこのサービスの特徴です。

具体的には

知れる→DX事業  行ける→コンテンツ事業  集まれる→地域共創事業

の3本柱でそれぞれを紹介させて頂きます。

まずDX事業は寺務管理システムの構築です。

区民ニュースをご覧の皆様は「大切な方の命日を覚えていますか?」

例えば回忌法要のお知らせは5人に2人が希望しているというデータがありますが

そのお便りを毎月発送しているお寺は約2%しか存在しません。*当社調べ

ほとんどの命日情報管理は紙媒体で管理されており、それぞれのお寺のご住職の手作業で管理、発送が行われています。これをテラテク帳というサービスを活用するとたった30秒でお便りの発送をwebで完結することが出来、作業工数の削減と人的な業務を格段に減らすことが出来ますし、檀家さんとのコミュニケーション創出や関係構築にも繋げることが出来ます。実際に法要忘れ防止につながり、新たな縁の創出になっています。

次にコンテンツ事業です。

一例をあげるとある川崎にあるお寺にてお盆供養の際にぷちマルシェを開催しました。

新鮮で美味しいこだわりの野菜を仕入れ、野菜販売をした結果、多くの方にご来場頂き、地域の方に楽しんでいただくことができました。またその中で非常に印象に残った出来事がありました。地元にお住まいの高齢の女性がいらして下さったのですが、少しお話を伺うと最近ご主人を亡くした未亡人であり、一人さみしく暮らしていたところマルシェのことを知り、足を運ばれたようでした。実際に来てみると地域の方々ともたくさんコミュニケーションが取れたし、とにかく寂しさを拭うことができたとお話をして下さいました。

お寺がコミュニティーであり心のよりどころにしたいという僕の想いが少し実現できたようで非常に達成感がありました。

最後は地域共創事業です。

お寺は敷地が広いことが多いですが、そのスペースを有効活用しようというものです。

例えばヨガインストラクターを招いてその場を地域の方々へ向けたヨガ教室として活用頂いたり、こども食堂を開設して地域の子供を招待するなどです。広いスペースを活用したイベントを開催したいが、高額の利用料がかかるという問題もありますし、お寺から見るとお寺にくるきっかけ作りをしたいという互いのニーズを解消することが出来る事業だと考えております。

以上が3つのサービスになりますが、お寺としてはもっと地域の人に実際にお寺に足を運んで頂き興味関心を持ってもらいたい、檀家さんともっとコミュニケーションを取りたいという想いがあるものの集客方法がわからないや周知手段がないなど様々な問題を抱えています。逆に一般的にお寺は用がないと入ってはいけないというイメージや、敷居が高いというイメージがありますが、お寺はもっと来て欲しいという想いがあるということを知らないままでいるケースがほとんどでその様な課題を解決していきたいし、お寺をもっと皆さんに身近に感じてほしいという想いがあります。

【今後の展望について教えてください】

お寺の支援を通じて社会問題の解決を引き続き行っていきたいです。

お寺はコンビニの数よりも圧倒的に多く、自治体に近い役割を担える公共性のある存在で、世田谷区だけで120ほどのお寺が存在しています。

社会の変革には3%という数字が1つのカギになります。

まずは自身の属する世田谷区のお寺に対してコミュニケーションを図り、それを全国に展開できたらと考えております。そうすることで社会の心のよりどころであり、コミュニティーであるお寺の存在をもっと必要とされるものに変えていきたいです。

目標としてはまずは世田谷区で5箇所のお寺でこのサービスを展開していきたいと考えています。

 

【区民ニュースをご覧の方へコメントをお願いします。】

私事ですが1歳になる娘がいます。自身もそうだった様に外に出かけるときに、お寺にも気軽に遊びに連れて行けたらとなと思うことがあります。お寺という場所が、気軽に子どもたちが集まれるような場所となり、社会全体のコミュニティー的な役割へと変わっていくことで、現代の殺伐とした社会が少しでも良い方向に変わっていく一助になれたらと思っています。

そんな世界を作っていくことに、共感頂ける方は是非応援して頂ければと思います。

そしてご覧の皆さんも地元のお寺に行ってみてください。もしも、こんな良いお寺あるよ!とご縁のいただける方は、ぜひお気軽にお声かけいただけると嬉しいです。

お問い合わせ

株式会社TERA Tech Inc.(読み:カブシキカイシャ テラテクインク)

東京都世田谷区

HP:https://www.corp.tt-inc.jp/

お問い合わせ連絡先:contact@tt-inc.jp

*お電話相談の際、『世田谷区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。