社名:株式会社デリスラボ
設立:2024年11月
住所:江東区東雲
事業:洋菓子製造販売
今回取材に伺ったのは、江東区東雲にオープンしたこだわりのスイーツ専門店「デリススイーツラボ」の藤田さんです。20年以上北海道の富良野で続けてきた洋菓子店を事業譲渡し、齢60にして東京に新しいコンセプトのお店を立ち上げ。藤田さんのスイーツにかける思いを教えていただきました。
経歴について
私は最初、神戸のフランス料理店でホールスタッフとして働いていました。そのとき「最後のデザートがお客様の印象を決める」ということを強く感じ、デザートの世界に興味を持つようになりました。
その後、東京で洋菓子店やレストランに勤務して技術を磨くうちに、レシピの管理をもっと効率化したいと考えるようになり、データベースのことを学びました。のめり込んだ結果、一年ほどシステムの会社で働いていたこともあり、このとき学んだことが店舗経営でのレジシステムや顧客管理の仕組み作りに繋がっています。
そして2001年、乳製品の豊かな北海道・富良野に移住し、自分の納得いく材料で全国にお菓子を届けたいと思い「菓子工房フラノデリス」を立ち上げました。地元のお客様に愛されながら、全国発送を軸に展開することをコンセプトにしていました。3年後には広い土地に移転し、より多くのお客様に喜んでいただける体制を整えることができました。
昨年60歳を迎えたタイミングで事業を譲渡し、もう一度小さなお店で自分らしくお菓子づくりをしたいと思い、東京に戻ってきました。
今回の店舗のコンセプトについて
「デリススイーツラボ」は、一人で無理なく運営できることを前提に作りました。
富良野時代は店舗が大きくなり、お客様と直接話す時間が取りづらくなってしまったため、もう一度「お客様と顔を合わせてお菓子を届ける」原点に立ち返ろうと思いました。
厨房の作業台をそのままカウンターとして活用し、調理のライブ感をお客様に楽しんでいただける空間にしています。

また、お客様と会話する時間を増やせるように、キャッシュレスのみのセルフレジにして、釣り銭管理やレジ締めの負担をなくす工夫をしています。

お店は火曜、水曜、木曜が休業で、営業日も12時〜17時までしかオープンしていません。あえて休みを多く、営業時間を短くする代わりに、自動販売機を設置して24時間スイーツを購入できる仕組みを作っています。富良野で自動販売機を置いていた際に、ケーキ屋さんに入りづらい男性の方や朝早くにお使いものとして使いたい方が買ってくれていたのが面白いなと思っていたので、今回はお店と併用する形にしてみました。

メニューは富良野時代のレシピをさらにブラッシュアップしています。定番のプリンやチーズケーキも素材や仕上げをより高め、少ない品数ながら一つひとつにこだわりを詰め込んでいます。
地元の人がリピーターになり、よく来てくれる感じのお店にしていきたいです。

大切にしていること
何より大切にしているのは「ちゃんと作る」という姿勢です。
レシピを安易に簡略化したり、既製品に頼ったりせず、正しい工程で誠実に仕上げる。
素材についても、自分が納得できるものだけを選び、品質を落とさないことを大事にしています。
その一方で、店舗運営においては経費を適正に管理することも意識しています。
原材料費を削って味や品質を下げるのではなく、他の経費を工夫して抑えることで、良い素材を使い続けられる仕組みを作るようにしています。そのおかげで無借金経営を続け、良い素材と誠実な商品づくりを守ることができたと感じています。
お客様に対して「この人が作るなら安心」と思っていただけるよう、来店してくださる方を裏切らない気持ちを常に大切にしています。
これからのビジョン
これからも、お客様の声を聴きながら新しい挑戦を続けたいと考えています。
予約や受け取りの仕組みをさらに便利にしたり、遠方のお客様にもオンラインで届けられる方法を整えたりといった取り組みも視野に入れています。
お客様と向き合いながら、美味しいお菓子を作り続けることを変わらず大切にしていきます。
インタビュー後記
今年で61歳を迎えられる藤田さんですが、新しいことにどんどん挑戦されている姿が印象的でした。レジシステムを自分で開発してしまったり、ケーキの自動販売機を使って24時間販売を可能にしたりと創意工夫がすごいです。また、経営者としての目線が定まっており、ケーキにお金と労力をかけられるように無駄を省くことや、売上に執着せずに済むように無借金経営を貫いていることなどが勉強になりました。カウンターで藤田さんとお話ししながら、美味しいスイーツに舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか?
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