
1981年、中国杭州生まれ。大学卒業後、エンジニアとして日系企業の中国法人へ就職。2007年に来日し、2008年から黎明期のiOS開発に携わる。複数の日系企業を経て、2018年に上場企業のCTOに就任。2022年に株式会社Dashcomb (ダッシュコム)を創業。
エンジニアとして現場から経営を経験
この仕事を始められたきっかけを教えてください。
父の仕事の関係で、80年代半ばまではチベットで過ごしました。そこで小学4年生の時に「AppleⅡ」と出逢い、九九表のプログラムを書いたことが、今の仕事の原点です。パソコンに無限の可能性を感じましたね。そこからは、理系の高校・大学を経て、IT関連の道へ一直線でした。最初の運命の分かれ道は、2002年の就職。エンジニアの就職先として、外資系の企業と、日系のNTTの関連会社のどちらでも選べる状況になりました。中国では携帯電話の画面がまだモノクロだった時代、NTTドコモのケータイはカラーでカメラ付き、さらには世界初の携帯電話IP接続サービスである「iモード」が搭載されており、まさに時代の最先端。少しだけ外資系企業よりも給料が良かったこともあり、日系の企業へ就職しました。初めて日本を訪れたのは、23歳のときの1週間の東京出張。どこを見渡しても中国より日本の方が上だと感じましたね。「日本で働きたい!」と考えるようになったのは、その時からです。チャンスを求めて、中国にあるNECの関連会社へ転職したものの、なかなか日本への接点ができず、物足りない日々が続きました。ついに「自ら一歩踏み出すしかない!」と決意。26歳のときに来日し、日本の派遣会社へ登録しました。小松電機産業のシステム子会社で働く傍ら、翌年発売されたiPhone3Gに衝撃を受けて、仲間とともにiPhone用のアプリ開発のサービスをスタート。ただ、これはちょっと時代を先取りしすぎましたね。エンジニア仲間の中では盛り上がりましたが、残念ながら世間でヒットすることはありませんでした。29歳からは、国内のデジタルマーケティング事業やインターネット関連サービスを行う会社へ転職。ここでは、スタートアップや起業家の思考や行動について学ぶことができました。その後、メディア事業やeコマース事業を行うC Channel株式会社のCTO(最高技術責任者)に就任。その後、エンジニアとして、現場から経営層まで、一通りを経験したうえで起業を決意。2022年に、『株式会社Dashcomb』を創業しました。
仕事の特徴はどのような点にありますか?
いくつか事業を行っていますが、今力を入れているのは、官公庁・自治体・公共団体向けの、補助金運営システムソリューション『jヘルパー』です。デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムである「Jグランツ」は、2025年度以降の補助金運営では利用が必須となります。しかし、このシステムに知見のあるシステムベンダーはまだまだ少なく、補助金運営を行う中で、自前の業務管理システムとの繋ぎ込みがうまくいかないケースが見受けられます。その課題を解決できるのが『jヘルパー』です。補助金運営システムの構築経験を持つエンジニアが、要件定義・システム構築・テストを行います。『jヘルパー』の主な機能は、申請データの受付・審査・事業者通知です。進捗管理システムは、多くの官公庁で導入実績のある「キントーン」を活用して構築します。「Jグランツ」への情報連携が半自動になる機能をご提供することで、煩雑かつミスを誘発する手作業から解放されます。また、Jグランツとキントーンを熟知したエンジニアがいることで、システム構築が短期間でできることも特徴です。納期についてもお気軽にご相談ください。
経験に裏付けられたシステムの最適解
どんなお客さまが多いですか?
補助金の運営を委託された事業者からのご相談が多いですね。官公庁が翌年度の予算を決定し、各補助金の運営会社を決める入札前となる1月2月は、特に多くのご連絡をいただきます。初めて補助金の運営委託業務に入札する事業者からは「システム構築に、どのくらいの予算と期間が必要なの?」といった、導入に関するご相談。これまで補助金の運営事務局を担当していた事業者からは「今使っている進捗管理を見直したい」といった、リプレースに関するご相談が多いですね。日本には補助金が数千件あり、種類が多岐にわたるうえ、頻繁に内容が変わったり、新たに新設されたりします。そうした大小さまざまな違いのある補助金のシステム構築に、私の経験とスキルが役に立っています。これまでに80以上のシステム構築を経験してきました。複数の会社で経験を積んだことで、特定の業界にとどまらず、さまざまな業界で必要とされるシステムの勘所が違うことも十分理解しました。今では、課題に対して最適なシステム構築の道筋を見つけることができます。
仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。
“将来後悔しないように決断する”ことを、自らの行動基準としています。正直、41歳での起業は今考えると遅すぎました。しかし、あのタイミングで決断しなければ、将来きっと後悔したでしょう。仕事においては、少し大げさかもしれませんが“日本経済に貢献する”ことを心がけています。振り返ると、私のキャリアのほとんどが日系企業で占められています。私を成長させてくれたことに、感謝しています。そして、補助金運営システムは、日本の経済に直結する事業です。補助金運営システムの構築は、審査がスムーズに進み、税金を最適な事業に投資することを支援する、大変意義のある仕事です。内容によっては、落札後1週間ほどで導入できる場合もあります。これからも日本企業の成長を後押しすべく全力を尽くします。いつでもお気軽にご相談ください。
インタビュー後記
国や地方自治体からの補助金は、中小企業にとって生命線の一つ。申請・審査がスムーズであればあるほど、日本経済を後押しすることは間違いない。そんな大切なシステムを、現場から経営層まで幅広く経験してきたエンジニアに任せられるのは安心だ。
お問い合わせ
名前:株式会社Dashcomb
住所:東京都新宿区百人町3-1-4-1306
電話:080-3915-1125
HP:https://dashcomb.com/jhelper
*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。