まちの仕事人インタビュー
楽しく、効率的に体操を通して成長させる
池上スポーツクラブ(東南スポーツ株式会社) 代表取締役 渡邊 滋夫 (わたなべ しげお) さん インタビュー

1964年、大田区生まれ。小学6年生のとき池上スポーツクラブで体操を始め、高校3年生のときにインターハイ団体優勝、国体団体2位の成績を残す。体操で推薦を受けて大学に進学し、卒業後に池上スポーツクラブへ就職。2014年に代表取締役へ就任。

日本一歴史の長い民間スポーツクラブ

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

小学6年生のときに体操を習いたくなり、池上スポーツクラブへ入ったことが、すべてのきっかけですね。その後は、中学3年生まで池上で習い、高校はインターハイ常連の体操の名門校へ進学。上の先輩たちがインターハイに優勝していたこともあり、自分が3年生の時には、かなりのプレッシャーを感じていました。後にオリンピックに出場した仲間と一緒に、何とかインターハイでは団体優勝し、国体でも団体2位の成績を収めましたが、“勝つため”の練習が続いたことで、正直体操が嫌になってしまっていましたね。それでも体操で大学の推薦をいただきました。大学に行けば「いつか、また体操に打ち込みたくなる」と思いながらあっという間に4年間が過ぎ、就職を考えなといけない時期に。監督から「池上スポーツクラブの求人があったぞ!」と声をかけられたときも、「どうせ落ちるだろうけど、卒業生として行かない訳には・・・」程度の考えで、面接に臨みました。結果は思いがけず“合格”。元々、子どもは好きだったため、体操を通して子どもたちの喜ぶ姿を見るうちに、「自分も中学生のときの体操は楽しかったな」と振り返り、体操が楽しいスポーツだったことを再確認。ここから一気にスイッチが入って、体操の指導に打ち込むことになりました。当時は周りもそんな人ばかりだったので、仕事終わりに一緒にお酒を飲みながら、体操の指導について熱い意見交換をしていたものです。27歳のときに、会社の体制がいろいろと変わる中、経営に加わっていくことに。ここからは、楽しさだけでなく、売上などの数字の責任も負うことになるため、あえて厳しくしていた時期になってきます。この時期に指導を受けた子どもには、“怖い先生”というイメージがあるかもしれませんね。50歳のときに代表取締役にはなりましたが、子どもに体操を教えつつ、そこで気づきを得ることで、結果的に子どもから教わることでここまでやってこられました


仕事の特徴はどのような点にありますか?

「楽しく、効率的に、上手くなる」をモットーに、子どもから大人まで、長く続けられる健康な体作りを主体として様々な競技を指導する、日本一歴史の長い民間スポーツクラブです。1965年に、東京オリンピックの体操男子団体で金メダルを獲った小野喬先生と、同じく銅メダルを獲った小野清子先生によって設立され、何人ものオリンピック出場選手を輩出しています。指導方法は他とは全然違いますね。こんなに楽しく上達させるところはないと思いますよ。指導のテクニックとしては、どんな競技も“なるべく簡単なイメージで伝える”指導をしています。例えば、跳び箱の開脚跳びであれば「➊両足揃えてジャンプができる」「➋手を支点にして、体を前に移動する」の2つだけ。子どもに難しいことを言ってもかえって混乱させてしまうだけなので、なるべくシンプルに伝えるよう指導していますね。子どもの持つ可能性には、いつも驚かされます。指導する側から見て「この子は、このくらいまでしか出来ないだろう」と考えているラインを、どんどん超えていきますから。練習を見ていると、子どもたちが体操を通して、自信をつけていくのが分かります。意欲が出てくると、誰もが能動的で積極的になりパフォーマンスが向上していきます。その変化を見ることができるのは、本当に嬉しいです

技術的には上手く、内面的には成長を

どんなお客さまが多いですか?

幼児から社会人まで、約1000人の方にご利用いただいています。最近の傾向としては、幼児は若干減っていますが、逆に小学生は増えています。親御さんに事情を伺うと、共働きが増えたことで、幼児の段階ではなるべく駅や自宅の近くで体操を学ばせて、小学生になったら池上へ行くという考えの方が増えているようですね。コースは1歳半~6歳児を対象とした「幼児(体操」」、小学生を対象とした「児童(体操・鉄棒)」などの基礎技術の習得を目的としたものから、過去にオリンピック選手を輩出している「体操競技」まで、幅広く募集しています。最近は「器械体操」を学びに来る小~中学生も増えています。将来の体や脳や神経の成長の基礎は、0歳~8歳時点で決まるとも言われています。幼児のうちから体を動かす経験を積むことで、ゴールデンエイジと呼ばれる、子どもの運動能力や技術が飛躍的に伸びる9~16歳に、持っていた力が開花していきます。


仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“楽しい体操”を伝えられるよう、心掛けています。人はできるようになると楽しくなり、楽しくなると、もっとやりたいと考えるようになります。子どもたちが、それぞれ努力することで楽しい世界を見つけられると嬉しいですね。指導するスタッフには、子どもたちが“技術的に上手くなるように、内面的にも成長するように”努力してもらっています。私も60歳になり、少し前から後継者を育てることを意識するようになりました。常に全力で取り組み、子どもたちのお手本になるようなスタッフが増えてくれば、スポーツクラブのレベルも、どんどん上がっていくと考えています。「運動が苦手」な子どもや「自信がない」子どもを抱える親御さん、是非一度、池上スポーツクラブへお越しください。体操を通して、気持ちをガラッと変えてみせます。ちょっとしたことができるようになるだけで、子どもは生き生きとしてくるものですよ。ちょっとヤンチャで一筋縄ではいかない子どももウェルカム。むしろ最近は、ヤンチャな子どもがずいぶん減ってきてしまい、少し寂しいくらいです。私は体操で人生が変わりました。池上スポーツクラブが、みなさんやお子さまの人生に前向きな影響を与えられるよう、これからも頑張ります


インタビュー後記

渡邊さんはとても楽しそう。経営や指導の充実感から来るものかと聞くと、むしろ日々気づきが多く、子どもたちから学んでいると話す。子どもの成長を見守りつつ、一緒に成長していくから、一緒に頑張れる。とはいえ、大人にも背中を見せる必要があるため人よりも頑張る。日本一歴史の長いスポーツクラブは、体操を楽しみながら努力している人に支えられていた

お問い合わせ

名前:池上スポーツクラブ(東南スポーツ株式会社)

住所:東京都大田区池上1-32-12朗子会館4F

電話:03-5700-3151

公式HP:https://ikegamisc.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください