まちの仕事人インタビュー
共有不動産に関する紛争を全力でサポート
虎ノ門パートナーズ法律事務所 弁護士 吉藤 真一郎 (よしふじ しんいちろう) さん インタビュー

1981年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、旧司法試験に合格し、2007年に弁護士登録。相続関係を扱う法律事務所を経て、2011年に虎ノ門パートナーズ法律事務所へ入所。東京広島県人会総務部長。

共有不動産の問題を解決

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

中学2年生の時に、テレビ番組の中で流れた「相続トラブルを弁護士が解決した!」という一連の映像を見て、この仕事を目指すようになりました。故人が亡くなっただけでも十分悲しい状況なのに、そこからさらに遺族同士が遺産相続について争う様子を見て、“こんなに悲しいことはない”と思いました。その悲劇に救いの手を差し伸べられる仕事にやりがいを感じ、その場で母親に「弁護士になる!!」と決意表明。大学は法学部を選択し、そこからは一心不乱に弁護士になるべく勉強を続けました。大学卒業後、旧司法試験に合格、司法修習を経て、2007年に弁護士登録となりました。その後は、この仕事を選ぶきっかけとなった“相続”を扱う法律事務所へ入所。2011年には現在の『虎ノ門パートナーズ法律事務所』へ入所しました。相続トラブルの紛争解決により、依頼人から感謝されると、子どもの頃にテレビで見た弁護士のようになれたと感じ、嬉しく思いますね。一方、親族間の争いでは、法律や正論だけではなく、個々人の想いを受け止めつつ、落としどころを探る必要があります。想像以上に泥臭く、複雑に絡み合った糸を、解きほぐしていくような一筋縄ではいかないことも多々ありますね。それでも、そんな人間臭い仕事に、やりがいを感じて日々取り組んでいます。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

事務所としては、相続関係全般を扱っていますが、私の方では特に『共有不動産に関する紛争』を数多く扱っています。これは、相続により受け取った土地を、兄弟などで共有していることで発生する問題を解決するものです。例えば「半分ずつ権利を相続した土地の売却について、兄弟で意見がまとまらない」「妹から自分の持分の土地を、買い取って欲しいと言われた」「土地は三兄弟が3分の1ずつ相続したものの、建物は長男だけが使用しているため、次男・三男としては、長男に土地を買い取ってもらいたい」などのお悩みが、ご相談のきっかけですね。土地については、相続人が亡くなることで、次の世代に権利が移っていくため、世代が変わるたびに関係者が増えていき、状況は複雑化して解決が困難になっていきます。過去には、1つの土地で約20人の関係者とやり取りしたことがあります。幸い、何とかその件は解決に至りましたが、とても多くの時間がかかりました。こうした問題を抱えている共有物は、共有人同士の話し合いが進まないことから、放置されたままとなるため、街の一等地が更地で残っていることも少なくありません。社会的にも機会損失となっており、悩ましい限りです。


方針書により見通しを提示

どんなお客さまが多いですか?

50代~70代からの「自分で話し合っても上手くいかなかったから、解決してほしい」というご相談が多いですね。島根県にお住いの方から連絡をいただくなど、全国の方から相談が届いています。弊所では、医療機関が行っているインフォームド・コンセントの考え方を、業務に導入しています。これは「依頼人が、弁護士の行う行為や方針について、よく説明を受けて十分に理解したうえで、依頼人が自らの意志に基づいて、弁護士の考える方針に合意する」というものです。そのため、法律相談でお話を聞いた後、正式にご依頼頂く前に必ず“方針書”をお渡しさせていただきます。方針書には、お聞きした状況を踏まえて、考えられるリスク、考えられる最良の落としどころ、法的に見て妥当な落としどころ、訴訟になった場合落としどころなどの見通しがを書いています。方針書を時間をかけて検討していただき、家族などとじっくり相談してから決めてもらっております。また、依頼人の中には「今のところは大きな問題になっていないけれど、自分の代で解決しておきたい」という方も少なくありません。自分の子どもには大変な思いをさせたくないという親心ですね。他にも、他の弁護士に依頼している共有物の分割方針について納得いかない部分があるためセカンドオピニオン的なアドバイスが欲しいというご相談もあります。共有物を専門的に扱う弁護士はまだまだ少なく、専門家の視点によるチェックを求められる機会は、年々増えていますね。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“一般的な法律論ではなく経験に基づいた専門性の高いアドバイスをすること”これにより“共有物で不安を抱えている人を、安心させる”ことを、心掛けています。依頼人の多くは、親族間での話し合いに出口が見えず、五里霧中の状態でご相談にいらっしゃいます。時には、依頼人が想像していたものではないかもしれませんが、共有物に専門性を持っている弁護士として、円満に解決できるパターンから、裁判から判決に至るパターンまで、落としどころの振り幅についてお伝えしています。弊所では、グループ内に不動産鑑定士が所属していることから、土地の適正価格を速やかに導き出すことができることも強みの一つです。また、専門性は座学だけでは身に付きません。共有不動産の紛争解決という経験を、いかに多く積んで、いかに経験に基づいた専門性の高いアドバイスをすることができるかに、こだわっています。「前の弁護士は上手くいかなかったけれど、吉藤さんはキチンと解決してくれた」と言われたときは、とても嬉しかったですね。弊所調べですが、当方で扱った共有物分割に関する紛争のうち、87.5%は裁判前又は裁判中の「和解」で解決しています。冷静に話し合うことが大切ですね。こちらも弊所調べですが、ご依頼いただいた紛争解決のうち半数以上が1年以内に解決しています(いずれもインタビュー当時)。共有物でモヤモヤを抱えている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。


インタビュー後記

相続により所有者不明となった土地は、2016年時点で九州本島よりも大きく、410万ヘクタールに上る。法改正により、相続に伴う不動産登記が義務付けされたものの、共有人が複数いるうちは、所有者にたどり着けなくなるリスクも高いままだ。共有物が抱えるリスクが、家族に降りかかる前に、吉藤弁護士へ相談して欲しい。

お問い合わせ

名前:虎ノ門パートナーズ法律事務所

住所:東京都港区虎ノ門1-21-19東急虎ノ門ビル2F

電話:03-3580-1951

公式HP:https://www.toranomon.law

共有物分割請求HP:https://www.tp-kyouyufudousan.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。