
1965年、宮城県生まれ。神奈川大学経済学部を卒業後、大手会計事務所にて、相続税や不動産関連の税務を中心に、相続税対策業務や相続税申告業務を精力的に手がける。2005年『アミエル税理士法人』を設立。趣味は茶道(小笠原流煎茶道教授)。
経営や相続に関する拠り所を作りたい

この仕事を始められたきっかけを教えてください。
大学に入ったころに、税理士資格を勉強していた先輩の影響を受けて「税理士の資格を取ると、上場企業の社長になれる!」と考えるようになったことがきっかけです。当時、同級生で税理士を志した人はほとんどいませんでしたが、私は資格取得のための専門学校などでも学び、大学卒業後6年で税理士試験に合格しました。税理士登録の後、大手会計事務所へ入所したのは、ちょうどバブルの終わりかけの頃でしたね。経営が立ち行かなくなった法人の、不動産の処分に伴う譲渡所得の計算や、債務整理など“バブルの後始末”のような仕事が多かったです。その後も、バブルの後遺症は残り、借金苦で自殺や無理心中をされた方の、相続相談などに多く関わりました。当時は、マイナスの財産(負債)を相続するケースも多く、相続人同士のケンカを防ぎ、遺族が仲良くできるよう、細心の注意を払って仕事を進めていましたね。それでも、時代の流れには抗えず、私が心の底から支えたいと考えていた経営者の一人も、無理心中によって亡くなられました。「もう、経営者の苦しむ姿は見たくない!」「どんな心配事も、ここに来れば解決できる!」そんな拠り所を作りたいと考え、2005年に新横浜で『アミエル税理士法人』を設立しました。その約10年後、自由が丘へ東京オフィスを構えました。
仕事の特徴はどのような点にありますか?
お客さまの「トータルサポート」を目指し、相続から中小企業の税務や会計支援など、幅広いサービスを展開しています。中でも“相続”は、相続対応31年の経験を活かし、弁護士を始めとした各専門家と協力し、『生前の対策』から『相続税申告・手続き』までワンストップサービスをご提供しています。生前対策の中の、認知症対策として「任意後見(成年後見)」を引き受けていることは、とてもユニークと言われがちですね。成年後見制度で対応しきれない財産管理などについては「家族信託」を活用することで、亡くなった方の願いを叶えるサポートをしています。自由が丘など、23区内に戸建ての持ち家を持っていると、それだけで相続税が発生しがちです。「ウチなんて、大したことないから」と言う方も、話を聞くと生前の対策が効果的というケースは少なくありません。また、自らの死と絡む相続は、なかなか前向きに考えられないという方もいらっしゃいます。少しでもリラックスしてお話を伺えるよう、事務所に和風カフェ『茶房 牡丹』を併設しています。カフェの営業時間内であれば、あんみつ、ぜんざい、静岡の抹茶や、京都の玉露などをご提供しています。
生前対策から、相続手続き、二次相続対策まで

どんなお客さまが多いですか?
「相続が発生したため、手続きなどを教えて欲しい」というご相談が半数以上を占めています。ご連絡いただくきっかけは、銀行からのご紹介や、ホームページを見てご連絡いただく方が多いですね。最近は、事務所併設のカフェを利用された方から、その場でご相談いただく機会も増えてきました。相続税のお手続きに関するサポートはもちろん、その後の二次相続対策についても合わせてお話しています。相続のご相談は全社で年1,500件以上、これまでに対応した案件も2,000件を超えました。『生前の対策』についてもご相談が増えています。特に80代の女性を中心とした、おひとりさまの認知症対策は多いですね。例え今は元気で暮らしていても、将来的に、寝たきりになる心配や、施設に入った後の自宅の処分や、自身が亡くなった後の財産の寄付の希望がある場合などは、後見制度を上手く活用して、なるべく本人の希望が叶うようサポートしています。家族信託や後見制度についても、数百件の取り扱いがあるため、かなりのノウハウを持っていますよ。
仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。
“お客さまに寄り添う”ことに尽きますね。相続手続きでは、遺族ではなく亡くなられた方の想いや願いに意識を集中して対応しています。例えば、遺族が複数人いる場合で誰か一人だけに肩入れしてしまうと、遺産分割協議において余計な揉め事が起こりがちです。それらを未然に防ぐためにも、必ず「亡くなった方が、何を望んでいたか」という事を考えるようにしています。31年の経験の中には、8年もの間、遺産分割で揉め続け、最高裁判所で決着をつけたご家族の案件もありました。生前の準備で回避できる揉め事は、たくさんあります。準備に早すぎるということはありません。何か少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。税理士の敷居が高く感じる方は、まずはカフェにお越しください。多くの案件を見てきたからこそ、これから関わる方には、なるべく穏やかに、自らの希望を叶えてもらいたいですね。安心と安らぎをお届けできるよう、私が全力でサポートします。
インタビュー後記
多死社会に突入している日本において、相続問題は増加の一途をたどる。さらに認知症患者増加の影響も加わり、相続対策の難易度は益々上がっている。そのため、生前から死後の対策まで、ワンストップで行っている留目税理士ほど心強い人はいない。“最終的な決着をつける”という意味を持つ「とどめ」という言葉が、苗字になっていることは、決して偶然ではない。
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