【たけのこ】
春の恵みといえばたけのこ。
3月から4月に出回る孟宗竹(もうそうちく)です。
やわらかく、ほのかな甘みと土の香りをまとったたけのこは、まさにこの季節だけの贅沢。
丁寧にアク抜きし、出汁を含ませた一品は、素材の持つ力を静かに教えてくれます。

「春の味覚」と思われがちなたけのこですが、俳句の世界では「初夏」の季語。
その理由は、孟宗竹(もうそうちく)の旬が春であるのに対し、真竹(まだけ)や淡竹(はちく)などは5月〜6月に旬を迎えるから。
特に日本の里山で見られる在来種の筍は、春を過ぎてから出てくるものが多く、古くから“初夏の訪れ”として親しまれてきました。

初夏に旬を迎える真竹(まだけ)は、すっきりとした味わいとシャキシャキした食感が魅力。ほんのりとしたえぐみも心地よく、炭火で焼けば、香ばしさと甘みが際立ちます。

一方、淡竹(はちく)は繊細で柔らかく、すじが少ないのが特長。やさしい口当たりと上品な風味がまた春のやわらかや雰囲気とは違うおいしさ。
梅雨の気配が近づく頃、静かに旬を迎えるこのたけのこたちは、初夏の風情をそっと食卓に届けてくれます。

この時季のたけのこは、春の名残と夏の気配を一皿に感じられる、季節の移ろいを味わう贅沢でもあります。

春から夏へのバトンタッチ。
たけのこは本当に飽きのこない魅力的な食材です。

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