2人に1人ががんになると言われる時代です。

がんで死亡する人も増加しており、がん死亡を臓器別でみると1位は肺がん(男性1位、女性2位)です(1)

日本人が生涯のうちに肺癌になる割合は、2005年の時点では男で7.4%,女で3.1%と発表されました(2)

下のグラフでお示ししておりますように、肺がんの罹患数は2005年以降も男女とも年々増加しています(1.3)


そして、年齢階層別の肺がん罹患率は60歳以降になると急激に増加します(1.3)


肺がんの5年生存率は診断時の病期によって表のように異なります(4)

早期であれば根治が可能ですので、早期発見・早期治療がとても大切です。


   表1.肺がん5年生存率 (%)


肺がんと聞くとたばこを吸う人にだけ発生すると思われがちです。確かに喫煙者の肺がん罹患リスクは非喫煙者の4~20倍と報告されています。50歳以上で、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じた数値が400以上の方は特に注意が必要です(例:1日40本、20年喫煙ですと40 x 20で800)。

しかし下の円グラフでお示ししておりますように、非喫煙者にも肺がんは発生しており、女性に多いので注意が必要です。非喫煙者において、女性の肺がん罹患率は男性の2倍とも報告されています(5)

 

肺がん患者の喫煙者割合(3)



従って、喫煙・非喫煙によらず、年に1回は肺がん健診を受けることをおすすめいたします。胸部X線(レントゲン)検査では早期の肺がん病変が検出できないことも多く、CT検査の肺がん検出率はX線検査の約10倍高いとも報告されますので、CT検査による健診が望まれます。近年導入されたCT装置であれば被爆低減技術も進んでおり、普通の体格の方の場合は1~2mSv以下という、従来のCTの5分の1程度の低線量で検査を行うことができます(6)

 

<参考>

(1) 国立がん研究センターがん情報サービス https://ganjoho.jp/public/index.html

(2) 厚生の指標,2005:52(6):21-6

(3) おしえて肺がんのコト https://oshiete-gan.jp/lung/about/

(4) David E Midthun. Overview of the initial treatment and prognosis of lung cancer. UpToDate より引用 (Accessed on July14, 2022).

(5) J Thorac Oncol. 2007 25(5) 472-478

(6) 環境庁被ばく線量早見表 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-05-12.html



東京都済生会中央病院  肺がんセンター

副センター長  髙橋左枝子



【本件に関するお問い合わせ先】

社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会

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TEL:03-3451-8086

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