まちの仕事人インタビュー
日本酒文化の発信で日本を豊かに
ブランドディレクター 永金 佐知香 (ながかね さちか) さん インタビュー

1994年生まれ。広島県出身。大学卒業後、アメリカに渡り、ニューヨークにて語学とファッションを学ぶ。帰国後、アパレル商社に入社、1年後に独立し、オウンドメディア運営、イベント企画、コミュニティ運営などを経験し、現在に至る。東京と京都を拠点に活動中。趣味は美術鑑賞・ヨガ・旅。

特別な日を大切な人と贅沢に楽しむ日本酒

独立して、今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

現在、ブランドディレクターとして、『TAKANOME(鷹ノ目)』という高級日本酒のブランディングに関わっています。兵庫県の大学を卒業し、ニューヨークで1年間の勉強期間を経て、日本に戻って就職したのですが、働き始めてすぐに、海外と比べて「キャリアや生き方に多様性がない!!」と感じました。アメリカの若者たちは、自分のやりたいことをどう実現するか、ということに邁進していました。一方、日本の同級生たちは、会社という組織に溶け込もうとするあまり、自分を押し殺しながら働いている人も多く、その様子には強い違和感がありました。ご存じの通り、日本の経済はここしばらくは、大きく成長していません。また、女性の社会的な活躍も、世界と比べるとまだまだ物足りない状況です。こうした閉塞感を、自分の力で打ち破り、アメリカの若者のように熱中して仕事に取り組みたいと考えたことが、独立したきっかけです。その後、日本の歴史を学ぶ中で、「明治維新のタイミングで、大量の西洋文化を取り入れたことにより、多くの日本文化が脇に追いやられてしまったのでは?」と、気づきます。そこで、日本が昔から持つ、本当に素晴らしいモノづくりの精神や哲学を、世界に発信して、文化で日本を豊かにしたいと想うようになりました。ちょうどその頃、日本酒のベンチャー企業を立ち上げた人と出逢いがあり、現在のプロジェクトに関わることになりました。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

ブランドディレクターは、ブランディングのために、「ストーリー」や「背景」を考え、InstagramなどのSNSへの投稿や、新作のお酒のクリエイティブディレクションなどをすることが主な仕事です。仕事の一部を外注する際の、人のアサインや、クリエイティブチームのマネジメントなどもやっています。その外にも、過去の経験を活かして、「日本酒+お肉」などのリアルイベントの企画や、『TAKANOMEマガジン』といった、定期的に日本文化の発信に関わっています。日本酒を、お酒好きが楽しむものというだけでなく、特別な人と大切な時間を贅沢に楽しむためのものとして広げていきたいですね。

数量限定で販売され、5分で完売する日本酒

「TAKANOME」は、どんなお客さまに購入いただくことが多いですか?

高級日本酒「TAKANOME」は、毎週水曜日の夜9時からインターネットでのみ販売しており、その本数にも限りがあります。一本一本、職人の手で細かい工程を重ねて作っているため、一度に大量にご用意することができないのです。購入本数に制限をかけているのですが、中には味を気に入っていただき、取引先に配るために、毎週注文される方もいらっしゃいます。リピーターの方が増えたことで、今では販売開始から5分程度で完売してしまうほど、ありがたいことにご好評を頂いております。また最近では、結婚の挨拶のため、パートナーのご両親へ挨拶に行く際の手土産となり、「とても美味しいと喜んでもらいました」と写真付きでSNSへ投稿していただけるなど、ギフトとして活用されることも増えているようです。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

日本文化の発信の担い手としての意識を、高く持つようにしています。また、ブランドディレクターとして、新商品の企画に関わる際には、「どう売っていくか」ではなく、「なぜこの商品を作るのか」という本質の部分から関係者の考えをまとめていくように注力しています。売り方は時代によって変わっていきます。それよりも、フランスのワインのように、日本酒を楽しむ文化を作ることを考え、長期的な目線での意思決定を促すようにしています。まだ、日本酒のブランディングに関わって3年ほどですが、思い入れは強くなる一方です。いずれ日本のどこかに酒蔵を持ち、日本酒を楽しむ文化の発信源として、自分のブランドの日本酒を販売していきたいと考えています。


インタビュー後記

永金さんは、とても20代とは思えないほどの「思考の量」と「視野の広さ」を持つブランドディレクターだ。一方で20代の持つ、若さを伴う勢いも持ち合わせている。幕末から明治維新にかけて活躍した志士のように、志を前面に押し出したスタイルで、これからも日本酒文化を社会に広め、日本を豊かにしてくれる存在であることは間違いない。こんな想いを持つ人にディレクションしてもらえるブランドは、きっと幸せだ。

お問い合わせ

ブランドディレクター  永金  佐知香

Instagram:https://www.instagram.com/satikaaaa/

TAKANOME HP:https://takanome-sake.com/

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。