善人承継 リレーインタビュー
“大丈夫”を構造でつくる
株式会社re・finance 代表取締役 原田 祐介 (はらだ ゆうすけ) さん インタビュー

「人と人をつなぐ」名前の通りに

原田祐介さんは、愛知県生まれ、愛知県育ち。両親も愛知、会社を立ち上げたのも愛知という、生粋の地元人だ。穏やかな口調で話し始めたその人は、どこか飾らず、それでいて強い芯を隠し持っているように見えた。

「祐介」の由来を尋ねると、「人と人とをつなげるイメージが強いらしい」と笑う。詳しくは覚えていないと言いながらも、その名前は不思議なほど彼の歩みに重なっている。今の原田さんの仕事は、生命保険の営業マンに向けて“保険の売り方”を教えること。商品そのものではなく、伝え方、考え方、価値の届け方を磨く仕事だ。

けれど、その道は最初から決まっていたわけではない。むしろ遠回りの連続だった。高校生の頃、原田さんは「人が生活する上で本当に必要なのは何か」を真面目に考えていた。薬は病気になった時に飲むものだが、食品は毎日口にするもの。ならば、食を整えることこそ人を健康にし、日本を良くすることにつながるのではないか。そんな思いから農学部へ進み、卒業後は味噌・醤油会社に就職した。

見た目も成績も“できている自分”でありたかった幼少期。かっこつけていたからこそ、友人関係は広く浅くではなく、深く狭く。そんな少年時代を過ごした原田さんは、早くから「自分はどう生きるのか」を人一倍考えていたのかもしれない。


氏名:原田祐介(はらだ・ゆうすけ)

出身:愛知県

現在の活動:株式会社re・finance代表取締役  生命保険営業マン向けに、保険の売り方・価値の届け方を教える事業を展開

経歴:農学部卒業後、味噌・醤油会社に就職。その後、保険業界へ入り募集人として7年間活動。現在は独立し、情報・ノウハウを提供する立場として活躍

好きなこと:登山(日本百名山制覇が目標)

保険の世界で見つけた、大きな違和感

その後、原田さんは保険業界へ入る。理由はシンプルだった。「稼ぎたかったから」。

だが、この世界に飛び込んだことが、後の人生を大きく変えることになる。


保険募集人として7年間走り続ける中で、年々知識も経験も増え、提供できる情報の質は確実に上がっていった。にもかかわらず、収入は「どんなお客さまに出会ったか」に左右される。同じ価値を届けても、相手の所得や契約規模で自分の報酬が変わる。その構造に、原田さんは強い違和感を抱くようになった。

「価値があるのは保険そのものではなく、自分の話す内容なんじゃないか」


そう考え始めたのは、保険募集人6年目あたりからだという。貢献と報酬がきれいに結びつかない世界で、自分は何を売っているのか。何に対して対価を受け取るべきなのか。その問いを突き詰めた末にたどり着いた答えが、「情報を売る」という現在の仕事だった。

きっかけの一つになったのが、保険募集人向けの紹介営業セミナーだった。本来は営業成績を上げるために受けた学びの場で、原田さんは逆に「自分が本当にやりたいのは保険売りではない」と気づいてしまう。価値観が変わると、入ってくる情報が変わる。情報が変わると、思考が変わる。思考が変われば、行動はもう元には戻れない。

そうして、保険を売る側から、保険を扱う人の可能性を引き出す側へと舵を切った。

  

苦しさの中で見つけた、自分の営業

もちろん、その道のりは順風満帆ではなかった。人生でいちばんつらかった経験を尋ねると、原田さんは迷わず二つを挙げた。保険業界時代に借金を重ね、お金がなかった時期。そして離婚だ。

借金に苦しんでいた時、原田さんは「お客さまのために」と思って保険を売っていた。だが、思うように結果が出ない。苦しい中で彼がやったのは、意外にも価値観を真逆に振り切ることだった。「お客さまのため」に売れないのなら、「自分のため」に売ってみよう。会社の都合でもノルマでもなく、自分が本気でいいと思う提案を、自分の責任で届けよう。開き直りにも似たその決断が、結果として営業を変えた。

その話を聞いていると、原田さんの言う“利己”は、自分勝手とは少し違うものに思えてくる。迎合しないこと。正直であること。責任を引き受けること。そういう意味での「自分のため」だったのだろう。

長所を聞くと、「人の話を要点でまとめて、言いたいことを先読みすること」と答える。一方、短所は「だからこそ、人の話をちゃんと聞かないこと」。この自己分析がなんとも原田さんらしい。鋭さは才能であり、同時に人を遠ざける刃にもなる。友達が少ないと笑うが、それでも彼の周りには、彼の言葉で世界が変わったと感じる人たちが集まってくる。


癖の強い人が好き。その先に見ている社会

最近いちばん楽しいことは登山だという。始めたのは2024年10月。経営者仲間と「ゴルフが好きじゃないなら何をする?」という話から、試しに登った山にすっかり魅了された。下山する頃には、もう道具を一式買いに行っていたというのだから、その熱中ぶりがわかる。

原田さんが山に惹かれる理由は、頂上だけではない。一歩一歩、無事に足を置けたという感覚が楽しいのだという。怪我をしたらそこで終わる。だからこそ、目の前の一歩に集中する。余計なことを考えず、ただ進む。その感覚は、たしかに瞑想に近いのかもしれない。

人付き合いでも、原田さんは少し独特だ。好きなのは「癖が強い人」。普通の人がつまらないというより、想像できてしまう人より、面倒くささを含めて魅力のある人に惹かれるのだそうだ。そして人と接する時に大事にしているのは、「その人の才能を見たい」という視点。ここにも今の仕事の原点がある。

原田さんが見ているのは、愛知という地元だけではない。今はもっと大きく、日本全体を見ている。なくしたいのは、金銭的な貧困だけではなく、「精神的な貧困」だという。では、心が貧しいとは何か。彼の答えは明快だ。「何かに熱中していない状態」だ。

人は、自分の才能を使って何かに夢中になっている時、心まで貧しくはならない。だからまずは保険募集人の才能を見出し、その人が活躍できる社会をつくりたい。誰かが自分の持ち味を発揮して生きている姿を見れば、周囲にも希望が伝播する。そんな連鎖を、原田さんは本気で構想している。


「大丈夫」を、感情ではなく構造でつくるために

今後どんな人生にしていきたいか。そう尋ねると、原田さんは「新しい価値観を創造し続けたい」と答えた。さらに彼は、「大丈夫」という言葉を感情ではなく、構造でつくりたいのだと言う。慰めではなく、根拠のある安心。誰かの頑張りや根性に依存するのではなく、社会の仕組みとして“生きていける”“活躍できる”状態をつくる。その発想は、営業やコンサルという枠を超えて、もはや一つの思想に近い。

プライベートに目を向けるのは、その構造をつくった後でいい。そう言い切る姿は、少し不器用で、少し危うく、それでも妙に誠実だ。今の自分にできることを引き受け、その先に誰かの人生を明るくしたいと本気で考えている。

原田祐介さんは、自分のことを“いい人”だとは思っていないかもしれない。わがまま、うるさい、人の心がわからないと、自分で自分を茶化してみせる。けれど、相手の才能を見ようとする人は、やはりどこかで人を信じている。人が変われることを、人が熱中できることを、社会がもっと良くなることを信じている。

だからこそ、会ってみたくなる。もっと話を聞いてみたくなる。原田さんの言葉は、単なる成功談ではない。苦しさも、迷いも、遠回りも通ってきたからこそ、誰かの中に眠る火種を見つける力を持っている。スポットライトの当たりにくい場所で、誰かの人生に火をつける人。そんな存在がいること自体が、少しこの街を、社会を、前向きにしてくれる気がする。



インタビュー後記

原田さんは、いわゆる“わかりやすい善人”ではないのかもしれません。言葉は率直で、考え方も尖っていて、本人も自分を不器用だと認めています。けれど、話を聞けば聞くほど、その根っこには「人が自分の才能を使って生きられる社会にしたい」という強い願いがありました。誰かをただ励ますのではなく、その人が自分の人生に熱中できる状態をつくりたい。そんな視点を持つ人は、実はとても少ないのではないでしょうか。原田さんのような人に光が当たることで、また別の誰かの人生も照らされていく。善人承継とは、そういう連鎖なのかもしれません。

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