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一粒万倍(いちりゅうまんばい)とは、

一粒の籾が万倍にも実る稲穂になる

という意味。

何事を始めるにも良い日ともされ、

仕事始め、開店、出店、お金を出すことに

吉であるとされる。

一粒のヒントやアイデアが

あなたの運を万倍にする。

ビジネス評論家石塚 毅の

ビジネス系開運コラム。

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ゴールデンウィークはどこも人のにぎわいが

凄かったですね。2類から5類になり

コロナもようやく明けたかな、という感じです。

 

1、 5月のブックレビュー



日本の電機産業はなぜ凋落したのか

桂  幹著 

https://amzn.asia/d/6okCbcy

 

先週も取り上げたのですが、この本の

反響が大きかったので、ブックレビュー

として改めて取り上げさせてください。

 

2、 失われた30年の象徴「電機業界」

 

なぜ日本の電機産業は凋落したのか、

を考えるのは、この30年なぜ日本は

うまくいかないのか、を考える上で最高の

ケーススタディだと思えるのです。


著者の桂さんは日米のTDK→事業売却

後は米国企業のイメーションでずっとデータ

ストレージ事業に身を置いて来られました。

ご自身が働いてきた実経験をもとに、なぜ

凋落したのか、の分析をしています。

 

電機業界の凋落原因として、プラザ合意

以来の円高に加えて、

 

1品質による差別化が困難にとなった

デジタル化

2台湾や韓国が日本を追い越せるわけ

ないと思い込んだ慢心

3経営層は責任追及をされずに保身し

現場の社員をリストラする中途半端な

日本型雇用改革

4明確なビジョンを示せなかった日本の

経営陣

 

の4つを挙げています。

いずれの指摘も現場を経験した方だけが

持つ迫力があり、なによりもめちゃくちゃ説得力

があります。

ネタバレになるのでここでは明かしませんが著者

のエピソードの数々がとてもリアルで興味深いです。

またデジタル化される、ということは0と1で記録

する世界なので磁気テープと比べて、CD-R

では品質差がなくなってしまう、という経緯はいまの

クルマのEV化にそっくり置き換えられるように思い

ます。

デジタル化の過程で後発国だった台湾や韓国が

あっという間に日本に追い付き、追い抜いて行った

ことは他の業界でも起きています。

 

3、 流行りの経営戦略には落とし穴がある

 

一時期、あらゆる企業の経営戦略に採用された

「選択と集中」は結果、余裕がなくなりイノベーション

が起きなくなる、ジリ貧になってしまう、という指摘は

リアルでしたね。

実は本書で登場してくる企業を20代に担当して

いたこともあり、特別な感情を抱きました。

デジタル化が進む他の製造業の経営に対しても

そして日本がこれから何をしなくてはならないのかの

重要な示唆を与える素晴らしい本でした。

ぜひご一読をおすすめします。

 

(了)



石塚 毅(いしづか たけし)

1970年生まれ。ビジネス評論家。担当実績7,000社、相談実績15,000人に

裏付けされた企業経営・ビジネスモデル・社風・人材の情報通で博覧強記。

話がおもしろい!と評判。

ご質問・ご相談などはこちらまで。

ishizuka@keiei-c.jp