最近、お客様からこんなご質問がございました。「夫婦で宗教が違うのですが、同じお墓に入れますか?」というものでした。私の経験上、夫婦でご信心している宗教が違うというのは意外とよくありました。また、ご夫婦のどちらかがお亡くなりになって、はじめて、ご実家の宗派が違っていたと気が付かれるご夫婦も多いのではないでしょうか。


現代においては、多くの日本人の頭の中には、供養事はお寺に、クリスマスは教会で、初詣は神社に参拝と言った具合に、良く言うと多宗派であり、悪く言うと無関心なのかもしれませんね。


また、お寺さんのイメージは?と聞かれると大半の方が「お葬式の際にお世話になる」と考えている方が多いそうで、日本のお葬式は仏教式が90%を超えているというのも頷けます。


しかし、「宗派のこだわりはない」と考えている方が多くいるのも事実で、おお葬式の打合せの時には「お経くらいあげないと」「親戚の手前、お坊さんくらいは呼ばないと」など「とりあえず、お葬式は仏式で」と考える方が多いのも事実ではないでしょうか。


例えば、ご主人の実家が浄土宗で、自分の実家が真言宗であったとしても、同じ仏教だし、そんなにこだわらないと考えるのだと思います。正直、「あなたは浄土宗だから、お付き合いできません!!」という理由でフラれたという方は、あまり聞いた事はございません。


万が一、女性に「あなたは浄土宗だから、お付き合いできません!!」と言われたら、気持ちが複雑すぎて、断られた理由をまわりに公表できず、この出来事を「南無阿弥陀仏」と葬ってしまうと思います。

とは言え、これから増えるであろう、宗派が違うご夫婦が直面する問題はズバリお墓問題であると思います。特に、まったく違う宗教であったり、どちらかが新興宗教を熱心に信仰していたりする場合は尚更だと思います。


まず、お骨を収める場所から根本的に考えなければならないと思います。ご信心している宗教が違うご夫婦が同じお墓に入りたいのであれば、公営墓地や宗教不問の民営霊園をお探しください。


それは何故かと申しますと、お墓についての豆知識として、基本的には、霊園や墓地の経営は、倒産しにくいであろう公益法人が行うこととなっております。霊園の経営主体となるのは、地方公共団体・財団・社団法人・宗教法人となります。すなわち、株式会社が経営している訳ではないのです。


公営墓地は、地方公共団体が経営主体です。墓所のお求めは抽選となります。倍率はかなり高いです。その反面、宗教に関係なく、ご夫婦で同じお墓に納まることができます。


民営霊園の場合は、財団・社団法人・宗教法人が経営主体です。たとえ、民営霊園の経営主体がお寺であっても、そのお寺の檀家になるという事ではないのです。(お寺さんの気持ち的には、檀家にさんになっていただいたつもりでしょうけど・・・)


それでも、少し気を付けてほしい点がございます。それは、広告チラシ等に書かれている霊園の「宗教不問」の文字です。チラシ等には「宗教不問」しか書いていないので見分けが難しいのですが、すべてが「宗教不問」という霊園ばかりではないという事実です。


ごくまれに、「今までのあなたの宗教は不問です。しかし、これからは〇〇宗になってもらいます」という霊園もございます。このような霊園を選んでしまいますと、一緒にお墓には入れますが、夫婦共々宗教を替える必要が出てくるのです。


つまり、ご主人が真言宗で、奥様がキリスト教だとしても、お求めになろうと考えていた霊園が「今までのあなたの宗教は不問です。しかし、これからは浄土宗になってもらいます。」という霊園であれば、たとえ、奥様がキリスト教であっても、浄土宗の戒名をつけないと納骨できないのです。

そのような霊園をお買い求めになり、葬儀後に戒名を付け直したなんて嘘のような本当の話は結構あるものです。


今回は、ご夫婦でお墓に入りたいといった、ほのぼのエピソードでしたが、結論は、諸々のことに気をつけてお墓選びをしていただければ、ご夫婦一緒にお墓に入れますという答えになります。


ちなみに、「旦那と一緒のお墓は嫌!!」とこっそり、旦那様には内緒で霊園見学に来る方は結構おりますので、世の殿方は「うちの嫁はそんなことないから大丈夫!!」なんて言わないで、奥様を大切にしてくださいね!!

 

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著:一級葬祭ディレクター 小林大悟