
静岡県生まれ。大学院で物理学を専攻後、水晶デバイスメーカーにて開発・設計に従事。その後、特許業界へ転職し、権利化、鑑定、知的財産教育の業務に従事。精密機械メーカーの知財部門、都内法律事務所を経て、2023年に弁理士法人MSウィードを共同創業。趣味はマラソンで、年々自己記録を更新し続けている。
理系×法律のプロフェッショナル

この仕事を始められたきっかけを教えてください。
大学の時に弁理士という仕事を初めて知りました。『理系』でありながら『法律』を駆使する仕事に大きな魅力を感じ、弁理士になることを決意。しかし、その決意を特許事務所の所長に伝えたところ「特許の業界に来る前に、企業の現場を一度知っておいたほうが良いよ」とアドバイスをいただくこととなり、水晶デバイスメーカーへ就職。開発・設計に従事する中で、特許などの知的財産の大切さを、肌で感じることができました。4年後、満を持して特許業界へ転職。12年間、権利化、鑑定、知的財産教育の業務に従事しました。その後、精密機械メーカーの知財部門を経て、都内法律事務所に勤務。キャリアアップを考えているタイミングで、同僚から「一緒に独立しませんか!?」と声をかけられ、2023年7月に『弁理士法人MSウィード』を創業しました。
仕事の特徴はどのような点にありますか?
『特許』を承認してもらうためには、そのアイデアの独自性と権利の範囲を明確にした文章を書き、納得してもらう必要があります。当然ですが、技術を知らないと文章を書きだすことすらできません。大学院で学んでいた物理の領域はもちろん、前職までの事務所で、半導体、自動車、重機、遊技機、人工知能、ブロックチェーンなど、幅広い業界に対応できる知識と経験を積んできたことが強みですね。20年以上、特許に関わってきたことで、お客さまの考えの及ばない領域まで、目が届くようになりました。例えばAIなどのIT領域の特許は、その技術を応用することで、お客さまが想定していない業界での活用が見込まれるケースに気づくことがあります。その場合、そのビジネスの広がりを想定し、広い範囲で権利を確保できるような書き方をしています。
商品やサービスの未来を考える

どんなお客さまが多いですか?
メインは大手企業で、精密機器メーカーや、電子デバイスメーカーの依頼が多いですね。相談としては、大手企業であれば、すでに製品化が見えて仕様が決まっている段階もあれば、アイデア段階もありますね。中小企業であれば、既製品に使われている技術に関するものが多いですが、これから製品化する予定の技術もありますね。私は直接経験したことはありませんが、数日というタッチの差で特許が取れず、製品を作ることができなくなったという話は、業界内では耳にしていました。理想は、製品化やプレスリリースを打つ前に、特許出願をしてもらいたいですね。特許出願では、特許庁の審査官に理解を促すため、技術内容によっては、何十ページも資料を用意することがあります。世の中にまだない技術を先取りして知ることができるのは、この仕事の特権です。発明者がそれほど凄いことではないと考えていた技術であっても、特許を取った後に使用領域が広がり、大きく化けることもあります。このように、その後の企業の命運を握っていることも多いため、すべての案件に対して、いつも思わず力が入りますね。
仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。
常に“商品やサービスの未来を考える”ことを心がけています。本来は、依頼された通りのことだけをしていても十分仕事にはなるのですが、商品やサービスの成長とともに、取得した特許で権利が守れない範囲が出てきてしまうようでは、知的財産権が事業活動の発展に活かされているとは言い切れません。常に、将来の事業の広がりを意識して、広い視野と高い視座で仕事に取り組むようにしています。特にAI領域は日進月歩で技術革新がおこっているため、特許侵害で訴えられるケースが、今後増えると予想されます。ご相談いただくタイミングは、思いついた時や、考え始めた時がベストです。貴重なアイデアが、知的財産となり事業拡大に寄与できるよう、サポートしていきますので、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

インタビュー後記
柘植一族は、本能寺の変の際、徳川家康の伊賀越えに協力した土豪。柘植さんは、事業を拡大していくうえで欠かせない知的財産権について、いつも外敵の攻撃から企業を守ってくれる、心強い“忍び”のような存在だ。
お問い合わせ
名前:弁理士法人MSウィード
住所:東京都豊島区南池袋1-16-20ぬかりやビル6F
電話:03-6871-9596
HP:https://ms-weed.com
*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。