まちの仕事人インタビュー
日本の“美味しい”を未来に継承する
株式会社ジャポリス 代表取締役 小嶋 建 (こじま たつる) さん インタビュー

1993年、神奈川県生まれ。父の経営する建築関係の会社を継ごうと考えたものの、業界の未来への不安などもあり、海外向けにカメラを販売する新規事業に着手。2020年に『株式会社ジャポリス』を創業。事業開始から4ヶ月でトップセラーとなる。2022年からは、浅草で試食専門店という新しい領域に踏み出す。

最大7品まで無料で試食できるお店

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

私が生まれ育った川崎市高津区は、155万人が暮らす川崎市の中でも、農家の多いエリア。さらには一次産業への支援事業に携わっていたタイミングもあり、農家の「儲からない」「どうにかしたい」という苦悩を聞き、間接的にでも一次産業に関わりたいと考えていました。全国には、美味しい食品や、素晴らしい商品がたくさんありますが、東京で購入できないものも多く、まだまだ知られていないものばかりです。どの生産者様も味には自信があるものの、製品が広まらないのは単純に知られていないのが根本の要因だと考え、食の体験型店舗の設立を目指す。2023年に浅草で試食専門店『試食BARアサクサ』をオープン。浅草という場所を選んだ理由は3つ。1つ目は、老若男女がバランスよく街にいて、データを取る際に偏りが少ないこと。2つ目は、インバウンドの集客力が強く、海外に向けた発信が期待できること。3つ目は、店の周辺の人や、街を訪れる人が、穏やかでゆったりしていることが多く、客質と環境がとても良いことです。狙い通り、多くの方がお店の前で足を止めてくれています。ちなみに、社名の『ジャポリス』は、日本を表す「ジャパン」と、大都市を表す「メトロポリス」を掛け合わせた造語で、“日本の文化と大都市のエッセンスを融合させた会社”でありたいと考えて名付けました。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

最大7品まで無料で試食できるサービスを提供しています。ご利用の流れはシンプルで、「➊気になる商品の試食カードをスタッフに渡す」、「➋椅子に座ってゆっくり試食」、「➌試食した商品のアンケートに答える」の3つだけです。スタッフに渡した試食カードは、試食を提供する際にお客さまへ手渡され、持ち帰ることができるため、帰宅後にECサイト経由でご購入いただくことも可能です。商品を無料で提供できる秘密は、メーカーや農家さんから、出店費用をもらっているため。試食から、メーカーや農家のECサイトへ誘導するための、食のショールームとして、店舗の棚を有料でお貸ししています。契約は月額6万円で最大3商品を置けるもので、現在は140点ほどが並んでいます。また、食後に必ずアンケートが手に入るため、市場分析や、試作段階で市場の反応を見たいというメーカーにもご利用いただいていますね。


知ってもらうために、試してもらう

どんなお客さまが多いですか?

東京に販路を持たない、地方メーカーや農家から、試作品を置き、反応を知りたい首都圏のメーカーまで、全国からご利用いただいております。食品関係の展示会へ行き、メーカーや、バイヤーの方と話をする中で、興味を持ってもらうことも多いですね。地方自治体や、商工会からのお問い合わせも増えています。アンケートの回収は月間5000枚~6000枚。利用者の7割は女性なので、スイーツや調味料、健康製品などはアンケートが集まりやすいですね。良かった点はもちろん、買わない理由についてもフィードバックを得ることができるのが特長です。賞味期限が一ヶ月以上あれば、「揚げ物」以外は取り扱い可能です。ラーメンや、カレーなどは、お店の裏で調理してご提供していますね。常温、冷凍、冷蔵、いずれもOKです。開発中の試作品もいくつか並んでいます。例えば、同じ商品の「生クリーム付き」と「生クリーム無し」を並べて、どちらの反響が良いかを試したメーカーもありましたね。アンケート結果は、その後の商品のブラッシュアップに活用いただいています。アンケートを元に、パッケージのデザインを見直すメーカーや、箱売りをしていた商品を、お買い求めやすくバラ売りに変えたメーカーもありましたね。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“日本の良いものを広める”ことを心がけています。日本は今後も人口減少が見込まれており、地方は過疎化が進むことで、さらにメーカーが販路に困ると予想しています。私たちが、その橋渡し役となり、地方と東京をつなぎ、商品の魅力を世界へ届けられると良いですね。また現在、この『試食BAR』のアンケートデータの一部を、食品関係のバイヤーへ無償提供しています。お店を起点に、アンケートのさらなる活用方法を見出し、日本の良いものを広める後押しをしていきたいですね。試食BARへの出店や、アンケートデータの活用に興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。


インタビュー後記

店内には、全国各地の商品が並び、お店には絶えず人がやってくる。「失敗したくない時代だからこそ、お金を出す前に試したい」そんな想いにも答えてくれる『試食BAR』は、今日もみなさんを待っている。

お問い合わせ

名前:株式会社ジャポリス

住所:東京都台東区浅草2-7-23大塚ビル1F(花やしき通り商店街内)

メール:t.kojima@japolis.com

HP:https://japolis.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。