【戦争と正月―お餅の切符制―】
 
 アジア・太平洋戦争によって物資を厳しく制限される中、お正月には欠かせないお餅も統制されました。日中戦争の最中にもち米の自由売買が禁止されましたが、お正月を間近に控える昭和15年(1940)12月に切符制が導入されました。一般家庭に対しては1人につき2キログラム、寄宿舎や合宿所には1人につき0.5キログラム、寺社や教会、官公庁、学校には5キログラムを限度として、もち米の購入が許されています。このほか、のし餅、鏡餅の「搗賃(つきちん)」の公定価格も決まっており、のし餅1枚2.5キログラム1円、鏡餅一寸供え9銭などと定められました。餅をつく量や餅にいれる豆や海苔、砂糖を入れる場合などでも価格が変わったようです。
 もち米、餅の購入に必要な「正月用糯米(もちごめ)購入票」は、東京市長から12月2日から7日の間に区役所、町会、隣組を通じて交付され、翌年1月10日までに購入しなければなりませんでした。しかも購入票はもち米とお餅、どちらか一方の購入にしか使えず、お餅はあくまで正月限定販売の「嗜好品(しこうひん)」のような扱いだったことがわかります。
 戦争への協力が求められていた当時、正月の過ごし方にも贈答品の廃止や門松の簡素化といった質素倹約が求められていました。お正月のお餅もそのような世相の影響を受けていたと言えます。とはいえ、戦時中にもち米の購入が許されたところに、お餅に対する日本人の執念が感じられるかもしれません。

【参考資料】
・「市政週報 自第81号至第90号 昭和15年10月~12月」(請求番号:市刊L330)
 https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_07&pkey=000305775
・「正月用糯米切符制実施要綱」(昭和15年12月3日「東京市広報」、広報件名番号:K0048172)
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_09&pkey=K0048172

【画像の出典】
・「市政週報 自第81号至第90号 昭和15年10月~12月」(請求番号:市刊L330)
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail?cls=collection_07&pkey=000305775

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