コロナ前のお話しですが、私が以前勤務していた葬儀社では、終活セミナーというものを開催しておりました。私も終活セミナーの講師として数多く参加いたしました。私は以前よりお葬式ってとってもわかりにくく説明している人が、他社にも、テレビに出ている専門家にも多くいるという感想を持っておりました。

 

ある日、私は思うところがあり、自分の意思で自己啓発系のセミナーに参加した際に、講師にこんな事を言われました。それは、『相手がイメージできる言葉』を使っているのか?というものでした。

 

その時、私たちは無意識のうちに、お客様に対して、お葬式業界でしか通用しない『専門用語』を使っていることに気付かされました。その日を境に、お葬式業界の専門用語をどのように説明すればお客様にイメージが出来る説明ができるだろうか?ということを考えるようになりました。

 

説明しやすいような写真を撮って、大きく引き伸ばしたものをお客様にお見せしながら、お客様とのお話しを進めるようにいたしました。また、例え話を使って説明する事や絵を描いて説明することもありました。

 

それもこれも、どうすればお客様がご納得いただける説明ができるか?そして、ご家族の大切な故人をしっかりお見送りするお手伝いができるかを考えておりました。そんな矢先に会社から『終活セミナー』の講師をするように言われました。

 

セミナー講師を務めるにあたって、最初は当然不安しかありませんでしたが、相手がイメージできる言葉を使うということを心掛けて、専門用語だけで説明しないことなど、普段からやっていたことが段々と活きてきたのです。

 

私は、終活セミナーの講師を務める回数も増えてきて、自分で言うのも何ですが、お客様に大変評判の良いセミナーだったので、こんなことが起こるとは夢にも思いませんでした。それは、お客様から非難のアンケートが届いてしまったのです。アンケートの内容というのは『終活セミナーだから参加したのにお葬式のお話しばかりでがっかりしました』というものでした。

 

私はお客様にわかりやすい説明を心掛けていたので、正直、『どうして?』という気持ちが強くて何とも言えない感情になったことを覚えております。私は後日こちらのアンケートを書いていただいたお客様にアポイントを取って、お詫びを兼ねて色々お話しを聞きに伺いました。お客様は『わざわざそんな事で・・・』と恐縮されておりましたが、お客様のお気持ちはどうだったのかをしっかり教えてもらいました。

 

分かりやすく言うと、お客様は終活セミナーに参加すれば『自分の知りたい情報』が手に入ると思っていたようです。私はお客様にどのようなことが知りたかったのかをお聞きし、その分野の専門家にお繋ぎいたしました。結果としてお客様は喜んでおりましたが、終活セミナーのどの部分を変更すれば、このお客様のような方が減るのかを真剣に考えました。

 

色々な職業の方が講師を務める終活セミナーにも参加しました。そして、ある事に気付いたのです。それは講師の本職や専門分野に情報が偏ってしまっているという事なのです。もっと言ってしまえば講師が『売り込みたい商品やサービスの情報』ばかりに偏ってしまう傾向にある事がわかりました。

 

何より重要なのはそのお客様の一番の終活に関する悩みや問題点は何だろう?という事であり、そのお客様に一番的確なアドバイスができる分野の専門家にしっかりと繋ぐ事が大切であるという事に気付いたのです。

 

という事で、どの終活セミナーを選べば良いのかとお悩みのあなたにお伝えしたいのは、『あなたの知りたい情報』を明確にした上で、どんな方が講師を務めているのか、またどの企業や行政が主催なのかをお調べいただき、良いなぁと思う方が講師であれば参加を申し込んでみてください。

 

また、よくある『終活のお悩み事の第一位は・・・』の答えの中に講師の売り込みたい商品やサービスがある事をお忘れないように・・・。それは、私もそうですけどね(笑)

 

こちらのブログをご覧のお葬式のご相談をご希望されている方は、メールにてお葬式の事前相談を実施しております。あなたがもしもの時に慌てない為にも是非ご活用ください。d.kobayashi.sousaidr1@gmail.com  (1級葬祭ディレクター  小林大悟  相談メール)

 

 


著:一級葬祭ディレクター 小林大悟